第32話 船上で奏でる協奏曲
ダンスを踊っている船の隣で、いろいろな楽器を持った人たちがいます。私がまだ見たことのない楽器も数多くあります。
「彼らはラウェスでも有名な音楽隊らしいよ」
音楽は私たちが船の上にあがると同時に止まりました。だいたい30人くらいの音楽隊は、目の前の指揮者が手を上げると一斉に音を奏でました。
アップテンポの音楽が私たちの距離を近づけます。
「ちょっ、ロックさん!」
ちょっと強引に手を引かれ、私たちは船のちょうど中央にその位置を変えました。
「さぁ、踊ろう!」
初めこそうまく踊れない私でしたが、体は次第に慣れていきました。少し視線を上げてよく見ると、皆思い思いにいろんな踊りをしています。
「うまいじゃないか、スー」
そう言いながら、ロックさんは私に合わせて慣れた様子でステップを踏みます。
ひと、ヒト、人。
たくさんの人が広いとは言えないダンスステージで踊っているのに、私は一度も誰かとぶつかったりはしていません。それは間違いなく、ロックさんが私をうまくエスコートしてくれているから。そんなささいな優しさが、とても嬉しく思えました。
「スー、聞いてるかい?」
「えっ? あ、はい」
今までの曲がふと止まり、懐かしい音が広がっていきました。それまで楽しそうだったロックさんの表情がどこか、そう、どこか悲しく、なにか大切なものを思い出した見えたのです。
「……」
ほんの少しだけ聞こえたロックさんの言葉。
「えっ!?」
思わず私は聞き返してしまいました。聞かなければ、聞き返さなければこんな思いはしなかったはずなのに。いつもの私でいられたはずなのに。
「ごめん、なんでもない。気にしないでくれ」
ふとロックさんの口から零れた言葉は、私の知らない言葉でした。
「レイラ……」
なかなか執筆が進まず、更新が遅くなってしまいました。とりあえず自分好みで話を進めたらまた余計なことを書いてしまってf^_^;あぁ、メンバーの皆様には申し訳ない限りです。
まだまだ続くスーたちの旅をぜひ楽しんで下さいね☆