表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶への旅   作者: gOver
49/55

第49話 天災科学者

オトーヌさんは、洋館で会った時と変わらない服装で立っていました。ジーナ

おばあちゃんに似た、優しくて穏やかな空気を纏ったオトーヌさん。雰囲気も

前に会った時と、まるで変わっていません。


「待つんだ、スー」


私がオトーヌさんに近付こうとすると、突然ケビンさんに肩を掴まれて名前を

呼ばれました。驚いて顔を上げると、緊張した表情のケビンさんと目が合いま

した。

洋館に居た時は確かに仲良さそうにしていたのに、如何してでしょうか。


「オトーヌさん。今度は……スーを狙う心算ですか?」

「物騒な事を言うものではないよ、ケビン。私はスーを助けるだけさ」


2人の言っている意味が全く分かりません。私をオトーヌさんが狙っている?

 助ける?

オトーヌさんは変わらずに穏やかな空気を纏っていますが、ケビンさんは鋭い

瞳でオトーヌさんを射抜いています。その光景はとても――とても怖いと感じ

ました。


「スーに聞きたい事があるからね。詳しく調べたい事もある――すまないけれ

ど、スーを逃がす訳にはいかないのさ」

「僕は3年前から……自転車乗りの一団と行動を共にして、初めてオトーヌさ

んに会った日から1つの事を調べました。そして知りました」


あくまでも穏やかな空気を保つオトーヌさん。一方、ケビンさんの額には汗が

浮かんできていました。寒くない筈なのに、私もつられて身体が震えてきま

す。

……如何してなのでしょう。再会した時は嬉しかったのに、如何してか今では

オトーヌさんがとても怖く思えてきます。無言の威圧感、とでも言うのでしょ

うか。


「ケビンさん……?」

「オトーヌさんはかつて、天才……いや、天災科学者と呼ばれていた女性だ

と。そしてお孫さんを呼び出す為に、箒乗りの能力を奪う研究を続けている

と。間違いは無い筈です」


洋館に泊まった日、オトーヌさんが言っていた言葉が鮮明に蘇ります。

『もし娘がどこかで結婚して子供がいたのなら、あんたくらいの孫がいるかも

しれないね』

あれは『もし』ではなくて、事実だった?


「よく調べたね。その通り、私は若い頃に天災科学者と呼ばれていたよ。娘が

箒から落ちて死んだと知った日から、私は箒乗りの人間から箒乗りの能力を奪

ってきた。

 娘の二の舞にならない様に、もしかしたら箒乗りの孫も来るかも知れないと

思ってね」


暫く話し続けるオトーヌさん。お孫さんは娘さんの遺伝で箒に乗る事が出来

て、騒ぎを聞いたら同じ箒乗りとして近くまで来るかも知れない――オトーヌ

さんはそう思って、強引に力を奪ってきたと言います。


「確かに箒乗りは危険と――死と隣り合わせです。けれど、箒乗りが全て危な

いという訳ではありません」


ケビンさんの言う通りです。箒に乗っている時、怖いと思う事は確かにありま

す。だけど反対に、だからこそ箒に乗るのは楽しくて気持ちが良いものです。

それに、どんな理由があるにせよ強引に力を奪ってはいけません。


「僕も小さい頃から、箒乗りの力を持っていました。けれど自転車乗りの一団

に仲間入りして洋館に何日か泊まってから、全く乗れなくなったんです。

 自転車と同じ様なバランスの取り方に乗り方、一度憶えたら忘れないと言わ

れている箒が乗れない――おかしいと思いました」


汗は大分引いたらしいケビンさんが、オトーヌさんを見据えて静かに言葉を紡

いでいきます。


それにしても、何故オトーヌさんがここに居るのでしょう。

何故ケビンさんはテックスさんにこの話をしなかったのでしょう。

オトーヌさんは、如何してそこまでしてお孫さんに会いたいのでしょう。


ロックさんと自転車乗りの人達は、一体何処に居るのでしょう――






今回執筆させて頂きました雫です、憶えていらっしゃいますでしょうか……。

もうすぐ50話ですね。思っていたよりも続いていて驚きました;; 一体この物語はいつまで続くのでしょうか。

少しでも謎を失くそうと思っていたのですが、逆に増やしてしまいましたorz

一度執筆のメンバーから抜けてしまったのですが、これからはまた活動へ参加する心算です!

文章の書き方を必死に勉強している所ですので、どうか見捨てないでやって下さい(願

では、ここまで読んで下さりありがとうございました。これからも『記憶への旅』を宜しくお願いします! 




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ