表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶への旅   作者: gOver
29/55

第29話 フィオナの父

 石畳の緩やかな坂道を上っていくと、目の前にメインストリートが現れました。オレンジ色の夕日に包まれ、買い物客で賑わっています。

 メインストリートには、様々なお店が並んでいます。新鮮な野菜、果物、肉、魚、を売っているお店。衣料や雑貨、骨董品などのお店もたくさんありました。私は今までこんな大きな街に来たことがありません。メインストリートの街並みは、見ているだけで楽しい気分になります。

 ロックさんと一通りの買い物を終えて、二人で両手いっぱいの荷物を抱え帰ろうとした時、前を歩くロックさんがふと立ち止まりました。

「スー、見てごらん。可愛い首飾りがたくさん並んでいる」

 ロックさんの視線の先をたどると、お店とお店の合間の小さなスペースに、敷物を広げ宝石や装飾品を並べて売っている人がいました。私はそこに近寄って、じっくり眺めて見ました。

「これは!……」

 宝石の飾り物も首飾りも、見覚えのある物ばかりです。

「スーじゃないか!」

 声のした方に顔を向けると、そこには懐かしい顔がありました。

「ヨアンさん!」

 私は心の底から驚きました。フィオナの父親のヨアンさんが、目の前に立っていたのです。見覚えのある品々の中には、フィオナ手作りの品もたくさんありました。

 宝石商のヨアンさんは、一年のほとんど行商に出かけています。家に帰ってくるのはクリスマスの休暇くらいです。

「どうして、ここに?」

 目を丸くして私を見つめるヨアンさんに、私は今までのいきさつを手短に説明しました。ヨアンさんは最初とても驚いていましたが、私の強い決心を知ると旅に出たことに納得していました。

「偶然ここでスーと再会出来たのも、神様のお導きだな。長い旅は大変だろうが、体には充分気をつけて元気に帰って来るんだよ」

 ヨアンさんは、優しい目をして私に微笑みかけました。その瞳はフィオナと同じ優しい眼差しです。

「どうか、スーをよろしく頼みます」

 ヨアンさんは、ロックさんに向かって言いました。

「もちろんです。それにしても、素晴らしい品々ですね。私にもいくつか買わせて下さい」

 ロックさんはそう言うと、花模様に彫られたブレスレッドと、星形の首飾りを三つ買いました。そして、黄色い宝石がちりばめられた星形の首飾りを、私に差し出しました。

「これは君へのプレゼントだ。このブレスレッドはリノ、青い宝石の首飾りがシーラ、赤い宝石がサーラ」

「ロックさん、ありがとう」

 優しいロックさんは、女性達へのプレゼントを買ってくれました。しかも、フィオナが作った私が大好きな物ばかりです。私は嬉しくて、さっそく首につけてみました。

「フィオナのお父さんと出会えるとは、奇遇ですね。これから僕達は宿へ帰ります。よろしければ、ヨアンさんもいらっしゃいませんか?」

「ええ、喜んで。今日は店を早仕舞いしますよ」

 ヨアンさんは嬉しそうに微笑んで、品物を片づけ始めました。




何度目の執筆でしょうか?春野天使です。随分と回ってくるのが早くなりました。(^^;)

旅も進んできて、徐々に謎も解けていきつつあります。これからの展開も楽しみになってきました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ