第三話「長門空」
「ちょーっと待ったぁぁぁぁぁ!!!」
「「「「!?」」」」
な、なんだ!?
「ハァハァハァすいませんハァハァ遅れハァハァ
ましたハァハァ」
めっちゃハァハァ言ってんじゃん、あいつ大丈夫か?
「お、おぉ、お前名前は?」
「火野悟ハァハァです」
「あぁ、確かにこのクラスだな、よし
なぜ遅れた?」
「す、すいません、登校中に道が分からなくて
困っているハァハァ老人がいたので、この人を
送り届けた後ハァハァもうすぐ学校ってところで
車の衝突事故があったのでハァハァ中の人を
助けたり電話したりしてハァハァその後
全力ダッシュでここにきたんですけどハァハァ
すごく遅れてしまいましたハァハァ
申し訳ありませんハァハァ」
うお、す、すげぇな、学校来る途中に
そんないろんなことに遭遇するなんて
てかそれ本当かなぁ?ちょっと怪しいけど
「い、いや、そんなにたくさんの事を来る途中に
していたのはとてもすごい事だ、なので
遅れたことは無しにしてやる、だから
さっさと席に座れよ」
「は、はい!ありがとうございます!!」
「あ、その前に自己紹介だけやってもらって
いいか?」
「あ、はい!全然大丈夫です!」
こいつもうハァハァ言わなくなったぞ
体力どんだけあるんだよ、とまあそれは置いといて
さぁてさっきの続きだ、こいつはどんな
自己紹介かなぁ〜
「やぁみんな、俺の名前は火野悟だ、まあとにかく
これから1年間一緒にやっていく仲間だ!
共に助け合い、共に分かち合っていこう
じゃないか!というわけでみんな!
これからよろしく頼む!!」
パチパチパチパチ
ほぉちょっと熱そうなやつだなぁまあ
悪いやつではなさそうだな!しかもあいつ
俺がロリコンって言ったあの自己紹介聞いてないから
友達になれる確率がかなり高い!
よっしゃ絶対に友達になってやる
「ふぅ、ということでやっと全員自己紹介が
終わったな。よし、じゃあこれで授業は終わり!
はい全員起立!礼!」
「「ありがとうございました」」
その日の帰り道
「いやぁすごかったなぁしょうと!」
「え?あぁクラスの話?」
「おぉ、なんかすげぇいっぱい面白そうなやつ
いたよな!」
「確かにちょっと普通じゃなさそうな人はいたね」
「中二病の人とか超お嬢様とかめっちゃ喋る人とか
あと、なんかめっちゃ熱そうな人とか」
「うん、確かにいろんな人たちがいたよねぇ」
「もっとあいつらのこと知りたいなぁ、ってお?
もしかしてあれは...」
〜〜〜
「はぁなんか今年は変な人多いなぁ」
まあ、あの茅野って人は本当になんか
よく分からない人だったけど、そういえば
あの人のことなんて呼ぶかとかなんも
決めてなかったけど、まあ大丈夫かな、多分
今後話すこともあまりないだろうし、だって...
・・・
「おーい」
「あっ」
あの人たちだ
「やっぱり長門だ」
「どうも」
「おう」
「やあ」
確かこの人は
「どうもです、しょうとさん」
「うん!さっきぶり!」
「あ、そういや俺だけ長門から名前で
呼ばれてないな、俺のことはなんて読んで
くれるのかな、、って、ん?どした長門?」
「あ、あの、言っておかなければならないことが
あります」
ちゃんと言わなきゃ、そうしないとまた
「おう、なんだ!」
「うん、なに?」
あの時みたいに...
「あの、じ、実は僕...
!!心は男の子だけど体は女の子なんです!!」
ふぅなんとか言えた、これで大丈夫なはず、、
・・・
僕は昔から内気な性格だった、だから
友達もいなかった、でも小学5年生の時に
初めて友達ができた、その子はとても陽気な性格で
例えるならそう、茅野さんみたいな人だった
僕とその子は家が近かった、そのことに
初めて同じクラスになった5年生の時に
2人とも知った、そしたらその子が話しかけてきた
「なあ、俺ら帰り道一緒じゃん?」
「う、うん」
「だからさ、これから一緒に帰ろうぜ!」
「え、友達とは帰らなくていいの?」
「あぁ、あいつら表向きには明るく振る舞ってるけど
正直ちょっとうざいんだよなぁ」
「そ、そうだったんだ」
「おう!それにお前の方がなんか面白そうだし」
「そ、そう?」
「よし!じゃあこれからよろしくな!!」
「うん!」
僕は嬉しかった、だって人生で初めてできた
友達だよ?嬉しいに決まってるじゃないか
それから毎日その子と一緒に帰った
僕は本当に楽しくて楽しくて、
今でも楽しかったいい思い出だって
言い張れるくらいに、でも、その年の夏休み
僕たちは一緒にプールに行くことになった
僕はすごく楽しみだった、間違いなく
人生で最高の思い出になるって思ってた
「よっしゃあ!今日は一緒にめっちゃ泳ぐぞー!!
なあそら!」
「うん!僕も負けないよ!」
そしてその時が来た、着替えの時だ
「よいしょっと」
「なあそら、、って、え?」
「ん?どうしたの?」
「お前、、なんでちんちんついてないんだ?」
「え?どういうこと?」
僕はそれを聞いた時その子が何を言っているのか
わからなかった、そして次の言葉で
僕は戦慄することになる
「お前、、女の子なのか?」
そう、僕は知らなかったのだ、男の子には
ちんちんがついていることを
じゃあなぜ知らなかったのか、そんなのは簡単だ...
"今まで友達が1人もいなかったからだ"
そう、今まで友達がいなかったんだから、男の子と
裸で何かをすることもないわけだ
だから気づけなかったのだ、自分がおかしいことに
いや、自分ではなく、
自分の心と体の繋がりがおかしいことに
「え?何言ってるの、僕は男の子だよ
急にどうしたんだよ」
「じゃあなんでちんちんないんだよ、、ってまさか
お前ビッチか!」
「え、ちょっと本当に待って何どういうこと?
なんで僕がビッチなの?」
「だってお前男の子に裸を見せたい変態なんだろ!」
「何を言っt」
「だってそうじゃなきゃわざわざ男子更衣室に
こねぇだろ!」
「え、、」
「うーわお前きっしょ、もう知ーらね」
「ちょ、ちょっと待ってよ!!」
そして、人生で最高の思い出になるはずだった
プールは、人生で最悪の思い出になった
しかし最悪はここまでではなかった
その子は学校で言いふらしたのだ
(長門空は女の子なのに男の子のふりをする変態だ)
と、噂はすぐに広まる、たった2日で
学校全体の8割が知っているという状況に
なってしまった、そこから先はもう覚えていない
ただ、親に自分が
「僕って性同一性障害なの?」
と聞いたら
「あぁ、、ごめんなさいごめんなさい、本当は
もっと早くに言うべきだったの、それなのに
現実を認めるのが怖くて言えなかった
空、本当にごめんなさい、、」
と言ってきて
「じゃあやっぱり僕は」
「えぇ、あなたは性同一性障害です」
こう親が言った時、僕は完全に頭が真っ白になった
そして、僕は決めた、これから関わっていく
人たちには、最初に僕が性同一性障害であることを
伝えようと、もう2度とあんな悲しいことに
ならないように...
そして、時は戻る
・・・




