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京ちゃんとの出会いを思い出して幸せを噛み締める。
ただ思い出すと同時に「可哀想な飾利が好き」という言葉が「苦手なら感情を出せるようにしてあげる」に連動してる気がして引っかかった。
なんか……おかしくない?
私は京ちゃんに尋ねてみる。
「私に時々塩対応したりするのってそれが目的?」
「あぁ……うん。そうだね。一種の”愛の確認作業”ってやつだよ」
マジか。少し肺が縮こまるみたいな感覚が胸に走った。
付き合ってからたまにそんなことを仕掛けてくると思ったし、ついこの間も勉強の邪魔をしたら別れをチラつかされて心の奥から汗をかいて慌てふためいた。
「確認作業って……あれ本当に辛いんだけど」
「飾利が飾利のままでいてくれたらやらないよ」
小悪魔のようにいじらしく、わざと言葉に含みを持たせてそんなことを言う京ちゃん。
かっこよくて少年のようだけど、イタズラ気味な表情だとしっかり女の子で可愛らしい。
とはいえ……私のままかぁ。
いろいろと含みすぎてるからか、その言葉は私にとってはとても重い。
色んなことを受けとめてくれる京ちゃんのことが好きだからこそ、無視されたり嫌われたりするのが耐えられない。
私が京ちゃんの望む私のままでいられてるかが分からないから、今までのそういうちょっとした塩対応のいじりも本気なんじゃないかって信じちゃう。
塩っぽいのより、甘いものが欲しいんだけどな。
私には京ちゃんが自分を好きでいてくれる理由がいまひとつわからない。
――――可哀想な飾利が可愛いから。
とはいうものの、私にはそれを客観的な視点で見ることは不可能だよ。
だから可愛い以外に京ちゃんの言う「飾利のまま」でいるために、まっすぐ感情のままに京ちゃんの前では振る舞っている。
別れをチラつかされても好きでいて、心を乱されても好きでいる
なんか歪な関係かもな。と胸に引っ掛かりを覚えながらそれを噛み砕いて奥底に沈める。
歪さを光も届かないような水底へ沈めて、この甘い時間に私は浸る。




