第43話 私に真実を
(ここは……どこ?)
夢を見ていたのです。
――知らない知らない、大きな大きな街でした。
赤レンガ張りの道路。燦々と太陽が照り付けてはいるのに、傍を流れる澄んだ小川
が涼しさを醸し出していました。
その丈夫そうな道路を、広く開けて人々がその周りに隙間なく詰め寄せています。
そしてその向こう、とても大きな城の方からその国の王様らしい一行がやってきまし
た。
王様は、少し恰幅がよくて優しそうな瞳です。お妃様は、ちょっと強気そうな目を
していて、スラリとした美人です。そして、その二人の足元に小さな女の子と男の子
がいます。男の子は活発そうで、どちらかというとお母さん似。女の子は――誰か
に、似ている気がする……。どうして?
人々が口々にその人々の名前を呼びます。「ジーザス国王!」、「フローラ女王
!」。
やがて私は気付いてしまったのです。
――ここは、空の国・ニュアージュです。
弾けるように、夢の泡が消えました。
* *
目を覚ましました。
たった一瞬の出来事だったようですが、私には何十分もの間そこに横たわっていた
ような気がしてなりません。
「スー……?」
ロックさん?
体に力が入らず、目を僅かにあけることしか出来ませんでした。
(な、に……これ)
そして倒れているらしい私の視界に入ったのは、人、人。それから、私の箒。どう
やら、先ほど私を襲ったはずの自転車乗りの人々でした。
(オレンジ色の、閃光が……)
少し頭がはっきりしてきて、意識を失う前のことを思い出します。確かに、オレン
ジ色の閃光が見えました。
「スー!」
ロックさんが駆け寄ってきました。
「大丈夫か?」
抱き起こされても、私には何がなんだか分かりません。ただ、少し辺りを見渡した
ときに、リノさんの後姿が見えた気がしただけでした。
また、です。
Give me the true.
菫です☆短めな仕上げになってしまいました^^;;
久々の執筆参加でしたが、これからは完全復活で頑張りますので、これからもよろし
くお願いします!!