表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/38

間話.街の噂


「おい、聞いたか?」

「ああ、新人が第一階層を突破したらしいな」

「しかも二回目の挑戦で、だそうじゃねえか。そんな奴が今までいたか?」

「ちょっと見かけたが、まるで女みてえなヒョロヒョロした奴だったぜ。やっぱり冒険者ってのは、見た目によらねえってか」

「いやいや、あいつの力とは限らねえ。仲間を見てねえのか?」

「仲間がいるのか? 誰なんだ?」

「それがな、聞いて驚くな。一人はあの『泥棒猫』ファムファ・タールだよ」

「なに? あのC級冒険者の? 戦技はそこそこだが、盗賊としての腕前は半端ねえっていう猫獣人だよな。確か、ゾングオ帝国のギルドからはA級契約を持ちかけられたんだろ? それがなんでこんな辺境に?」

「さあな。でも、あいつの財宝狂いは有名だろ。目をつけたものはかならず手に入れる。そして、やりたいことしかやらないってな」

「そうだな。この辺に何か値打ち物があるって噂でも聞きつけたかな? --で、他にも仲間がいるのか?」

「ああ、そっちはもっと珍しいぜ。なんと、忍者メイドだ。初めて見たが、一発で分かる。ありゃあヤバイぜ」

「なに! あの忍者メイドがここに……血の雨が降るんじゃあるめえな。暗くなったらおちおち出歩けねえぜ」

「大丈夫だよ。忍者メイドの通った後には草の一本も生えねえ、ってのはただの迷信さ。噂に尾鰭がついてるんだ。あいつらの腕前についてはそりゃ凄え逸話が山ほどあるが、絶対に主人の命令を守るってのも有名だろ。勝手に暴れたりはしないさ」

「じゃあ主人から、暴れろ、って命令されたら? 自分がどうなろうが、なりふり構わずやり遂げるだろうぜ」

「……違えねえ。ま、そん時ゃそん時だ。夜だろうが昼間だろうが、出くわしたら助からねえんだから、気を付けたって何も変わんねえよ」

「ははは、確かにな。しかし、そんな凄腕が二人もその新人についてるのか。一体何者なんだ?」

「噂じゃどっかの御曹司らしいが、ハッキリしねえ。ま、冒険者になったなら、どこの生まれだろうが、そんなのは関係ない。周りが評価するのは、本人の実力と、成し遂げたことだけさ」

「おう、その通りよ。真に自由たる冒険者に、乾杯!」

「おうよ、乾杯!」


※次回、明日8時更新です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ