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記憶への旅   作者: gOver
27/55

第27話 空からの落とし子

「リノさん! お願い、待ってリノさん!」

 リノさんの腕を掴みました。狭い馬車の中、私はリノさんと二人きりです。

「お願いします……私に、教えてください。私は、誰なんですか? 私はリノさんと

元々知り合いだったんですか? 私は、どこで生まれたんですか? 知ってるんです

か? 教えてください!」

 胸に込み上げてくる疑問を、ぶつけてしまう。リノさんには、何の罪もないのに、

まるで攻め立てるように続けてします。叫ぶように言い続ける私に、リノさんが言い

ました。

「……なぜ、泣いてるの」

「え……?」

 どうして、だろう。涙? どうして流れるのだろう。

 馬車は止まっている様子でした。他の人たちは、まだ湖を見ているでしょうか。私

は、とてもそんなに気にはなりません。

 ふう、と溜め息をついてリノさんは言いました。

「仕方ないから、少しだけ教えてあげるわ。でも、いい? このことは、他の皆には

内緒よ。特に、テックスやシーラ、あの二人には」

「……はい」

 そしてリノさんは、少し長い話をしてくれました。


 ニュアージュは、元々皇帝一家と王家が争っていた国だったのです。しかし武力を

扱う皇帝一家は、たちまち王家を滅ぼしました。

 その王家は国を追放され、空から地上へと降ろされました。しかし降ろされたのは

たった2人。当時王家の当主だったジーザス王と王妃フローラには、2人の子供がお

り、その二人のみがお情けで生かされ、地上へと降ろされたのです。女の子が一人、

その弟が一人。名前は、リノさんは教えてくれませんでした。

 そしてやがてシュールさんの話した通り、空の国・ニュアージュは滅びました。

 さて、降ろされた子供たちはどうなったのか。

 彼女たちは、今どこかで暮らしているはずだそうです。ただ、ばらばらになってい

る上、成長していてその顔を知っている人物でも誰か分からなくなっているそうで

す。

 つまり……探せないということ。

 

 リノさんは、その先は話せないと言いました。

 私が話しを反芻していると、私たちのいる荷台に声がかかりました。

「おーい、リノ。スーは大丈夫か?」

 ロックさんの声でした。

「良かったらな、他にも入るぞ。出発するから」

「いいわよ」

 リノさんが冷たく響く声で答えました。

 テックスさんやサーラさんたちが入ってきました。私がリノさんに目線を投げる

と、リノさんと一瞬だけ目が会いました。……あの話は秘密です。

「さあ、出発だ。まずはラウェスに向おう」

 さっきからのリノさんの柔らかな気配が、張り詰めたものに、変わった気がしまし

た。




27話を執筆しました、菫です。

実はスーは何者なのでしょうねー。

再び不思議な事を付け足しました。

では、これからも続く記憶への旅、お付き合いお願いしますm(_ _)




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