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隣に住む女の子の壁越しの生歌に泣けて郵便受けに「リアル投げ銭」してしまいました。  作者: 坂井ひいろ


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6-2 ピンチヒッターはホームラン打つんが基本やで

「よう、音和ちゃん。ちょっと助けてほしいんだ」


いつものように東大の『軽音部』に入り浸り、学生に囲まれてワチャワチャしている音和。


用務員の制服に身を包み掃除用具を抱えた伝説のバント『ピテトロ』のリーダーこと『大将』が声をかけてきた。


「大将、どないしたん。らしくないやん。お世話んなってるからなー、何でも力になったるで」


掃除のおじさんの正体が五月祭でバレてしまい、気安く、大柄な態度で会話する音和に恐れおののく学生達。


それでなくても、いつも難しい顔して眉間にしわ寄せ、いかつい顔しているのにと言うのが大方の学生の意見。


「それがなー、『ピテトロ』のボーカル知ってるやろ」


「会ったことないけどサングラスとひげがトレードマークの『オクやん』やろ」


大将まねて眉間にしわを寄せる。男子学生は音和のそんな顔でもキュン死寸前。


無類むるいの女好きって言う。どうせ私の歌よりも女選んだんやろ」


五月祭に『ピテトロ』の中で唯一欠けたメンバーをディスる。


「まーまー、そう言わないで。あいつも一応ボーカルだから嫉妬して……」


「そんな玉か!知っとるんやで。あっ・た・こ・と・も・ないけどなぁ。女やろ。なぁ、女なんやろ、なっ、なっ!」


右手のこぶしを強く握って、ペシペシと左の手のひらに打ち付ける音和の気迫にたじろぐ掃除のおじさん。


「くっ、その通りです」


瞬時にゲロる。


「その、そのなー、『オクやん』がなー、女にかまけて頼まれていた後輩バンドの曲づくりを忘れてたらしくて……」


プルプルと震える音和の顔がみるみる赤くなっていく。怒れる鬼の形相ってやつである。男子学生は音和のそんな顔にとん死寸前。


「もう納期がなくて……頼む、早作詞のスーパールーキー、一曲作ってくれんか」


伝説のバント『ピテトロ』の大将が膝に頭が付くくらいのお辞儀で頼み込み。


「お断りだな」


「えっ」


大将と学生さん達がの声が重なる。


「私が求める曲じゃない」


くっ、意趣返いしゅがえし!浩太が五月祭で音和のバンドを依頼した時と立場が逆転している。


「わっ、わっかった。曲には一切口をださん。もう、好き勝手やってい。音も二日で合わせる」


「ほいかー」


ニヤニヤ顔の音和に、後一押しと感じた大将はダメ押しの一言を放つ。


「ギャラは先方から十万、副賞として俺からカップラーメン二ケース、いや、もう、大奮発で三ケースだ」


なにやらバラエティー番組のクイズみたいになっている。


「乗った!」


チョロいな。と思った『大将』であった。


ちなみに後輩バンドと言ってもそこは伝説のバント『ピテトロ』の後輩。先方のギャラは二十万。


ロック界ではかなり有名なバンドであることを音和は打ち合わせで初めて知ることとなる。


音和に十万払っても『ピテトロ』メンバーで高級焼肉食い放題である。


こうしてでき上った曲が『古着屋の黄色いコート』。


ちょっと大人感を出したロックバラード。感情がしっとりと染みる様な曲である。


もちろん、打ち合わせには浩太も参加し、提供者である音和のアルバムに加える権利もしっかりキープ。


アルバム収録曲十三曲に対して残り二曲。音和の野望は着々と実っていく。


「ぐっはっはっは。ピンチヒッターはホームラン打つんが基本やで」


『軽音部』から発せられた『学生でもない音和の声』が東京大学サークル棟全体にこだました。


「音和、契約書」


「全部、浩太に任せたで」


日に日に存在感が薄れていく浩太だった。



【歌詞公開】『古着屋の黄色いコート』


抜ける風の冷たさが…

まだ私を呼び戻しよる…


ひとりで歩く この街ん中で

古着屋のラック揺れてる 黄色いコート

なんや胸の奥チリチリして

ほどけかけの恋が また指先まとわりついてくるねん


ふたりで歩いた あの角んとこで

財布からぽろっと出てきた 映画の半券

忘れたろ思てたはずの面影も

気ぃ抜いたらすぐ 夜風みたいに追いかけてくるわ


ほんまは分かっててん

恋なんて結局 泥ん中の蓮みたいなもんやろ

水ん上の花は綺麗でも

根っこはドロん中で じたばたしとるんや


波みたいに 全部過去へ流れていくけど

あせて さびて くちても

心ん底のいちばん奥だけ

なんでか知らんけど

あの日のキミ 色落ちへんねん


ひとり彷徨う 夜の路地裏で

にじんだネオンが 置いてきた夢照らしてくる

腹立つくらい キミの影がまだおるし

ほんまこれ もう呪いやで


分かってたんよ

世界が広すぎて ふたりじゃ持て余すって

「悔やまへん」なんて強がっとるけど

ほんまは今でも ちょっとチクっとすんねん


波みたいに 全部過去へ流れてくけど

あせて さびて くちても

触れたらあかん心の真ん中だけ

まだキミの影が

ぎゅっ、ぎゅって 脈うってるわ


ひとりで歩く この街ん中で

古着屋で揺れてた あの黄色いコート

昔の私より

たぶん今の私のほうが似合うはずやのにな


キミが好きやった 黄色いコート

ほんまはまだ

手ぇ伸ばされへん ままやねん



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<次回予告>

6-3 アイドルやって人間や!全部晒して我が道を駆けのぼれ

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<YouTubeで音和生歌を公開>

音和だよ!ついに後に曲や。なんや終わってもうのが寂しなって来たわ。

んでも、終わらん物語はないんやで。だからしんみり聴いとってや。


YouTubeアドレス:https://youtu.be/epbhdff33AU


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作者より:

新しい創作の形として、自作の歌詞をAIで曲にしてみました。

苦手な方はスルーしていただいても、小説本編には全く影響ありません。

作品の奥行きを感じたい方は、ぜひ聴いてみてください。

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音和セカンドアルバム『SOU 蒼・颯・創』収録予定曲から本日の「おまけ」です。

音和(TOWA) - 白銀の結晶

YouTubeアドレス:https://youtu.be/qsVKFCtdTRM

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