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聖女?の娘  作者: いぶさんた
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終息

###母 洋子


朝。魔物の唸り声は聞こえない。


「終わったのかしら」

サリーナさんとバルコニーに出るけれど曲がった木の場所がはっきりと見えない。

まだ朝陽が出始めた所なので霧がかかっているようにくもっている。


「あれ」

サリーナさんが指したのはこちらに向かってきている騎馬。

「いってみましょう」

サリーナさんの後をついて入り口まで行くとシューイさんとラインさんも出来ていた。


「おはようございます」

「おはよう」

「サリーナもヨーコさんもご苦労様」

「町の様子はどうでしたか」

「大きな争いは無かったようだよ。酔っ払いが大騒ぎしていた場所は沢山あったようだけれどね」

サリーナさんが町の様子を聞いていると騎馬が到着したようだ。


ラインさんが外に出て行く。

「旦那様、マンダン副隊長です」

「マンダン、どうした」

シューイさんが扉から入って来たマンダンさんに駆け寄る。

マンダンさんは全身汚れが目立ち、泥だけでなく血の跡も見られる。

「私はかすり傷なので大丈夫です」

「そうか」

「報告致します。魔物全ては討伐しきれませんでしたが残っていた魔物は森へ戻りました。町への被害は無いと思われます。我々は死者は無し。しかし怪我人が多数います」

「よく頑張ってくれた。ありがとう」

「いえ」

「タクトはどうだ」

「団長と二人で的確な指示でした」

「そうか。怪我はありそうか」

「タクト様は軽い怪我でした」

「ほぅ」

シューイさんが安心したように息を吐く。

「何か必要な物があるか」

「怪我人が多いので薬と手当ての出来る人が来てもらえると助かります」

「わかった。すぐに準備する。それから魔物などの処理もあるだろうから自警団の中から手伝いに行かせる」


シューイさんはラインさんへ指示を出す。


「私も行きます」

私はここにいてもあまり役に立たないから手伝いに行ったほうがいいだろう。


この報告を聞き避難していた町民達は家に帰って行った。



荷車に薬や食料を乗せ私達は3台の馬車で砦に向かう。町の婦人達が手を挙げてくれたので手伝いは10人になった。纏め役でキャトリさんも参加だ。



砦に近づくにつれて血の臭いが強くなってくる。顔に出ていたのかもしれない。キャトリさんが鼻と口を覆うようにと布を渡してくれてくれた。


魔物との戦闘の跡地、あの曲がった木の所の周辺は倒された魔物が数多くいた。

身体に問題の無い騎士団員が魔物の素材や魔石を取ったり片付けをしている。

その後、穴に埋めたり燃やしたりするそうだ。


砦に着く。


マンダンさんが先に戻っていたので話は通っていたらしくタクトさんが入り口に出て待っている。

服を着替えたようで服から出た所での傷は腕にあるものだけのようだ。


食料を持ってきた事を告げると

「是非、お願いしたい」

と。

キャトリさんの采配で私は食事の担当になった。

自分から手伝いに行くと言ったのだけれど討伐された魔物を見て、騎士の怪我が酷く肉が抉れていたり骨が見えるほどの怪我だった場合、私は手当てが出来るか自信がない。

キャトリさんのことだからその辺りもわかっていたのかもしれない。


スープを作り、パンを並べる。

砦の食堂は50人くらいしか入れないので順番に来てもらう。


怪我で食堂まで来られない人もいるので配達する。カートにパンとスープを入れた鍋と入れ物スプーンなどを乗せて医務室へ向かう。


「失礼します」

「あっ、奥さん」

医務室へ入ると聞こえてきた声に振り向くとフラットさんが隣の騎士に突かれていた。

『私のことなんだろうなぁ』と思いつつも聞かなかった事にしてスープとパンを渡しながら

「大丈夫ですか」

声をかけていく。皆傷だらけ。


奥にいくとサントロさんが床に履いたシーツの上で横になっている。包帯は頭、肩、右腕に巻かれている。

「サントロさん」

寝ているのかもしれないので小さな声で名前を呼ぶ。

「ヨーコさん?」

「はい。すみません、起こしてしまいましたか」

「大丈夫です。ちょっと血を流しすぎてしまったので休んでいただけで怪我は大した事ありません」

顔を顰めながら壁にもたれかかったサントロさんの顔色は真っ白。酷い怪我だと思う。

「寝ていた方が…」

サントロさんは私の横を見て

「食事でしょう。こういう時は食べた方がいいのです」

確かにそうだ。パンとスープを渡そうとするけれどパンは持てれたけれどスープの皿は手に力がはいらないようで持てない。

「私がやりますね」

スープ皿を持ちサントロさんへ食べさせようと思っていると後ろから

「団長、大丈夫ですか」

若い男性が話しかけてきた。

「あぁ、大丈夫だ。ノトイ」

ノトイさんは私の方を向いて頭を下げた。

「奥さん、すみません。団長は僕を庇って怪我をしたんです」

大きな声で言った。私に言っているよね。サントロさんを見ると口をぱくぱくさせている。

「おまっ、ちがっ」

サントロさんが何とか声を出したけれどノトイさんは不思議そうな顔をしている。


「のーとーいー」

フラットさんが部屋の入り口の所でノトイさんを呼んだ。フラットさんは足を怪我しているのですぐに動き出せない。

「はいっ?」

ノトイさんが返事をするとこっちに来いと手招きしている。

「失礼します。団長」

ノトイさんがフラットさんのところに着くとフラットさんから頭にげんこつを貰っていた。


「ば……まだ………ちが……」

(馬鹿か。まだ奥さんでは無いんだ。間違えるな)

「えぇ、先輩達が言っていたんですよ」

フラットさんの声はあまり聞こえないけれどノトイさんは元々声が大きいらしい。

「…か……なん…のせ………じか…………くじ……」

(いいから、まだなんだよ。お前のせいで二人の時間がなくなったじゃあないか。後の食事はお前が配れ)

「わかりました」


「すみません。変な事を言っていて」

サントロさんが謝るけれどサントロさんが悪い訳ではないから。


ノトイさんが戻ってきて残りの食事を配ってくれたので私はサントロさんにスープを食べさせた。

あーんで。


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