第40話 思わぬ知らせ
私はまた祭りの賑やかな街へと足を運びました。
ロックさんは何をしてるのかしら、そんな気持ちが私の頭をよぎります。
お祭りの出し物、出店などで賑わっている一角でヨアンさんが宝石を売ってい
ました。沢山のお客さんが珍しそうに作品を手にとって眺めたり、お祭りの
記念として買っていったりと、ヨアンさんはお客さんの対応にとても忙しく
私が声をかけて仕事の邪魔をしてはいけないと思い、その場を立ち去ろうと
しました。でもやっぱり忙しそうだし私がなんとか手伝ってあげようと思い、
ヨアンさんの後ろに回り声をかけました。
「忙しそうですね。ヨアンさん。私も何か手伝えることがありますか?」
「ありがとう、スー。お客さんの対応を手伝ってくれるかい」
父が作った宝石をお客さんが喜んで買っていく姿をみてとてもうれしく思いま
した。
売り物として出していた宝石がほとんど売れ、ヨアンさんは片付けをはじめま
した。
祭りの花火も上がり、お祭りはますますの盛り上がりを見せています。
「スー。手伝ってくれて有難う。今晩は私が泊まっているホテルで一緒に
お食事をしよう」
「はい、喜んで」
私はヨアンさんが泊まっているホテルへ行きました。豪華なシャンデリア、
また周りの人の服装もとても豪華で、こんなところで泊まるなんて質素なヨアンさんらしくないなと思いました。
「スー。私の作品に興味をもってくださった宝石商のかたがぜひ私に働いて
ほしいと言ってね。このホテル代も宝石商の方が出してくれているんだよ。
3日後に私は宝石商で働くため、この街を去ることになったんだよ。
収入もいいし、お母さんやフィオナにももっといい暮らしをさせてやれること
ができると思うといい機会だと思ってね」
「よかったじゃないですか。それをきいたらフィオナも喜ぶと思いますよ」
ホテルの食事は豪華なものでした。
私はヨアンさんの部屋で旅のことなどいろいろと話しました。もちろん
ロックさんことは別ですが。
ふと、金髪の綺麗な服をきた女性のパンフレットが机の上においてあるのに
目が止まりました。パンフレットにはレイラと書かれていました。
まさかレイラあのロックさんの昔好きだったレイラ?
私の目はパンフレットに釘付けになりました。
「スー、この歌劇に興味があるにかい? この女性が主演の歌劇があさって
の晩、開かれるんだよ。そのあとこのホテルを貸しきっての盛大なパーティ
がひらかれるんだよ。彼女がいる歌劇の一座がこのホテルに泊まるんだよ。
明日の夕方ここに来るので、一座の歓迎でホテルは大忙しだよ。
私も歌劇とその後のパーティに招待されて、楽しみにしているんだよ」
レイラってこんなに綺麗な人なんだ。もうロックさんにとっては過去の人なん
だけど、まだロックさんはレイラのことを忘れられないでいるのかしら
と思うと、悲しい寂しい気持ちがこみあげてきました。
「記憶への旅」を読んでくださってありがとうございます。
レイラがラウェスの街に来るという話も悪くないのではと思い
今回は書かせていただきました。
これからも「記憶への旅」をよろしくお願いします。