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ジンラミーって何じゃい

 賭けと言われて思い浮かぶのはポーカーとか、1番簡単なのではコイントスとかだろうか。


 ま、ココで一発で決めるとしたら、コイントスかな?全世界共通だし何よりわかりやすい。


「この俺が相手してやるんだから、コイントスなんかいう軽い賭けじゃあ、すまさねぇからな」


 おう。済まないらしい。


「じゃあ、何で決めるんですか?」


 で、トランプを持ってきた。

 この世界トランプあんのか。


 てことは、ポーカー?


 こう見えてポーカーは得意だ。ポーカーフェイスが出来るとかじゃなく、そういうのは大前提なんだけど、私賭け事に関する運がずば抜けて良い。

 どのくらい良いかって言うと、一緒にやってた壮太を地獄の借金塗れに出来るくらいだ。単位は学生らしく100円だったにも関わらず、恐らく累計で奴は私に1000万円くらい借金してる事になる。もちろん、子供らしく仮想の金だけどね。おかげで壮太が親にチクリを働き、賭け事禁止令が出されたのは中学生の頃だったかな。


 その禁止令もいい加減時効だろうけどさ、多分ポーカー運はいい方なんだよねー。フルハウスはザラだし、ロイヤルストレートフラッシュとか、役を作る前に勝手に配られた時点で既になってた事あるし。


 まあ、ブラックジャックもあり得るのか?私は知ってるのこれくらいだけど。


「ジン・ラミーで勝負だ」


 何それ、知らない。


「こっちに来い」

「ちょ、ちょっと、あの、私そのゲーム知らないんですど」

「あ?てめえに拒否権はねぇし選択権もねぇ!」


 何この理不尽!!


「じゃせめてルール教えてよ!ルールも知らないゲームに参加するとか、それこそ賭けどころの話じゃないっすから」

「それもそうだ。流石に公平じゃねぇや。親父、一旦ルール説明のために捨て試合してからの方が良い」


 眺めていた野次馬の1人がタコ親父に抗議してくれる。

 この抗議してくれた人も含め、周囲はこの状況をただ楽しんでるだけなので、これまでニヤニヤと私とタコ親父の決着を見守る姿勢だった。けど、私がルールを知った上で賭け事をする方が面白いと踏んだのだろう。この抗議の声は割と大きくなった。


「ちっ、しかたねぇ1回だけ説明してやる」


 1回だけかー、覚え切れるかなぁ。


 私はここまで放ったらかしにしていたダークを呼んで、タコ親父に促されるまま一つのテーブルを前に腰掛けた。ダークは私がさっきタコ親父に怒鳴られてるのを見たからか、私のすぐ脇に立って、心配そうに私とタコ親父とを見比べている。これまであんまり近寄ってくんなかったから気づかなかったけど、身長はだいたい椅子に座った状態の私よりダークの方が背が高いくらいかな。


 つーか何なら手を伸ばせば触れそうだ。

 触ろうかなー。


「おい、説明を始めるぞ」

「あ、はい」


 おっとと。今の私はそんなことに気を回してる場合じゃないんだった。


 対面に座ったタコ親父が口早に説明を開始した。


 結論。

 なるほど、分からん。てレベルだった。

 つーか、こういうのってやりながら覚える感じだもん。口で言われたって全然意味わからないし!


 とりあえず手持ちのカードを同じ数字3つ以上でゼロ扱い、同じマークを階段状に3枚以上(例えば♡7、♡8、♡9)でもゼロ扱いで、残ったカードの数字を足して10以下にすれば『ノック』ていう勝負を掛けれるってのは分かった。で、相手と役以外の点数を比べて数字の低い方が勝ちで、その差分が1ゲーム分としてポイント加算されていくシステムらしい。残りカードゼロの場合は『ジン』と言って、差分プラス25点という美味しい特典があるらしいけど、『ジン』とかあんま出ないんだろう。


 はぁーあ、なんでこんなことしなきゃなんねんだよ。帰りてぇ。


「とりあえず場慣れも込めて、1回捨て試合する。その後3ゲーム1試合で2勝先取で決着だが、どうだ」

「どうだと言われても、それ以外却下なんでしょ」

「わかってんじゃねぇか。あと、勝ったやつの差分のポイントに×1000prでそのまま支払い金額だ。いいな」

「ち、ちょっと待って何それ。」


 いいな、じゃ、ねーよ!金まで賭けさせられるんかい!


「塩の代金プラスその掛け金請求されるってこと?こっちにとっては勝っても何のメリットも無いじゃん!」

「……じゃあ何が良いんだ。言っとくが掛け金の話は撤回するつもりはねぇ。勝利報酬だけ変えてやるよ」


 こんのタコ親父!

 私勝てる気しないのに勝利報酬考えたってほぼ無意味なんですけど。


「じゃ、この店貰うってことで」

「なんだと?!」


 タコ親父はまたもや気色ばんで目を怒らせる。


「だって、塩がないと商売出来ないんでしょ。どっち道潰れる店なんだったら、この際賭け対象じゃん。私が勝ったらこの店を貰うよ」

「こんのやろう……」


 フアッハッハッハッ


 ここで周囲の状況理解がやっと追いついたらしい。ほろ酔いのお気楽集団が楽しそうに煽る。


「こいつぁおもれぇ!スララがなくなっちまうー」

「ガハハ、親父!どうせ勝ちゃしねぇ、賭けちまえ」

「確かに塩のねぇ店なんざ、胸のねぇ女くらい残念だからな、すぐ潰れるぜ。アッハッハッハ」


 誰だ貧乳馬鹿にしたヤツ。

 私がAカップと知っての狼藉か?!

 周りを睨んでみたけど、大勢が口々に面白がってるもんだから犯人が分からない。


 ってかダーク、本当に私の据わってるすぐ傍にいるんだね。1歩近づけば服が当たるくらいの距離だ。


「分かった!そうしよう!じゃあ、始めるぜ!」


 30分後。


「ガッハッハッハッハ。このザマでよくも威勢よく出れたもんだ!おら、俺の勝ちだ!」


 捨て試合のゲームは完敗した。

 1ゲームだけだったのに借金が100,000pr超えていた。捨て試合だったから良かったけど、本番でも大した変化がおきそうにない。


 つーか腹立つのが、『ノック』の時このタコ親父の野郎、キザっぽく机を叩いてからコールしやがる。マジムカつく!


 こんなイタイケナ女子を賭けで大敗させてどこ愉しいんだよ!クソが!!


 そんでもって問題のジン・ラミー何がなんだかわけ分かんないよー。イマイチルール覚えきれてないし!

 タコ親父のやつ、ガンガン役揃えて『ノック』宣言してくるし、役は何揃えりゃいいのか朧気だし。


「おら、本番だ!」

「くっそ」


 で、本番が始まった。


「ふう」


 思わず声が漏れる。1ゲームが始まって暫くした。

 手元には、

 ♡A、♧A、♡3、♤3、♧3、◇5、♧5、♧6、♡8、♡9、◇9

 が残っている。とっくに危険地帯の11~13は捨てたので一応そこは安心だろう。でも、私はポーカーフェイスのまま心の中でため息をついた。


 役1個しかねぇー!


 で、場に出されてるカードは♡6。


 もう無理だわー。半ばやけになりながらも場に出た♡6を手元に持ってきて、♧6を捨てようとしたその時、服の裾が引っ張られた。


 ん?誰……って、ダークじゃん。


 ダークは布屋で買った白い麻布を器用に手にグルグル巻き付けていて、その手で私の服の裾を引っ張っていた。


 私と目が合うと首を振る。


 え、なに、ダークこのゲーム知ってんの?


 少年にすがる大人って超かっこ悪いだろうけど、ここは藁にもすがりたい。


 つーかこの場で味方はいないと思ってたところへの助け舟だから、単純に嬉しい。


 ダークはスッと包帯巻きしたその手で◇9を指さして捨てるようジェスチャーする。


 私がやっても結果が見えてるし、ここはこのゲーム知ってるっぽいダークに1ゲームくらいは委ねて見ましょう。ヤケになってるのがでかいけどね。


 次に、タコ親父は山場からカードを引いて、◇4を捨てた。


 ダークはすかさず山場を指したので大人しく山場からカードを拾う。気持ち的には◇5があるから◇4欲しいんだけどなー。


 と、引いたカードは♡2。うーん、微妙~。

 役作れなさそうだし、♡2捨てた方がいいかなーと思ってたら、またもやダークが服を引っ張って制止させる。


 今度は◇5を捨てろとのこと。

 えー。せっかく5が2枚揃ってたのに?私の不満げな視線を受けても、ダークは静かに首を振って、◇5を指さし続ける。


 しゃーなし言うこと聞いて◇5を場に捨てる。あ、間髪入れずに◇5が拾われた。で、♡11が捨てられる。


 ダークはタコ親父の方を見て、顎に手を当ててちょっと考える仕草をした。


 こいつ、意外とシッカリした顔してんのな。見た目は子供、頭脳は大人で有名なコナ〇君か?


 で、私がそんなダークを見つめてるのに気づいて、ダークがさっさと引けみたいな顔して顎をしゃくる。


 ……こいつ、私の奴隷ってこと分かってる?別に、いいんだけどさぁ?態度でかいというか何と言うか……。


 で、とりあえず山場からカードを引いた。山場から出たカードは♧8。


 おっ、2枚揃ったー♪

 私は早速捨てるカードを選ぼうとするけど、ダークが手元に戻そうとするカードを捨てろとジェスチャー。


 えー。何でだよ。


 睨んでみたけど、口出ししてくるこのガキも譲らない。


 ひょっとして、ゲームしてみたかっただけとかじゃないよね?これは大人の醜い応酬の場なんだよ?2枚揃ってんのに捨てるとか勿体なくね?


 睨ん(それ)でも譲らないダークに、私はため息ついて指示通りに♧8をおさらばする。


 タコ親父は、気分良さそうに山場からカードを引くと、♡7を捨てた。


 お。

 私は♡7を拾う。ダークも邪魔してこないから、それでいいっぽい。


 で、♡2を捨てる。


 ダークもそれでいいみたいでコクコク頷く。


 オッサンは♡2を拾って……♧の4を出した。


 おお!!揃った!!!


 私は♧4を手元に入れた。


 これで今、手元には、♡A、♧A、♡3、♤3、♧3、♧4、♧5、♧6、♧7、♡8、♡9。

 これで、♡9を、捨てれば持ち点は10になるから『ノック』出来る!


 一応確認のためにダークを見ると、めっちゃ首振ってた。

 え、ダメなん?


 私はしょうがなし、乗りかかった船って事で、ダークの指示通り♧Aを捨てた。


 タコ親父が暫く考えた後、♧Aを取って♡7を捨てる。


 えー!!

 来たコレ!!『ジン』だ!!


 私は♡7を取る。


 ダークは生意気そうな顔にニヤリと笑みを浮かべてタコ親父を睨み、タコ親父を真似して机をコツコツ『ノック』した。

 タコ親父よりちょっと洗練された動きだ。不覚にもかっこいいと思ってしまった。


 まあ、単純に凄い。ヒーローだよね。

 このガキ、このゲーム知ってたのか。


 それにしても、このニヤニヤ顔、見た目の年の割にかなり黒いぞ。よく分からんが流石堕天者とだけ言っておこう。


すみません、昨日は泥酔してました。今日に振替です。

そして伝わるかはわかりませんが、賭けシーンに手こずりました。


ジンラミーは実際にあるゲームです。


※ちょっとルール説明文ゴミだったので書き直しました。



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― 新着の感想 ―
[良い点] この話読むたびにジンラミーで遊びたくなって一日がつぶれてしまう…
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