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無知性の凱歌: オリジナル  作者: 宮沢弘
第二章: 人権正規化法
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第10日

 昨日からだろうか。片手キーボードでの入力ができなくなっている。

 できないと言っても、ハードウェアやドライバの問題ではない。

 片手キーボードを使う時には、たいだいの場合、片手だけを使い、かつ入力を確認することなしだった。ちょっとしたメモを書くような場合だ。それだけに限るわけではないが。

 片手キーボードでは10個ほどのキーの組み合せで入力する文字、あるいは文字列を指定する。私の普段使う場合、入力は確認せずに、入力結果を思い描きながら操作する。ある程度は入力補助機能も用い、またその機能の結果を予想しながらでもある。

 そのような状況を説明した上で、現在の状況を書いておこう。

 一昨日まで---だと思うが---、入力した結果に注意を向け、片手キーボードには注意することなく、入力することができた。何なら、カーソルを動かし、任意の箇所の編集もやればできたし、実際に行なっていた。入力と、入力補助機能のミスを思い描き、その箇所の編集もやればできたし、実際に行なっていた。入力補助機能については、古典的な方法だが、学習を反映していない辞書と、反映しないモードを選び、使っていた。学習の結果を反映しないのだから、ある結果は入力補助の候補の何番目を選べばいいのかは決まっている。ただ、それだけだった。

 それに対して、現在は、片手キーボードを使う場合、どうしてもある文字、あるいは文字列を入力するさいのキーやその組み合せ、そして入力補助機能の何番目の候補かを意識せざるをえない。

 そうなると、入力途中のものからどうしても注意が削がれる。これは、片手キーボードを使い始めた頃と似た状態だ。ある意味では懐しい苛立ちを感じる。それとともに、入力結果をその場で編集し、あるいは入力ミスがあったとしてそれをその場で修正することは、今はできない。「もう」と着けておいた方がいいだろうか。

 この日誌も、片手キーボードで書いてはみたものの、結局普通のキーボードと、そしてディスプレイを見ながら修正している。およそ、一文に1, 2個の修正だろうか。1, 2文字ではないところが、まだ助かっている。これは入力補助機能のおかげでもあるが。もし1, 2文字であれば、一文字ずつ注意して見なければならず、まぁ、苛立ちももっと強かっただろう。段落の切り直しも、数個行なった。段落に切り直してなかった箇所、あるいは無駄に改行していた箇所などだ。

 片手キーボードでの記録は止めた方がいいだろうか。普通のように、グラスを着け、それで入力を確認しながら入力すればいいのだが。幸い、視力は悪くなく、これまで眼鏡をかける必要はなかった。ガジェットとして持っていたので試してはみたが、耳や鼻梁への、圧迫感というようなものがどうしても気になってしまう。ただの慣れだろうが。持っていても使っていなかったのは、その違和感になかなか慣れられなかったからだった。

 慣れられないと言えば、腕時計も昔の一時期を除き、着けたことはない。やはり圧迫感にどうも慣れられなかった。緩くつけていたこともあるが---それが、その一時期だが---、それでもどうも違和感があり、着けないようになった。その後、ウェアラブル端末になり、バイブレーション機能や、バイタル・ログを取得する機能が搭載れた頃、また試してみたことがある。だが、やはり駄目だった。どうにも慣れることができない。

 結果として、小型スレートと片手キーボードを接続し、確認することなく入力をすることが習慣になった。それは、ただの何でもない習慣だった。

 小型スレートの画面を見ながら、ポチポチと入力するか、それともいっそメモ帳とペンに戻るか。実用を無視すれば、メモ帳とペンが好みだ。

 ちょっと検索してみたが、昔「こんな物があったら」と思った物があるようだ。タッチ・センサがついた電子ペーパーが何枚も綴じられ、あるいは粘着性ののりでつけられている。入力は電子ペーパー上に手書で行なうようだ。あるいはキーボードも接続できる。20枚綴りの、綴じられているものとのりでつけられているものを買おうかと思う。50枚綴りや100枚綴りにも興味が惹かれるが、厚み考えると、20枚が適度に思う。電子ペーパーなので、表示は書き換えられる。数枚綴りのものもあるようだし、それで困ることもないだろうが、そこは好みだ。

 書き忘れていたが、10日ほどで影響が現われるのは、およそ通常である。


〔初出 Nov 26, 2015 〕


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