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記憶への旅   作者: gOver
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19/55

第19話 疑惑

 翌朝。私は昨日夜中に目を覚ましてしまったので、まだ夢うつつの中皆と朝

食を取りました。目玉焼きにハムとチーズ、トースト。そして暖かいミルク。

それは昨日まで村で食べていた朝食と同じようなもので、そして私の向かいに

座るオトーヌおばあさんはジーナおばあさんのように優しい人で・・・・・・。私は

少し村が恋しくなりました。

「あれ?そういえばリノさんは?」

私はリノさんが朝食の席に居ない事に気付きました。するとテックスさんは

「あぁ」と良いながらトーストを齧り、

「リノなら早くに朝食を済ませて出ていったよ。朝の散歩だとか言って」

「そうなんですか」

「リノはよく一人でふらっと出かけるからね。物思いにでもふけっているのか

も知れないね。例えば自分の故郷の事とか」

シュールさんはクスクス笑いながらそう言いました。一体何が可笑しいのか解

りませんでしたが。ロックさんが苦笑しながら

「リノに故郷なんかあんのかねぇ」

と言ったのを聞いて、なるほどと思いました。確かにリノさんが故郷に思いを

馳せるような人かどうかは怪しい・・・・・・けれども、

「シュールにロック。言葉が過ぎますよ」

と、シーラさんが私の気持ちを代弁してくれました。確かに冗談にしては悪質

です。本人が居ないからといって、軽く流せる物ではありません。

「しかし本当に、いつも何処に行っているのか・・・・・・」

テックスさんはハムと目玉焼きを一緒にフォークに刺しました。

「本人が散歩だって言ってるんです。散歩なんですよ」

シーラさんはミルクを喉に流し込みました。

 リノさんが散歩をしているのかどうか・・・・・・正直私もそれは怪しいところで

した。あの光景を見てしまっているから。




 リノさんは数時間経っても帰って来ませんでした。仕方なくサーラとノー

ル、シーラさんとロックさん。そしてケビンやメイリンの自転車乗りの人たち

がリノさんを探しに出かけました。残った私達は先に出発の身支度を整えま

す。部屋であらかた準備を終えた私は、トイレへと向いました。トイレへ行く

廊下には、テックスさんの部屋もあります。そのテックスさんの部屋からシュ

ールさんの声が聞こえてきました。それだけなら二人でチェスか何かしている

のか、それとも今後の予定を話し合っているのかと思って通り過ぎるところで

すが、その聞こえてきた言葉が問題でした。シュールさんは「妙ですね」と言

ったのです。私は何が妙なのだろうと少し聞き耳を立てました。そして聞こえ

てきた会話は、とても信じられないものでした。

「ああ。妙だ」

テックスさんの声です。

「オトーヌさんに自転車乗りの一団・・・・・・」

「シュールも気付いていたか」

「えぇ」

オトーヌさんと自転車乗りの人たちが一体どうしたと言うのでしょうか。

「いつからだ?」

「昨日の晩からです」

「『大勢の人が来ると、食事の団欒を楽しむ』・・・・・・だったか?」

それは昨日ケビンさんが私に言った台詞でした。

「それです。彼らは一昨日からこの屋敷に泊まっていると言いました。だけど

その台詞は、まるで前々からこの屋敷に居たかのような台詞だ。オトーヌさん

から聞いた話をスーに話したとも考えられなくは無いですが・・・・・・」

私は息を飲みました。まさか、オトーヌさんが、あの優しい人が私達を騙して

いる?

「そうであれば良いんだがな」

そう、そうです。オートヌさんが嘘をついてるはずはありません。

「とにかく面倒が起きる前にこの屋敷からは出たほうが良いですね・・・・・・なの

にリノはどこへ行ったのだか」

「まったく」

私はドアから離れました。シュールさんの言葉が頭の中で反芻します。そんな

ことはありえない・・・・・・私は自分にそう言い聞かせながら自分の部屋へと戻り

ました。トイレに行こうとしていたことなど忘れてしまいました。

 そしてドアを開けようとしたとき、1階から叫び声がしてきました

「大変だ!」

それはケビンさんの声でした。慌ててシュールさんとテックスさんが部屋から

出てくるのが見えました。

「どうした!?」

テックスさんが聞き返します。ケビンさんは息も切れ切れになりながら

「サーラとノールが・・・・・・森に入って行方不明だ!」











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