表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

金切り声と啜り泣き、そして絶叫

 俺と夕日さんが喧嘩した。割りとよくあるのだ。

 夕日さんは静かな所が好きだ。俺のテレビを観ている音が気に食わないと駄々を捏ねる。

「出て行く! 出て行きたい! 実家に帰りたい!」

「勝手に帰れよ」

「帰る所なんてないんだ! 私は死ぬしかないんだ!」

 そう言って夕日さんはスマホを弄って何処かに電話を始める。ぼそぼそと聴こえる金切り声と啜り泣きがいらついて、俺はテレビの音を大きくした。

「私は何処で道を間違えたのかな……1年前かな、10年前かな……生まれた事自体がもう間違っていたのかな……」

 前にも言った通り、夕日さんには死ぬ才能がない。だけれど生きる才能があるとも思えない。

 だん!

「後悔しかねぇ人生なのかよ! だったら、俺と暮らし始めた事も間違いだって言うのかよ!」

 びくりと身体を震わせて泣きじゃくる夕日さんは、「真昼君、ごめんね。ごめんなさい、怒らないで。怖い、怖いよう」と、親に叱られた子供のように「ごめんなさい」「怖い」を繰り返す。

 モラハラ旦那が嫁にするように、俺は無視してバイトに向かう。

「今日のご飯、何にする……? 真昼君の好きなのにするよ……」

「外で飯食ってくる」

 バタン。

 鍵を掛けた薄いドアの向こうから、夕日さんの絶叫が聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ