表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

何気ない日常の話

「ただいま。はー、今日も疲れた……」

「お帰りー。真昼君。お風呂沸いているし、ご飯も炊きたてあるよ」

「あ、先に飯で」

「ふっふっふ。今夜はなーんと! 半額になってたサーモンの刺身だよ! 晩ご飯用意するね!」

 マジ、仕事帰りには癒される。

 これが親戚の可愛い女の子だったらもっと良いのだが、残念ながら相手はおっさんだ。名前を夕日さんと言う。

 食卓を囲みながら、仕事の愚痴を言っていても、夕日さんはにこにこと笑って聞いてくれる。

「あ、愚痴ばかりですいません」

「ん? いや、良いよ。真昼君は頑張り屋さんだなぁ、って嬉しくなるから」

 夕日さんは在宅ワーカーだ。正確には小説家志望で何かを書いているらしいが、俺には文学の話はさっぱり分からない。最初は夕日さんもあれこれ話していたが、俺が反応に困るのを見て、止めてくれた。

「真昼君。ご飯のお代わりいるかい?」

「あ、いるっす。ありがとう御座います」

 夕日さんは、自分が余り稼げないから、と家事全般と食事に職場へのお弁当まで作ってくれる。それで家賃は折半で入れてくれるのだから、俺が食費やら何やらを多めに出しているが、それで文句がある訳でもない。

「夕日さんは仕事しないんですか?」

「あー。障害者手帳を持っているから、障害者雇用もハロワにあるんだけどね。私は身体が弱いから……」

 夕日さんはよく風邪を引く。大体は高熱ではないけれど、食べたものを吐いてしまう事もよくある。

「フリーターでも良いじゃないですか。週に1回2回でも」

「うーん。障害者と言うと断られるし、なんとなく、ほら、違うでしょう?」

 夕日さんの『違う』と言うのはなんとなく分かる。空気感と言うか、何を考えているのか分からない所がある。視線が固まっていると言うべきなのか、空気を読めないと言うべきなのか、何処か『違う』のだ。

 そんな夕日さんが嫌いではないと思えるようになったのも、俺は慣れたからだと思うけど。

「……味噌汁美味しいっす」

「沢山あるから、どんどん食べてね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ