賭けの行方
で。その後。
コンコン
あ、今コールすんの?
「じゃ、ノックで」
「なにっ?!」
コンコン
「ノック」
「ああ?!」
なるほどねぇ、こういう出し方もあるんだなぁ。
コンコン
「ノック」
「なっ!?」
お、また揃った。
え、まだ待つの?
まあいいや、ちょっと余裕あるし。それにしても、このゲーム面白いなぁ。
「ノックだオラぁ!」
「なるほどねぇ、ジンだよ」
「なんだと?!」
「差分プラス25の2倍だっけ?」
「くっ……」
ダークの手助けが功を奏して勝ちが続いた。
もちろん何回かは向こうにノックされて点数稼がれたけど、私らの方が点数が倍近くなる。
後半戦は私もコツが掴めてきた。
まだ時々ダークの助言というか、チャチャが入るけど揃え方とか待ちにするカードが分かった。
「はい。終わりー!勝っちぃー!」
「くっ、嘘だろ」
はい、見事に勝ち越しました。
元々手元に来るカードの運はポーカーと同じくらい良かったらしい。気づかなかっただけで初手ノックもあった。ダークが手元見た瞬間に机コンコンしてくれ無かったら、気づかないままだった。
そんな私の圧勝加減に周りも呆気に取られているらしく、嫌に静かだ。
まあ、今はそんなことはどうでもいい!
「ダーク!勝った!ありがとうねー!!」
私は勝った嬉しさも相まってダークに抱きつ……けなかった。またしても避けられた。すぐ近くだったのに躱せるのはやっぱり拒絶スキルのせいかっ!傷つくぞ!
ここは一緒に喜ぶシーンでしょうが。
でもまあ、勝利には喜んでいるらしい、満足そうに不敵な笑みを浮かべてコクコク頷いている。
もう、ガキの割に多少態度でかくても許すわ。マジ助かったし。
さて。
「私勝ったから、この店と……えーと?ポイントの1,000倍だから、351,000prだっけ」
「…………」
タコ親父は顔面蒼白でぽうっとしている。多分現実逃避してそう。
赤くなったり蒼くなったり大変だよね。全部私のせいだけどさ。
そもそもイチャモンつけてきて、理不尽ばっか押し付けてきたんだし、今更譲る気はサラサラない。
暫く押し黙っていたタコ親父は、重々しく口を開いた。
「……男に二言はねぇ」
流石にここで駄々こねられたくはないから素直でよろしいとだけ言っておこう。
周囲はことの重大さにやっと追いついたらしく、ザワザワしだした。
やれやれだぜ。
「じゃ、私の店になった事だし。とりあえずこの店、半分カジノにするわ。半分はこれまで通り、酒場ね」
話し出すと周囲のザワザワが収まって私の声が良い感じに店に行き渡る。
「「「カジノ?」」」
タコ親父も含め、周囲の連中は揃ってハテナマークを浮かべて首をかしげてきた。
あれ?カジノ、知らないわけないよね?
まあ、そんな大それた事はやるつもり無いけど。ちょっと言ってみただけ。
「タ……じゃない、あの、店長さん、名前なんて言うんすか?」
「……タクティスだ」
え、タコ?
……違うか(笑)
でも案外似てる名前でちょっと笑える。
「ではタクティスさん、トランプってあと何セット有りますか?」
「一応客がよくやってるからあと5セットあるが……」
「じゃあ、トランプもう5セットと、白いテーブルクロスしかないのかな?それを6枚、あと紙何枚か持ってきて下さい」
すっかり頭が冷えきっちゃったのか、タクティスは大人しく注文した物を持ってきてくれた。
私は適当な空いてるテーブルを6つ選んでテーブルクロスをかけ、トランプと紙を置いた。テーブルクロスは単純に木机だとカード取りにくいから。
そして紙にトーナメント表を書く。
「じゃ、とりあえずこの6つかな」
「……何をするんだ?」
ざわざわと周りも興味を示してくるのを感じる。ザッと見て店員も合わせると40人くらいいる。
今更だけどこの店何気に客多いな。繁盛してる店なんだろうね。
まあいいや。多ければ多いほど盛り上がる。
「よし、じゃあ、今日は手始めに今からジンラミー大会を開催しまーす!ぱちぱちー。参加者は全部で12名募集します!トーナメントで勝ち上がった人と私が対戦します。そして、私に勝てば豪華報酬350,000prを差し上げましょう。もちろん、各試合ごとにもポイント×100prとして賭けをやってもらいます。その回ごとに儲かるチャンスもございます。さあ、参加料は10,000pr。お客さんがたの中で我こそはと思う方!出場してみませんか?」
シーン。
……あれ。無反応だ。
ダメかなぁ?なかなか良いアイディアだと思うんだけど。
「何でんなことしようってんだ?」
「何でって。そんなの決まってんでしょ。ジンラミーが面白かったからだよ!もっとやりたいじゃん。そんでもって、どうせやるならスリルのある賭けでしょ」
まあ、打算はあるけどね。
純粋な部分ではこのゲームが面白かったからに他ならない。実際、もっと大勢でワイワイ気楽に楽しみたい。
今の私にとって、このおっさんから巻き上げた金しか運用してないからとことんお気楽で賭けを楽しめるんだよね。レートも地味に一桁下げたから安心だし。
「そういうことなら俺は出るぜ。せめて借金だけでも帳消しにしてやる」
タコ……じゃない、タクティスが威勢良く乗っかってきた。この際こいつの短気がありがたい。
「俺も出るぜ。ちょうど親父たちの勝負みてやりたくなっていたところだ!」
「俺も」
「確かに10,000prで350,000prの報酬は魅力的だな。出るぞ」
「おもしれぇ!やってやろうじゃねぇか」
タクティスの一声に続いてゴツいおっさんどもがワイワイと声を上げていった。
良かった。12人揃った。
まあ、勝ち上がってきた猛者はタクティスさんなので、またもや一騎討ちだった訳だけど。
「はい、勝ちポイント×100prだから、28,000prね。」
トーナメント中色んな人達の対戦を見てたからもはやダークの手助けもいらなかった。まあ、タイミングとか相手の待ちカードがなにかとかまではよく分からないけどねぇ。
つーか、普通そこまで読むもんなんだろうか?私にはそこまで出来る脳ミソはハッキリ言ってないので、場に捨てられたカード、それを取っていったカードくらいまでしか覚えられない。それでも勝てるし中毒性も相まって普通に面白い。
「くっそ、お前何かイカサマしてるだろ?!何でそんなつえぇんだよ!」
タクティスが真っ赤に顔を染めて持ち札をテーブルに叩きつけた。もう、このおっさんの癇癪はデフォらしい。普段はどうなのか知らないけど、慣れた。微塵も恐怖は抱かない。つーか、負け犬の遠吠えだし。
「イカサマってどうやんの?てか、360°周囲を観衆に囲まれてるのにそんなことやってどんなメリットがあるのか、逆に教えて欲しいんですけど」
「親父、俺ぁずっと見てたがこいつぁ不正らしい事は全然しちゃいねぇ。真正の勝負師だ」
「勝負する相手が不味かったな。恐らく強運のスキル持ちだぜ」
強運のスキル?何それ超怖い。
私の場合スキルじゃなくて天然なのに、スキルだとほぼ確実なラッキーがくるってことじゃん。
あっぶねー、そんな奴相手にしてたらまず間違いなく爆死してたわ。
ここで調子に乗らずに、賭けはほどほどにしよう。
「ちっ」
まあ、この親父の気持ちもわからなくも無いけどね。私、ほんとこういう賭けの運強過ぎるし。
「なあ、もう一回トーナメントやらねぇか?」
「俺もやりてえ」
「もう一回やろうぜ、さっきのトーナメント戦、負けたけど途中で出場料以上にポイント稼げて元取れたからな」
「負けっぱなしじゃ気がすまねぇ、もう一回やらせろ」
よしよし。乗ってきた乗ってきた。
「じゃ、次はちょっと趣旨を変えようかな。同じルールでトーナメント決勝戦のタクティスのおっちゃんと、そこの人にもう一回対戦してもらう。もちろんお望みならば、勝った方ともう一回私は300,000pr賭けてジンラミー勝負をするよ。で、話は戻って、この2人の対戦でどっちが勝つか観衆が賭けをする。公平を保つために私がその管理をするよ。参加料として1人10,000prもらうけど、それ以上は私はもらわないから、どちらかに好きなだけ賭けれます。参加者が賭けた総額は、勝った方に賭けた割合で振り分けるから一攫千金のチャンス!オッズが低い方にかける方がもちろん見返りもでかくなるけど、それはお客さん方の自由だからね。これだとジンラミーも楽しいけど、見てる方ももっと楽しめるでしょ?」
どうかな?ちょっと手数料高い?
「よし、乗った!」
「ジンラミーは得意じゃねぇが、この賭けなら俺も参加するぜ」
「俺は勝負したかったが……親父に賭けるぜ」
「確かにそういう賭けもおもしれぇ!やるぜ!」
おっさんら単純だなぁ。
なんか、私軽く罪悪感抱いちゃうよ。
おっとと、オッズ計算しなくちゃ。
えーと?タクティスの方が一回勝ってるしやっぱり人気だなー。
もう1人のオッサンはリフリィって名前らしい。ちょっとこの街では珍しくヒョロっとした体型。勿論この街の基準からいくとヒョロっとしてるってだけで、弱々しくは無いんだけど、ゴツすぎない感じかな。
参加者総勢43名。
その場の殆どが賭けに参加してくれた。
さてさて。
私の手元にはあら不思議、タクティスから巻き上げた金とは別に、550,000prが。
いくら何でも上手くいきすぎでしょ。何かしらの作為しか感じないんだが。神の見えざる手かな?
私はそれをまとめて紙に包んで厨房に置くと。タクティスvsリフリィの決着を見守った。
結果。
リフリィの番狂わせが起こった。会場は一気に盛り上がり、勝った側が歓喜の声を上げる。
うんうん、よかったねー。
「で、挑戦権を得たリフリィさん、私と賭けする?」
「いやぁ、辞めとくぜ。得体の知れねぇ勝負するような奴に挑む気はねぇ」
「失礼な」
「褒めてんだよ、ノズが心酔するだけあるな」
この人、ノズの知り合いか。心酔って、ちょっと大袈裟だけど、仲良くなったもんねぇ。
まあ、いいや。
「じゃ、賭けはこれで終了!後はいつも通り、お好きなようにここの料理を味わってください」
私はそう声をかけて、席についた。
修正する可能性あり。
※見苦しい誤字ばかりありました。申し訳ないです。一応ざっと目に付いたものは修正しました。




