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宇宙打撃空母クリシュナ ――異次元星域の傭兵軍師――  作者: 黒鯛の刺身♪
【第一章】熱砂の惑星アーバレスト
19/57

第十九話……アッシはトム ~やせた髭男~

「出来ることなら討伐してください!」


「お任せください!」


 結局、宇宙海賊の対処は一切を私に任された。

 セーラさんは、こと軍事や警備に関しては、私に信頼を置いているようで嬉しかった。



「全艦離陸! 最大戦速!」


 A-22基地からクリシュナが飛び立ち、それを追うかのように、老朽艦5隻が続いた。



「旦那、どうしますか?」


 クリシュナの艦橋でブルーが聞いてくる。



「電磁防壁出力最大! そのまま突っ込め!」


「了解!」


 燃料のコストパフォーマンスが悪いが、惑星アーバレストの重力圏を全速力で離脱。

 そのまま衛星軌道上に展開する海賊船に艦首を叩きつけた。



――ドコァアア!

 漆黒の空間に眩い光球が生じる。


 油断していたであろう海賊船は、横っ腹にクリシュナの体当たりを受けて真っ二つ。

 寸時を置いて、海賊船は爆発炎上した。



「敵、爆散! 残骸は炎上中!」


「よし! 次だ!」


 クリシュナの艦首部分は鏡面加工された30メートルもの巨大な装甲区画があり、艦体はフロントヘビーなマッコウクジラのような形をしていた。

 これによりミサイルや重粒子弾などを弾き、電磁防壁を貫いてくる高出力レーザービームをも無力化するのだ。

 クリシュナは空母でありながら、単純に前方向防御力に限って言えば、無双の力をもちえていたのだ。

 もちろん体当たりも得意分野である。



「敵部隊、算を乱して逃走します!」


 迎撃にあがってきた部隊が、いきなり体当たりしてきたので、相手は肝を潰したのだろう。

 次に衝突の標的にされては堪らない。

 大体そんな感じだろうか。



「砲撃始め!」


 私は戦術コンピューターに砲撃を指示。

 36cm砲塔型レールガンが次々に破壊の鉄槌を吐き出していく。



 交戦僅か15分といったところで、宇宙海賊部隊は壊滅。

 戦果は8隻を撃沈、1隻の大破。

 損害を免れた海賊船3隻も降伏し、順次エンジンの火を消した。



「ご領主様、敵は残らず降伏いたしました。どういたしますか?」


 私はセーラさんに戦況を報告。

 降伏者の処遇を尋ねた。


 なにしろ、衛星軌道上から地上攻撃を行おうとしてきたのだ。

 普通に暮らす市民を纏める立場としては、降伏しても許されないところだろう。



『ご苦労様、捕虜の一切は任せますわ!』


「はい?」


 メインモニター越しの指示が、一瞬よくわからない。



『だから、軍師さんのいいと思う方向でやってね!』


「……は、はい」


 フランツさんが居ないので、ややこしいことは私に丸投げしたい雰囲気の様だ。

 無邪気に手を振って通信を切る様子が、若干小悪魔に見えた。



「ブルー、どうしたらいいと思う?」


「油で揚げて食いますか?」


「お前はマーダ星人か!?」


「あはは!」


 無邪気にブルーが応じてくれたことで、私は少し気が楽になる。

 その後、クリシュナにブルーを残し、私は捕虜の引見に臨むことにした。




☆★☆★☆



「貴様が敵将か? ガハハ! ワシがこんな小僧に負けただと!?」


「うるさい!」


 私は手にしていたレーザー拳銃で、不遜な対応をしてきた宇宙海賊を殴りつける。



「ぐはっ!」


 倒れたところを足で踏みつけ、更に腹を蹴飛ばした。

 人権主義者に言わせれば、これは不当な暴力なのかもしれない。

 しかし、地上に暮らす市民を脅すやつに、人権など要らないというのが私の信条だった。



「私に従える奴だけこちらに来い! そうでない奴はこの船に残れ!」


「……けっ、誰が貴様みたいな若造に!」


 従うものは3割。

 なんと、残りの7割は海賊船に残る様子だ。


 ……完全に舐められている。

 このままでは、こいつらを地上に連れ帰っては危険であった。



「ブルー、もう一隻を藻屑にしろ!」


『了解!』


 クリシュナの主砲塔が火を噴く。

 我々がいる窓の外で、一隻の海賊船が一瞬で爆発し、宇宙の藻屑と化した。



「……で、助けてほしい奴は誰だ!?」


「ひえぇぇえ」


 再び捕虜たちに問うと、一名を除き、膝をついて降伏。

 電子手錠をかけ、老朽船の船室へとぶち込んだ。




☆★☆★☆



「……で、お前だけは降伏しないと?」


 私は脅しても膝をつかなかった一名の海賊に問う。

 族長といった形では無く、むしろ下っ端な雰囲気の痩せた貧相な髭男だった。



「ああ、俺の家族はお前たちの仲間に殺された。死んでも頭はさげねぇ!」


「……ん?」


 私に仲間と言えば、この世界には数名しかいない。

 だが、こいつからしたら、為政者全てが私の仲間なのだろう……。


 私は考える。

 普通、命の危険が及べば誰しも怯える。

 しかし、この髭男、貧相な形とは違って、なかなかに気骨がある風だった。



「……では提案だ、頭は下げなくていい。が、私に雇われろ! 給料は一日当たり10000クレジットだ!」


「え? 何でですかい?」


 私はマーダ星人と戦ってくれる命知らずの戦士が欲しいと説明した。

 それは人間と戦わず、為政者の為に死ぬのでもないと説いてみた。



「事情は分かりました。でも、お断りですぜ!」


 彼はマーダ星人のことは知らなかった。

 最近の世情に疎いようであった。


 ……であっても、駄目なようであった。



「なにしろ給料が高すぎまさぁ……、アッシは一日5000クレジットもあれば十分でさぁ!」


 明るく答える、彼の名はトム。

 とうに姓は捨てたらしい。


 彼を早速クリシュナの臨時乗組員として登録。

 クリシュナの戦術コンピューターも賛同を示してくれたのだった。




☆★☆★☆


【DATE】


カーヴ


【性別】男性

【種族】バイオロイド

【給料】20000クレジット/日



ブルー


【性別】男性

【種族】バイオロイド

【給料】謎



ポコリン


【性別】???

【種族】謎なタヌキ



レイ


【性別】女性

【種族】人間

【給料】50000クレジット/日


トム


【性別】男

【種族】人間

【給料】5000クレジット/日





☆★☆


お読みいただき有難うございます。

お気に召しましたら、ご感想やブックマークをいただけると大変嬉しいです。


【更新日】……水曜日・土曜日・日曜日の週3日を予定。

年始年末や盆、祝祭日などは変更有。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 自分の命など惜しまず、家族を殺された恨みで戦っていた。 そんなトムが寝返るのが早すぎる気がします。(地の文でたったの2行) 人の命とか、人生を狂わすような重い設定を使うなら、もう少し…
[一言] レイが一番給料が多いwww
[一言] >「ブルー、どうしたらいいと思う?」 >「油で揚げて食いますか?」 ブラックジョークですなあ。
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