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18.ぶっ壊れ性能ゴーレムを伴って第三階層にリベンジする


 マシンマルを受け取った翌日。四人はキミョウナ迷宮の第三階層へと向かった。昨日のうちに、宿の近くの空き地で色々とマシンマルの性能を試してある。

 ちなみに鑑定結果は以下の通り。



【真金の巨像ゴーレム魔神丸(マシンマル)

 攻撃:120 防御:120

 等級:神話レジェンズ

 解説:オリハルコンで作られたゴーレム。あらゆる属性に対して強い。主人の言霊により自在に変形することができる。変形しても攻防力は変わらない。ただし、複数に分身した場合、それぞれの分身に任意の攻防力を割り振る。



 分身した数で攻防力を等分する必要はなく、例えば二体に分身し、一体を各119、一体を各1とすることもできるということだ。攻防力の多寡は外見で見分けがつかないので、フェイントに使うこともできるだろう。


「またあの熊に会えないかな。リベンジしたいよ」

「……言ったそばから、来ましたよ!」

「今度は一味違うニャよ!」


 グライクたちを出迎えるように姿を現した大熊は、前回同様雄叫びを上げながら突っ込んでくる。


「止めろ! マシンマル!」

「ゴ・ゴ!」


 しかし、今回それを迎え撃つのは、大熊と同程度の体躯を持つマシンマル。重量級同士の対決は――あっさりと勝負がついた。

 体躯が同程度ならば重さもそうであるのは、生き物同士の場合に限る。マシンマルは金属の塊であり、魔物とはいえ肉で出来た大熊との比重でははるかに勝るのだ。

 大熊のぶちかましをピクリともせずに受け止めたマシンマルは、衝突で脳震盪を起こしたらしくフラフラしている大熊を抱き抱えたままで次の指示を待つ。


「う、うっちゃれ! マシンマル!」

「ゴ・ゴ・ゴ!」


 マシンマルはグライクの指示を即座に実行。大熊の両脇に腕を入れてガバリと持ち上げると、土の地面に大穴を穿つ勢いで頭から投げ落とし、瞬時に絶命せしめた。


「とんでもない怪力ニャ! 実戦で見るとまた違うもんだニャア」

「盾役が欲しかったんだけど……これじゃあ槌みたいだ」

「ゴ!」


 誇らしげに胸を張るマシンマルは、どうみても意思を感じさせる。

 そもそも、あれだけ巧みな投げ技を実行して見せたのもそうだが、アイテムに過ぎないはずのゴーレムがこれほど当意即妙な動きをするなど本来は有り得ない。

 意思を持ったアイテムクリーチャーが誕生したと知られれば、世間は大騒ぎになるだろう。

 なぜならば、これほど戦力として頼りになる存在は他にないからだ。


「ま、何か問題あるわけでなし。この調子でどんどん行こう!」


 そんな重大なこととは思いもしないグライクの脳天気な声に、他の二人は微妙な気分で従う。

 それからも、歩く樹の化物や大猿、亜竜種のワームなど、巨大でパワフルな魔物ばかりが現れたが、その全てをマシンマルは真正面から受け止め、斃していった。


「想像以上に役に立ってくれてるな。やっぱり盾役がいるといないとでは大違いだ」

「盾役がどうとかそういう問題じゃないのニャ」

「人間であればとてもこんな真似は不可能でしょう。普通のゴーレムでもやはりここまでは……」


 そうして草木の迷路を潜り抜けてグライクたちが辿り着いたのは、だだっ広い草原だった。

 周りは断崖絶壁のような高い壁に囲まれているが、迷宮の中であるのに上方には空が見える。

 そして、そこかしこに妙な模様の岩が埋まっており、何か不気味なモニュメントのようにも思えた。


「なんだここ? ちょっと変な雰囲気があるね。変な岩もいっぱいあるし」

「あ、無闇に触ったらだめニャ!」


 ファムファの警告虚しく、グライクが地面から突き出た岩の一つに手を触れると、ゴゴゴゴ、と地面が鳴動した。


「うわ!」

「若様、お気を付けて!」


 岩と思われたそれは、どうやら罠のスイッチであるらしかった。草原のあちこちから蛇や蜘蛛、狼や猛禽類などに似た比較的小型の魔物が数多く現れ、襲いかかってくる。


「く、ここも一種のモンスターハウスか! この数……いちいち相手していられない。マシンマル、変形だ!」

「ゴ・ゴ!」


 グライクが望みを念じながら言霊を唱えると、マシンマルは三十体に分裂した。


「迎え撃て!」


 三十体に攻防力を割り振ったとはいえ、元が元であるから、一体当たりにしてもその辺のなまくら装備の冒険者のりも強い。

 現れた魔物は数こそ多いものの一体一体は大した強さを持たず、見る間にマシンマルによって駆逐されていく。

 もちろんグライクたちも戦闘に加わり、おおいに活躍した結果、あっという間に決着がついた。


「ふう、驚いたけど、戦い自体は危なげなかったね」

「若様の素早い決断のおかげです!」

「なかなか冒険者としての行動が板についてきたニャ」


 お互いの無事を確かめ合った後、三人で手分けしてドロップアイテムを回収していく。

 手に入ったのは単体ではおおよそ大した価値のないありふれたものだったが、しかしそれらを合成するとだいぶ話が変わりそうだった。

 

増強バフ系アイテムは蜂の蜜に薬草とかで、減弱デバフ系は蜘蛛の糸、蛇の毒、それから狼の牙なんかか。こういう消費アイテムは同じ分類になるみたい。バフとデバフでそれぞれ合成してみよう」


 そう言ってグライクは取り出した混沌の壺に、それらを入れてみる。



【大自然の祝福】

 回数:1

 等級:稀代アンコモン

 解説:複数のバフアイテムが合成されたアイテム。対象の力を引き出し、また大抵の怪我や様々な状態異常を癒すことができる。



【大自然の呪詛】

 回数:1

 等級:稀代アンコモン

 解説:複数のデバフアイテムが合成されたアイテム。対象に毒や麻痺など様々な状態異常をランダムに引き起こす。


 

 どちらも入れたものの原型を留めない粉状となった。それぞれ空き瓶に詰めて、四次元袋にしまっておく。


「なんだかよく分からないものだニャ。なんで粉になるニャン?」

「さあ? ま、魔法の品なんてみんな訳の分からないものさ。案外、こういうのの有無が生死を分けたりするんだよ、きっと」

「願わくば、そんな事態のないようにと祈るばかりですね」


 実際、これほど手軽かつ完璧に体調を整えてくれるものも、安易に敵を阻害できるものもないのだが、その有用性に三人が気付くのは、もう少し後のことであった。


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