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隣に住む女の子の壁越しの生歌に泣けて郵便受けに「リアル投げ銭」してしまいました。  作者: 坂井ひいろ


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5-3 懲りない女の懲りない嘘は見栄張っても治らんのや

「なあ、早苗ちゃん。新しい彼氏、追い出したらしいで」


くっ、また爆弾放り込んできやがった。


「音和さん、早苗さんとやり取りしてんのか」


「まあ、ファンは大事にせんとあかんし、彼女、清楚っぽい感じで、あれはあれで男を狂わす素質あるで」


「早苗さんはそんな人じゃない。早苗さんに限って……そんなこと……」


「せやか、美人やし、賢いし、私と違って男をうまく立てるし」


「……」


「残念なんは浩太と同じである意味、無自覚なんよなー。あれじゃ、良い虫も悪い虫もわんさ寄ってくるで」


「……」


ぐひひとわらうかと思ったら、はぁーとため息をつく音和さん。


「女はなー、男の願う『綺麗な思い出』なんて案外知ったこっちやないって思っているんやで。もっと強い生き物なんや」


「……」


「最後の男が全てって言ったやろ。子供を育てる財力が、なんやかんや結果なんや。生物の本能やで」


「……」


「その点、浩太は合格や。東大やしな。今ならワンチャンあるで。小指と小指の赤い糸はかろうじて一本切れずに残っとる」


揺さぶり方がエゲツない。


「まっ、まだまだ迷っているみたいやから、頼まれて歌にしたったわ」


「早苗さんが自分から音和さんに頼むなんて……」


「早苗ちゃんにとって私の歌は人生の疑似体験なんやろな。浩太が四年も縛るから大切な青春、取り戻したいんやろ」


「……」


「飢えている分だけ、強ようなるんや。残酷やれどな」


「早苗さんはもう聞いたのか」


「あぁ、一回目でもうこれでもかって号泣して、二回目はボーとなって、三回目は涼しい顔しとった」


聞きたくない。音和さんの曲でも、知りたくない。


「今の彼氏とよりを戻すか、浩太に頼るか、それとも新しい恋に走るか。三叉路さんさろの分岐点。戻ることはできないけど先で交わるなんてよくあることやで」


手を伸ばさずにいると音和さんは勝手にCD-Rを俺のパソコンに差し込んだ。


点滅するLEDに息をのむ。聴きたくない、でも抗えない。


流れ出した曲名は『ケトルにつけへん嘘』


缶コーヒーをチビチビ口に含んでいる姿が思い出される。それが紅茶に戻ったのは何時だったろうか。


また、変なやせ我慢をしてんじゃないだろうか?それとも新しい彼に染まったのか。


曲を聴き終えると浩太はカバンを手に取る。


「ちょっと出かけてくる」


そう言い残して、浩太は慌ただしく玄関ドアを開けて出て行った。


残された音和は相棒のギターにぶら下がる合鍵を睨みつめる。


「私らしくないことしてもうたわ。ほんま、どないしたんやろ。時々、胸ンとこがなんや『チリッ』てするんや」


音和は髪を搔きむしって、浩太の枕に顔を埋めた。


【歌詞公開】『ケトルにつけへん嘘』


君を追い出した あの日の午後

君が触れたもん 全部入れ替えたんや

シャンプー 玄関の芳香剤

カーテン スマホさえ

キミの痕跡なんて 一個もいらんって思ったんや


正直、胸のそこから スッとしたで

好きな時間に 好き勝手して

君のわがままに振り回された

自分なくしてた日々 返してほしいくらいやわ


ケトルの湯気 珈琲の香り

出会いアプリを 指でめくるんやけど

君が転がり込んでくるまでは

ずっと紅茶派 やったのにな

気づけばケトルに 一ぱい分だけお湯が残んねん


ケトルの笛の音 まだ耳に残っとる

二人掛けのソファーの 空きスペース

君が適当に混ぜた“特製ブレンド”

なんでか知らんけど 急に思い出すねん


いつの間にか 君を追い出した

玄関ドアを ぼーっと見つめててさ

「一人やし快適やろ」って強がってた

この小さなアパートで


しん…っと静まり返った 部屋の空気

耐えきれんくて テレビつけたんや

君が好きやったバラエティ

ほんまは苦手やのに 指が勝手に選んでた


出がらしの豆に ケトルを傾けたら

香りも深みもない 味気ない珈琲

しつこくこびりつく 君との暮らし

もう未練なんか ないつもりやのに

どうしてもケトルに残ってまう 一ぱい分のお湯


知らんうちに 君を求めてた

ドアベルが 鳴るのを期待してたんや

「帰ったで」って笑う幻

もうどこにも隠せへんわ


ここは君と私の“城”やった場所

ケトルにつけへん嘘が 一ぱい分のお湯に浮かんでる

強がりも意地も もうアカンみたいや

未練の正体を やっと認めた気ぃするわ


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<次回予告>

5-4 最初のキスは血の味に染まる

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<YouTubeで音和生歌を公開>

音和だよ!聴いたってや。なんやこの曲、女のサガなんやよなー。


YouTubeアドレス:https://youtu.be/C0en4JBp_Hw


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作者より:

新しい創作の形として、自作の歌詞をAIで曲にしてみました。

苦手な方はスルーしていただいても、小説本編には全く影響ありません。

作品の奥行きを感じたい方は、ぜひ聴いてみてください。

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音和セカンドアルバム『SOU 蒼・颯・創』収録予定曲から本日の「おまけ」です。

音和(TOWA) - 一歩踏み出す勇気

YouTubeアドレス:https://youtu.be/5gheadm6Seo


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