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記憶への旅   作者: gOver
17/55

第17話 新たな出逢い

 私はその洋館を、端から端まで眺めていきました。

 見えるものは、つたの緑色と、所々に少しだけ見える赤茶色の壁です。

 洋館を見ていると、何か不思議な感覚が沸いてきます。

 皆はその様子に慣れているのか、会ってからと何ら変わりない表情で

 その洋館を見ています。

 ノールの言っていた通り、沢山の自転車が洋館の前に綺麗に並べられていま

す。

 サーラとノールは箒で馬車の周りをぐるぐると回っています。

 その様子はとても楽しそうに見えました。


「じゃあ、挨拶に行こうか」

 馬車を止め、テックスさんが皆に呼びかけます。

 皆は慣れた様子で馬車を降り、洋館の玄関へと集まりました。

 私の胸の鼓動が、だんだんと大きくなっていきます。

「おばあさん、オトーヌさんっていうんだって」

 ノールがテックスさんに言います。

 テックスさんは微笑みながら頷き、扉をノックしました。

 古い扉を響かせる鈍い音が、私の胸にも響きます。

 暫くすると、とても優しそうなおばあさんが中から出てきました。

「こんにちは、皆さん。事情は、この子達から聞いていますよ。

今日はどうぞ、ゆっくりと過ごして下さいな」

「ありがとうございます。今日は、お世話になります」

 テックスさんの言葉が言い終わると同時に、私達はオトーヌおばあさんに礼

をしました。

 その様子を見て、オトーヌおばあさんはとても喜んでいる様でした。


 外見とは違い、中はとても綺麗で整頓されていました。

 私達は最初に、大きな居間へ案内され、ソファーに座りました。

 リノさんは壁に身を預けて立っています。

 ノールとサーラは居間のあちこちをうろついています。

「今日は沢山のお客さんが居て、楽しいわねぇ」

 オトーヌおばあさんは本当に楽しそうに、呟きました。

「おばあちゃん。私達の他に誰が来ているの?」

 サーラが尋ねます。

「自転車に乗って旅をしている人達が来ているの。

昨日からここにいるのだけれど、皆良い子達ばかりだから

すぐ仲良くなれると思うわ」

「仲良くなれると良いわね」

 シーラさんはサーラとノールに言います。

 二人は笑顔で大きく頷きました。

 ノールがふと、部屋の窓から外を見ました。

「わぁ……見て見て!」

 外を見たノールが、瞳を輝かせて皆に呼びかけます。

 皆は立ち上がり、その窓へ集まりました。

 窓からは空と海が見えました。

 空に浮かんでいた紅い太陽は海の向こうへと沈み、

 空は夕焼けの紅から夜の闇へと鮮やかなグラデーションがなされています。

 海にそれが反射して、まるで一面に宝石が散りばめられた様です。

「凄い……」

「あなた達は、運がいいわねぇ。

ここからこんなに綺麗な空が見られるなんて、あまり無い事なの」

 その時、外から大勢の人の声が聞こえてきました。

「帰ってきたみたいねぇ。じゃあ皆でお迎えに行きましょう」

 オトーヌおばあさんの言葉に、私の胸がまた高鳴り始めました。



第17話を担当して執筆させていただきました、雫です。

殆どノールとサーラが中心ですね……;

旅も始まって、スーはどんな気持ちなのでしょうか。

では、今後も『記憶への旅』お楽しみ下さい。



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