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聖女?の娘  作者: いぶさんた
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王家の秘密

「これで終わりです」

母が皆んなを見廻してノートを閉じる。


おそらく、この後に襲撃を受けてしまったんだろう。


「キョーカ様も夢見の力だったんだな」伯爵

「ノースリー国は知らなかったのですか」母


「聖女の力ははっきりわかっていなかったと思うわ」奥様

「そうですか」母

「あの、私の読んだ本には病気の人を治したと書いてありました」私


「あれはね、キョーカ様が亡くなった後、遊吟詩人に聖女様の歌を歌わせたのよ。王家が率先してね」

奥様

「国王も息子(テオイト王子)や姪(キャス公爵令嬢)が殺されて気持ちがおさまらなかったのでしょうね。聖女召喚の話は出来ないから

『献身的に病人の世話をした娘を聖女と呼んで皆んなで讃えた』

という話を遊吟詩人に作らせたらしいわ。

王家の秘密だから内緒よ」奥様


「母上、私の読んだ本も聖女様は病人の世話をしたのでは無く病気を治すというものでした」タクトさん


「年月が経つにつれて変わってきたのね。病人の世話をするよりも治す方のが印象が深いから」奥様



奥様の話を聞いて驚いたけれども納得もした。

この世界では聖女は物語の中の人だ。だからだんだんと人間離れした話になっていったんだろう。


「生年月日を見ると沙彩よりも歳が下なのよね」

「「「えっ」」」

母の言葉に伯爵達が驚く。

「250年前ですよね」

「そうです」

トーリさんの質問に母が答える。

「おそらく、私達の世界からこちらの世界に来る時に

ずれがあったんではないかと思います」

「なるほど」

伯爵が頷く。



「ヨーコさん」

トーリさんが母の方へ向く。

「陛下がこれがもし読めるようなら訳した物を作ってもらえないかと仰っていましたが作って頂けないでしょうか」

「はい。わかりました」




母と私は少し落ち着きたいからと言い、キョーカさんのノートを持って部屋に戻った。


「お母さん、キョーカさん中学生だったね。しかも一人で召喚されて」

「心細かったでしょうね。それに、日本にいる家族も心配しているでしょうね」

「生年月日から考えると私達よりも後で召喚されたみたい」

「えぇ」

生年月日と年齢を見ると私達よりも3年後の召喚になる。あの頃の日本で授業中に生徒が居なくなるなんてマスコミやネットで騒ぎにならないはずがない。家族は大変だっただろうな。

私達はお婆ちゃんの目の前で召喚されたけれどお婆ちゃんは何て言っているのだろうか。叔父さんは心配しているだろうな。



「始めましょうか」

ハナノイさんが準備してくれた羽ペンと羊皮紙をテーブルの上に置く。ノースリー国にあるキョーカさんの作った植物紙は和紙に近い手触りになっている。


母が写し私が確認のため読み比べる。キョーカさんが書いた物は15枚あるが母は14枚でやめてしまった。


「沙彩、15枚目を読んでみて」


母から15枚目を渡されて目を通す。


『テオイト王子やキャスや使用人は私がここにいるために国に帰れない。

私はここにいても何の役にもたっていない。

何故召喚されたのか。

私は生きていていいのか。

そんな事を考えるようになった。


夢見で知っていたけれど半信半疑だった私は本当に今日井戸から毒が見つかったと知った時に動揺し自分の気持ちをテオイト王子とキャスに言ってしまった。それも泣き叫びながら。


「勝手に召喚したのはこちらです。キョーカは何も悪くありません」

二人はそう言ってくれる。

それでも

「私はここから出られないけれど貴方がたは国に帰ってください」

何かと私にとても良くしてくれる聖女の宮の皆にはどうにかして助かってほしい。


「キョーカ」

テオイト王子がこちらを見る。

「私はキョーカと一緒にいます。そう約束しましたよね」


3日前、井戸の毒の夢見をした時、テオイト王子に不安な気持ちを話した。いろいろ話をしていく中でお互いに気持ちを打ち明け恋人になり一生一緒にいようと約束した。


しかし、今後、無事生活していくことができるだろうか。

不安も心配も恐怖もある。


それでも大好きなテオイト王子と親友になったキャス、それに使用人の人達。

皆んながいるからこの世界で生きていこうと思う』





読み終わった私は母を見た。

「京香さんの気持ちがあまりにも出ているから伯爵達の前では読まなかったの。どう思う?」


「私もこれは訳さなくて良いと思う。召喚された不安とか王子との事とか、せっかくこれからここで生きていこうと思ったのにこの後襲撃されたんだよね。これはやめておいた方がいいと思う」



「そうよね。この国の人達が後ろめたく思うと思う」


「それもあるけれど、キョーカさんは王子との事を知られたくないんじゃないかと思うの」


「どうして」


「なんていうか、これの前の14枚では淡々と書いてあって王子へ好意を持っているような感じはないのにこの1枚だけ少し感じが違うから。自分の気持ちを後で追加で書いたみたい。これだけ日記みたいだなぁって思う。日記は見られたくないだろうしね」


「日記ね。そう、これだけ日記なのよ」

母が15枚目を持ち上げる。

「これは訳さなくていいわね」




15枚目はそのままにしておく。キョーカさんは召喚された後自分で行動を決めて進んでいこうとしていた。王子と恋人にもなってこれからだったのに。




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