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聖女?の娘  作者: いぶさんた
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町長シューイ

###町長シューイ


疲れているだろうから休んで欲しいと言ってヨーコさんとサーヤさんをキャトリに預けた。


さあて、タクトとサントロに詳しく話を聞こうか。


二人をソファに座るように言って私も対面に座る。


「二人共ご苦労様。まさか聖女様が召喚されるとは思わなかったがな」


「そうですね。私もニーナに聞いた時は驚きました」


毎回の聖女召喚の時は準備をしていくけれど250年召喚されず各国の会談の場になっていた。


タクトの言葉に

「私達も連絡をもらった時は半信半疑でした」

サントロもその時の驚きを話す。


タクトとサントロから召喚からここまでの経緯を聞き、無事にここにお連れ出来て良かったと思う。


「それで、どちらが聖女様なんだ?」

一番大事な事のはずなのだが返事が無い。


2人を見ると顔を見合わせている。

「わかりません」

「はぁ」

「お二人に聞いてもわからないようで、それではと体調や気持ちに変化がないか聞いても召喚の驚きが優っているためなのかわからないと言われました」


「異世界に召喚されたのだからそうだろうな」


「はい、サーヤさんはまだしもヨーコさんはピリピリしていますね」

「娘を守ろうとしていますからね」

タクトとサントロが教えてくれる。


「それでも泣き叫ぶでもなく戸惑いながらも受け入れようとはされていると思います」

先程の会話でもサントロの言う通り、今の自分の状況を確認し検証し納得しようとしていた。


「性格も温厚で、あちらでは平民だったそうなので、聖女だからと高飛車な態度に出る事はありません」

「キャトリの手伝いをしていたな」

タクトもサントロの言葉に相槌をうつ。


「明後日、領都の兄上の所へお連れするのは問題ないな」

「はい」

「大丈夫です」


「明後日はキャトリも連れて行ってくれ。見知った者のほうが良いだろうし、聖女様の話は最低限の者にしか知られたくないからな」


二人を労いゆっくり休むように言い退室させた。


「聖女の力か。250年前の、キョーカ様の力もよくわからないんだったな」

一人呟いた。














###


今日は疲れているだろうからと簡単な話し合いをした後、執務室を出て、キャトリさんに部屋を案内してもらう。

ベットが2つある部屋でトイレと沐浴室もある。キッチンはないけれどテーブルがあり夕食はここで頂くそうだ。

疲れているので気兼ねをしなくても良いようにしてくれている。

昨日からバタバタしていて今日は1日馬車の中とはいえ外にいたので先に体を綺麗にしたい。沐浴室にはいると1人用のお風呂の大きさで高さが半分くらいの周囲を石で固めた穴がある。


キャトリさんから教えてもらった通り、魔石を角の窪みに置くと水がでて、もう一つの魔石を隣りにある窪みに置いたらお湯がでてきた。

魔石の素晴らしさがわかる。

ただし、魔石は魔獣の体の中にありとても便利だけれど価格も高いので貴族や裕福な家でなければ使っていない。


ここでも町長のシューイさんの家族用とこの客間にだけ魔石の沐浴室があり、キャトリさん達使用人は薪で沸かしたお湯を使うそうだ。


平民は体を拭くか水場や川などで汚れを落とす人が殆どの中、使用人がお湯を使えるこの屋敷は待遇が良いといえる。中には休みで実家に帰る日でも沐浴してから帰る人もいるらしい。



そして私にとって重要なトイレ。セイナコウ国のようになっていたらどうしようと思っていたけれど、

座るタイプのボットン型だった。

トイレの度に緊張と羞恥心で精神的にまいっていたのでこれは嬉しい。


「お母さん見てみて」

思わず母を呼んでしまった。

トイレをしみじみと見ている私達はキャトリさんには不思議に思えたよう。


トイレが自分の生活とはあまりにも違っていて困惑していた事を説明したら、『ノースリー国では殆どこの形です』と教えてくれた。


ほっとした。本当に良かった。


キャトリさんの準備してくれた服は簡素なワンピースだった。動きやすかったから侍女服でも良かったんだけれど流石にそれはやめてください。と言われてしまったのでワンピースを着た。生地は綿だと思う。少しごわごわしているけれどこれくらいならば問題ない。


下着はタンクトップみたいな物とドロワーズだった。


部屋で夕食を食べ、ベットへはいる。

キャトリさんが部屋から出ていくとこちらに来て初めて母と2人だけになった。


「お母さん」

母を呼ぶ。

「なあに」

「本当に異世界なんだね」

「そうね。驚いたわよ」

「これからどうなるんだろう」

「2人で頑張ろうね」

「うん。お母さんと一緒で良かったよ」

「お母さんも沙彩がいてくれて良かった」

「へへへ」



「戻れないのかしらね」

母が小さな声が聞こえた。

「お義母さん、大丈夫かしら」




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