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隣に住む女の子の壁越しの生歌に泣けて郵便受けに「リアル投げ銭」してしまいました。  作者: 坂井ひいろ


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6-4 アルバム十三曲目の最終曲は涙のバズーカー!

今や時の人となった元アイドル沖星桃華おきぼし ももか


彼女の最初の曲を作曲した人物とて音和は祭り上げられて人気も爆上がり。


音和ネットの視聴者数は右肩上がりの指数関数グラフのように伸びている。


桃華さんの事務所の社長の後押しもあり、音和緊急全国ライブハウスツアーも決定!


音和に引きずられるように伝説のバント『ピテトロ』も街を出た。


謎オジ集団も『押し命』とばかりに有り金抱えて街を出た。


残された『軽音部』の連中と『映像研』の面々は旅費を稼ぐためのバイトに勤しむ。


かくして、東大軽音部の部室はスッカラカン。


誰もいない部屋を後にして街をさ迷う。


掲示板に貼られた『夏祭り!花火大会!!』のポスター。


スイカのイラストの横に『かき氷始めました』文字。浩太は旗をやり過ごして、川のほとりへと辿り着く。


ドーン、ドーン。


気のはやい花火が大輪を咲かせる。


音和との出会いの曲『スイカ』を口ずさむ。


『都会の夜空に 花火がひらいて

その一瞬の光が 胸にちくっと刺さる

君に向けた 届かへん言葉だけ

車窓の外に すっと消えていく』


「そろそろかな」と尻についた葉っぱを払って青い芝生の上に立つ。


夏の風物詩を横目で見ながら、立ち並ぶ屋台の黄色い電灯の下を歩く浩太の背中には哀愁ばかりがこびりついていた。


六年眠って、たった五か月でスターダムに駆け上がっていく音和の後姿を追ってきていたような気がする。


「ほんと、セミみたいなやつだった」


秋からラジオで音和がパーソナリティを務める『毒舌、悩みなんかグーパンチやで』という深夜番組が始まることも決定している。


「悩みを解消するんじゃなくて、向き合って、一緒にぶっ飛ばすなんて企画、まったくもって音和らしい」


金に囲まれて『うっしっし』と笑う桃華さんの事務所社長のどや顔が目に浮かぶようだ。


「けっきょく、ツアー中に完成した十三曲目のタイトルすら教えてもらえなかったな」


今日は元アイドル沖星桃華、初のソロコンサート。持ち歌一曲でも単独コンサートを強引に開けるほど事務所社長は有能だった。


「俺のやることは終わったな」


桃華さんのコンサートチケットをポケットから引き出して眺める。ライブハウスなんかとは比べ物にならない、何万もの観客を飲み込む国内屈指の巨大ホールだ。


『恋の痕と跡と後』の作詞兼作曲家として音和、バックバンドとして『ピテトロ』のメンバーも出演者として名前が載っている。


「お待たせ」


宮脇早苗みやわき さなえこと、浩太の元カノに後ろから肩をたたかれ振り向く。


彼女の横には浩太にそくっりくな気弱そうな体形をした男。早苗さんの今カレこと山崎陽斗やまざき はるとがペコリと頭を下げた。


二人はお揃いの浴衣でキメ、夏祭りの会場に馴染んでいる。二人は収まるところに収まり、先の道を歩み始めた。


就活の先で偶然同じ会社の面接で鉢あって、早苗さんを仲間に加えてLIENグループで互いに情報交換する程度の仲になっている。


もともと浩太と陽斗は、顔や体形だけでなく性格や好みも似ているので気が合う素地はあったと思う。


ちなみに浩太は、陽斗が音和の隠れファンだと早苗さんリークで知っている。


三人がホールに入ると人、人、人の超満員。熱狂の渦の中、元アイドル沖星桃華の単独コンサートは幕を開けた。


音和が作った『恋の痕と跡と後』を自分の曲として歌いこなす桃華さんの貫禄は圧巻だった。


曲が終わるとバンド紹介。『ピテトロ』のメンバーが切れのある演奏でそれに応える。


かくしてトリとなる音和が壇上へ……。


赤いジャージ、首には本革のチョーク。しかもソバカスがくっきりのノーメイク。場違いな中学生の登場で会場はざわつく。


「くっ、何にも変わっとらん」


初めて出会ったときの音和が立っている。


「んじゃ、この場を借りて挨拶代わりに一発、歌わせてもらいます」


うっ、歌うんかい!


広い会場の中、まっすぐここだけを見つめて、


「聞こえってっか、浩太!届け、新曲『今更やけど君やったんや』いくでー」


なっ……、おきて破りの個人攻撃で会場騒然。


音和が得意とする物語り性も毒もまったくない。ただ感情だけを歌詞にしたような曲。


アルバム十三曲目の最終曲が、ロケット砲弾みたいに浩太のハートを真っすぐ撃ち抜いた。


会場全体が涙する中、音和はギターを『大将』に預けて観客席を走り抜け、浩太の胸に飛び込んだ。


END


【歌詞公開】『今更やけど君やったんや』


なんや知らんけど…

胸んとこ、またチリッてしたんよ。


君の声って なんでやろな

時間ときすぎても じんわり守ってくる

離れてから気づくなんて

ほんまアホやで、私って


毎日のちっちゃい優しさも

そばにあったぬくもりも

「こんなん、誰にでもくれるやろ」なんて

調子のった目ぇしてた あの頃


わがままなん?迷惑なん?

今更やって 笑われるかな?


ずっと ずっと 探してた

ほんまは 目ぇそらしてただけや

やっと やっと 今わかった

今更やけど… 君やったんや


君のまっすぐなとこだけ

胸の真ん中で光って 目ぇくらむほどで

ほんまは私 怖かってん

あんな愛、受けきる覚悟なかった


わがままなん?迷惑なん?

こんなタイミングで言う私、

ちょい最低やなって 分かってるけど


いつも いつも そばにおった

その温度 まだ消えてへんねん

きっと きっと 今やから

やっと言えるんよ 君がよかった


この一瞬も このトキめきも

もう隠されへんねん

きっと きっと 今やから

今更やけど… 君やったんや


今更やけど… 君やったんや



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<YouTubeで音和生歌を公開>

音和だよ!これで終わりや。な、泣いてもたやろ。それでええんや。

だけどな、人生はまだまだ続くんや。だからこの歌があるやんで。


YouTubeアドレス:https://youtu.be/0zYGsNmw5Dw


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作者より:

新しい創作の形として、自作の歌詞をAIで曲にしてみました。

苦手な方はスルーしていただいても、小説本編には全く影響ありません。

作品の奥行きを感じたい方は、ぜひ聴いてみてください。

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音和セカンドアルバム『SOU 蒼・颯・創』収録予定曲から本日の「おまけ」です。

音和(TOWA) - 転がる石

YouTubeアドレス:https://youtu.be/t-MbaGqQeCo


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