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初めてのジャイアン

 お頭さんの屋敷?店?を後にして軽く街を歩いてみた。


 結論から言うと、私史上最悪の治安だった。


 東南アジアは何だかんだ平和だったらしい。発展途上国ってだけで、秩序というか、最近はかなり安全になってきてるもんな。だから1人旅行に行ってたとも言えるけどね。


 まず、道行く輩は大概が怪しい連中だ。露天のおっさんらでさえ目が怪しい。総じて言えるのは男はガタイがいいヤツが9割超えてて超威圧的だってこと。女は……お水っぽいし、流石に1人では行動してないね。若しくは超筋肉質な巨人女さんだわ。


 王都を見てきたから言えるけど明らかに、ここの平均身長は高いだろうな。もしかしたら私が知らないだけでこの街は巨人族の街なのかもしれない。


 てなことを考えてしまうくらいには私は浮いてる。若干遠巻きに品定めされてる気配がある。


 私は金持ってないよー?所持金ガチで10prだからね?

 そして胸も小さいからねー?そっち方面でも楽しめませんよー?

 品定めの価値ないんだよー?


 と、内心恐る恐るで大きめの街道を進む。


 裏道とか、マジヤバイから。絶対行かない。


「あぁ?何見てんだこら」


 で、裏道を見た時に延長線上にオッサンがいた。


 くそぅ、なるべく目を見ないようにしてたのに。いつの時代のチンピラですか。それかこのオッサンは猿なのか。


 ここでスルーして歩くとつけてこられかねない。


 私はオッサンの所に歩み寄りながら無実を主張するために首を振った。


「すみません、道が分からなくて探してました。自分、駆け出しの冒険者なんですけど、ギルドってどこにありますか?」


「the 実は道を訪ねたかったんだよアピール」作戦。

 これで目が合った理由も説明出来るからお得だろう。


 一石二鳥だぜ。


「お、あ?冒険者ギルド……?あったか?」

「さぁ、知らねぇっす」

「え、冒険者ギルド自体ないんすか?」


 オッサンは何となく毒気を抜かれたように別のオッサンに話しかけた。


 冒険者ギルドねーのかよ!!

 RPGものと言えばギルドだろ!?


「いや、他の街にゃあった気がするが……ここらじゃ確かに見かけねーな」

「おう、……マジすか」


 冒険者ギルドに行けば、ブラウンウルフの爪とか牙とか革とか売れると思ったのに!


 こりゃ今晩の宿どころか、晩飯も危うい。


 いっそ街から出てブラウンウルフもう1体倒した方が腹は膨れるかもなー。

 でもタダンみたいにうまく出来る気はしないから、クソまず焼肉になるだろう。

 ま、あのまま彼らのとこに居座るのは厚かましいもんね。私の判断は正しかったはずだ。


 にしても、あー、どうしよう。


「おめぇ、冒険者ギルドなんかにどんな用があったんだ?」

「実は……所持金ゼロなんすよね。道中で倒したブラウンウルフの爪とか売ろうと思ってまして」

「は?おめぇ丸腰じゃねぇか。ブラウンウルフをどうやって倒したんだ。魔法師か?」

「いや、魔法とか知らないっす。殴って倒しましたよ」


 おっと。

 オッサンの目にスイッチが入りかけてる。ブラウンウルフの革って安いと思って見せたけど貴重だったりするかな?いや、どっちかというと倒し方聞いてるし革自体に興味はないのかも。


 これは、私が何か武器とか良いもん持ってたらヤバかったかも。コイツら強盗の気配がする。


 《熟練度が一定数を上回りました。スキル『危機感知LV1』を取得しました》


 なぬ。

 今このタイミングかよ。


 ちょっとここで鑑定は無理だ。後回し!


 私はこのブラウンウルフ関係の荷物以外持ってないし、鞄の中身をオッサン達に見せた。


「ほら、証拠です。ブラウンウルフの革とかしか持ってないです」


 う、ちょっと異臭が……。


 だって川が無かったから革洗えなかったんだもん。出来たのは火で血肉側を炙る程度なんだよね。


 オッサン達もちょっと顔をしかめつつカバンの中を見た。けど、私の倒し方信じてなさそうだ。


「嘘言ってんじゃねぇ、こんな量どうやって倒した?何か武器があんだろ」

「いえ、本当に素手で倒しましたよ。道の途中でここに向かってる馬車と出会って、その人達と共闘したので全部私が倒したわけじゃありませんけどね」

「ほう、ってことはそいつらに殆ど助けてもらったってこったな」

「まあ、あながち間違いではないすね」


 5分の3は倒してないし。


 ノズ達は荷物になるし処理が面倒くさいから要らないって言ってたから有り難く頂戴したのだ。


「で?どこの奴らと倒したんだ」

「えー、そんなホイホイ言っちゃダメな気がするから言えないです」


 だってアイツら奴隷運んでたし。


「そういう奴らと共闘したってことかい」


 このオッサンの言う『そういう奴ら』の意図は分からんが、まあ、裏っぽい連中だからね。『そういう奴ら』には入るだろうな。


「じゃ、そういうことで。自分ギルド探してるんで、他の人当たってみます。親切に相談乗ってもらって、どうもありがとうございました」


 そそくさそそくさ。


 ここは自然に別れるべし。


 おっと?後ろにオッサンその2。

 おやおや。左右にもオッサンその3とその4。


 何ということでしょう、穏便且つ平和にやり過ごせたと思ったのに囲まれちまいました。


「あの、この方たちは?」


 私はさっきまで話してたオッサンに向き直る。


 ここで笑顔は絶やしちゃだめだよね。

 こういう図体デカイ系てのは怖がる相手をより怖がらせるのが好きだから。


「ダフォファミリーの仲間さ」

「へー、そうなんですね。さて、では私は帰らせていただきますね?」

「いやいや、ちっとばかし調べさせてもらおうか」

「ふむ、何をでしょう?」

「おめぇのホラに付き合ってやったんだ。魔法具持ってんだろ、さっさと出せや」


 なんというジャイアン。

 いや、ジャイアンだってもっと別の言い方したはずだ。


「無いものをどうやって出すんです?所持品は見せたでしょうが」


 ったく、いい大人が意味わからんこと言ってきてんじゃないぞ。若干投げやりに問い返してやる。


「へへ、まだシラを切るつもりか。なら実際に使う状況を作るまでだ」

「そんなぁ、酷いっすよー。何の恨みもないのに」

「恨みはなくともここじゃあ日常だぜ?」


 場をやわらげようと作り笑いしてみる。

 目の前のオッサンも笑う。


 うわー、あくどい。

 この人たち、女1人に流石にそれは無いんじゃないかな?


 ここは……逃げ一択だ。


 5人いるけど、初日のブラウンウルフに比べたら回避は可能だろう。ましてやここは何も無い平原じゃない。いくつも障害物は有るからね。


 ということで、1点突破。


 私はスキル『殴打LV1』〜『殴打LV3』を全て起動した。


 人間だからって手を抜けるほど対人戦とかしてないわけだからね。ここは本気で行かせてもらう。


 先手必勝。

 これは間違いない。ターンするのも惜しいからね。最短距離、正面のオッサンに殴りこむ。


 ドゴンッ


「ぐふぁっ」


 渾身の1発がオッサンの腹に入った。なんかオッサン咄嗟に構えてるように見えたけど、オッサンの腕諸共お腹にヒットできたみたいだな。


 オッサンが屈んだ隙、そこを狙ってオッサンの後ろに続く裏道に猛ダッシュした。


 ターンとか余計なことする必要ないから勢いに任せて真っ直ぐ進んだ。


 他のオッサン達はまだ反応できてないみたいだ。でもすぐ追いかけてくるはずだ、なるべく遠くに逃げなければ!


「ま、待ちやがれこらぁあ」


 うあー、怒声が後ろから追いかけてくる!!

 こぇぇえ!!!


 私は脇目も振らず走り続けた。


 30分後。

 何とか奴らを撒けたらしい。怒声も消えた。良かった。


 さてさてさて。

 うーん。


 この道さっき通ったかな?


 細い道だけど似たような所をグルグルしてる感覚だ。方向音痴ではないはずなんだけどなー。


 ずっと同じ方向に行ってもなかなか大通りに出ない。むしろガンガンヤバイ系の世界に向かってる気がする。


 だってほら、時々チラッと見える人らの目がだいぶ逝っちゃってる。薬中か?


 それは、いい。良くないけど。

 もっとヤバイことを把握しつつある。


 そう。私、迷子になってるぽい。

取り急ぎアップします。

誤字多そう……また更新し直すかもです。


※修正 空欄作りました

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