嘘つきの始まりは……
3分間に合わなかった……orz
ラーメン食べるんじゃなかった(嘘)
「おばあちゃん、昨日のダフォファミリーとレーンボルトファミリーの抗争知ってる?」
「そりゃ街の住人なら知らんわけないじゃろ。近年じゃ稀に見る大抗争じゃったからの」
「レーンボルトが勝利に至ったきっかけが何か知ってる?」
「知らん」
「…………」
私はほくそ笑む。
きっかけなんて、そんなもん知らないけどね。誇大させるのは噂の常ってことで。
「まず、ダフォファミリーの切り札って何だったかわかる?」
「……知らん」
ま、私も聞いたことない。嘘をそれらしく言うつもりだ。昨日の今日だし、情報はそんなに回って無いはず。
「だろうね、極秘情報だもん。で、その切り札ってのは機能しないと意味をなさないんだよねー」
「切り札は何なんじゃ?」
乗ってきた。
「おばあちゃん、情報は金になるって知ってる?」
「ちっ…………」
さて。どうでるかな?
「いくらだい?」
「うーん、おばあちゃんがどのくらいの人達に情報を売るか次第だよね。私が売れなくなっちゃうかもしれないし」
「5,6人てとこだわな。そっからは知らんがの」
へー、てことは、1日後におばあちゃんから1,2人に拡散されて、更に2日後は知らされた人も拡散することを合わせてだいたい8人程度拡散される。その時点で知ってる人は12人前後。単純計算で5日後には100人前後ってところかな。
「じゃ、私からの最初の情報提供者ってことで、安くしてあげるよ。15,000prってところかなー。この商品と、この布2枚でどうかな?」
手近な白い麻布を2枚手に取った。大して欲しくなかったけど、タオル替わりに使えるでしょう。
「安すぎる、何を企んどる」
「何も?どうせ私はこの街にとっては部外者だからね、大した価値じゃないんだよ。それに、おばあちゃんとはまだまだ仲良くいられそうだからね。で?答えは?」
「……持っていきな」
私はダークにおばあちゃんから交渉によって手に入れた商品を投げ渡して、とりあえず持っててもらう。
「ダフォファミリーには召喚士がいたんだ」
「やっぱり嘘かい?召喚士など、聞いたこともないわ。お前達!」
「ストップ。早とちりは良くないよ?売ったからには全て話してやる。まず、全部聞きな」
亜人に指示を出そうとするおばあちゃんをドスのきかせた声で遮った。
おばあちゃんは呆気に取られたのか、私の言葉に納得したのか、とりあえず聞く体制をとった。
「ダフォファミリーの奴らはずっとレーンボルトファミリーを壊滅させる手筈を整えていたんだ。理由はもちろん、商売敵だからね。そして、同じくレーンボルトファミリーに潰れてもらいたい別の組織と手を組んだんだ」
「…………」
「そこから送り込まれたのが、召喚士。召喚士は、今回の抗争のどさくさに紛れてある物をレーンボルトファミリーの屋敷に大量にぶち込んだ」
「…………」
「それが、ヘルスライム。だいたい200から300は召喚に成功した様だね」
「馬鹿なっ!?嘘も大概にせい!そんな大量のヘルスライムをどうやって退治するというんじゃ!ましてやレーンボルトファミリーは昨日抗争に勝ったんじゃぞ!」
私はまたもや喋り出したおばあちゃんを見据えて黙らせる。
最後まで聞け、作り話なんだから途中で区切るとドジ踏むかもしれないでしょうが!
気迫が通じたのか、おばあちゃんは押し黙った。
「そして、私の登場ね。私は私自身の事情からレーンボルトファミリーが存在しておいて欲しいんだよ。だから……」
そこで棍棒を手の上でくるりと回した。
「ヘルスライムは私が全部この棍棒で倒した。嘘だと思うのなら、レーンボルトに聞いてみな?私が全部倒したのは知ってるだろうからさ」
「…………だとすれば、あんた、何者じゃい」
「残念ながら、それは売れない情報だね。どう?この布分の価値はあったでしょ」
ぼったくっちゃいけないなんていう法律がこの街に無い以上、嘘の情報を売っちゃいけないっていう法律も無い、と思う。
どっちにせよ、私は明日にはいなくなるし、このガセ情報でどうなろうが知ったこっちゃない。
半分真実、半分嘘がバレないような嘘をつく基本だ。
こうして、私はこの嘘が広まる前に街を去ることを心に決めるのだった。




