表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶への旅   作者: gOver
22/55

第22話 空の魔物の沈む湖

 リノさんは、悲しそうな、そうでもないような、感情の読み取れない目をしていま

し た。

――リノさんが残した……、なに?

 私がシュールさんの言った事を考えているうちに、リノさんは言いました。

「……戻りましょう」

「あ、はい……」

 まだまだ煮え切らない気持ちだったのですが、私は立ち上がりました。完璧に目の

覚めていない二人を、緑色の洋館まで運ばなければなりません。目が覚めるまで待っ

ていてもいいのですが、皆が心配していたし……。

「行こうよ、スー」

 気付けば、ノールもサーラもリノさんも、皆少し先へ行ってしまっていたのです。

「あ、うん……っ」


 帰ってみると、他の人たちが浮かない顔で待っていました。難しい顔で皆何かを話

しています。多分、リノさんたちの事です。

 私たちが歩いていくと、それにテックスさんが気付きました。

「リノ……」

 なぜか呟くように、リノさんの名前を呼びました。当のリノさんはと言うと、何も

答えませんでした。

「まぁ、サーラ! ノール!」

 続いてシーラさんが叫ぶように子供たちの名前を呼びます。

 それに皆も振り向きました。

「良かった、皆無事だったんだな……」

 テックスさんが言います。

「全く、リノもノールもサーラも、どこへ行っていたの。それに、3人とも何とも無

い? 怪我とかしてない?」

「ちょっと眠いかな……」

 と、ロックさんが言います。その言葉に、テックスさんが少し眉をひそめた気がし

たのですが、気のせいだったかもしれません。

「さあ、3人とも見つかったし、皆中へ入ろう。オトーヌさん、どうもご迷惑

を……」

「いいえ。皆無事でよかったわ」

 ぞろぞろと中へ入ります。最後の方に、私。全員入るまでテックスさんは外にいま

した。

 そのとき、テックスさんはこう呟いていました。

「そうか……空の魔物の沈む湖か……」

 だけど、私は気付かなかったのです。気付いたのは、多分私の隣のリノさんだけだ

ったのでしょう。


 中へ入ってから、私たちは部屋へ戻りました。

 私が部屋で少し考え事をしていると、サーラが部屋へやってきました。

「あと30分くらいしたら、出発だって。準備が出来たら、玄関に来てね」

「分かったわ。……ねえ、サーラ」

「ん? なあに、スー」

「聞きたい事があるんだけど、いいかな」

「いいわよー。知ってる事なら、答えてあげる」

 そう言ってサーラは私が座っているベッドの前に、ちょこんと正座しました。

 私はこんな無邪気な子供に、聞いていいのか少し迷ってしまいました。

「あのね……さっき、森でなにをしていたの? その……リノさんと一緒にって事な

んだけど」

 さすがにこの問いにはサーラも、表情を変えました。

「ん、とね……」

 それでも彼女は答えてくれそうでした。だけど、その答えを聞くことは出来ません

でした。

「サーラ、用がすんだらおいで」

 リノさんでした。

「あ、うん……今行く」

 そう言ってサーラは立ち上がりました。

 一度振り向いて、私に言いました。

「……ごめんね、スー。また、いつかね」

「うん……」

 辛うじて笑顔を取り繕いましたが、私の中ではもやもやが残っていました。

 それに、何となく分かっていました。

 サーラの言っていた、「いつか」が来ないかもしれない事……。








22話執筆を担当しました、菫です。

もう20話超え!!びっくりです。この物語、謎が増えるばかりで、一体どうなるのや

ら。

この話でも全然解消されていない……。

大変っす。空の魔物とか、ワケ分からん^^;

と、とりあえず……これからもよろしくお付き合いお願いします。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ