表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浦島太郎のリスタート、のんびり浦島さんの現代暮らし。  作者: カジキカジキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/35

激震

「本年もよろしくお願いします」


 正月休みが終わり、気怠い気分で出社した私はPCの電源を入れた。社内専用のネットワークに繋がったシステムなので持ち出し厳禁、もし見つかったら厳重処分が待っている。


 久しぶりに立ち上がったPCのメールを見ると。数通の業務連絡の中に、重要マークの付いたメールがあった。


「えっと、なになに?」


 カチカチッ。


「!!」


 顔色が悪くなった私をみて、新人ちゃんがPCの画面を覗き込む。


「えっ!? 新規バイオ研究開発部門の発足。総責任者が鬼島部長で、開発主任が先輩!? えっ? 先輩いつの間にこんな話しが来ていたんですか?」


「知らない……私だってこんな話聞いてない! 所長! 所長は知ってたんですか!?」


 席に座っている所長の姿は、とても小さくなっていた。


「お正月に、プライベートのスマホに連絡が来てね。既に決定事項だからと、一方的に通告されて切られたよ」


 私と新人ちゃんが顔を見合わせていると、研究室の扉がノックされてある人物が入ってきた。


「来てるじゃない、ほらさっさと来なさい。今からメンバーの顔合わせがあるんだから」


 鬼島部長だ、部長はズカズカと室内に入ってくると。私の腕を掴んで引っ張り、外へと連れ出した。


「新人ちゃんごめん! 後で荷物取りに来るから!」


 引っ張られるままに連れて行かれるのを嫌って、腕を振り解く。


「あら?」


「自分で歩けますから!」


 そう言って、部長の前を歩き出す。


「どこの部屋だか分かるのかしら?」


 歩き出した足を止め、ジッと部長が動き出すのを待つ私。


「ふん」


 勝ち誇った顔で私を見て、悠々と歩き始める鬼島部長。


 くやしー! 絶対成果なんて出すものか! あの人に迷惑はかけられないのよ!


◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆


 どうもワン麻呂です。


 今年は正月早々にも嬉しい出来事があり、さらに十日ほど過ぎたある日。ついに新しいスタジオからの初配信の日を迎えました。


「はーい!柿本one麻呂(かきのもとのワンまろ)

 ワン麻呂チャンネルだワン! 今日は、遂に新しいスタジオからの初・配・信! どう? ワン麻呂もカッコよく映ってるかな?」


『あんたVtuberでしょ』『音は良い気がする!』『まさか!』『何々?』『マジか! 4K対応になってる!』


「リスナーの皆も分かったかな? ワン麻呂チャンネルは機材も一新! 4Kにも対応しましたー! 拍手!」


『88888888』『8888……』


「これからは。より高画質、高音声にて配信して行きます。リスナーの皆さんも、今後とも宜しくねー」


『もうキャラ忘れてる……』


「ワン!」


『ちょっと待って! と言う事は浦島氏のお顔がもっと綺麗に見られるの!?』


「あ、申し訳けないワン。今後はゲストも完全Vtuberキャラのみで登場となります」


『なんでよ!!』『いも子残念』『いも子』『いも子』


「それでは早速、今回のゲストにも登場して貰うワン! 浦島太郎さんですー、拍手」


『888888』『キャー!』『8888888』


「こんばんは、浦島太郎です。明けましておめでとう御座います」


『あふん』『イケボ』『声も4K』


 今回の配信は、新機材のテストも兼ねていたので内容は薄く、リスナーとの雑談でほぼ進んでいました。それでもリスナーの反応を聞く限り、悪く無いと感じていたところ。


『こんばんは、突然割り込んでしまって申し訳ありません。こちらの浦島太郎さんと内密なお話しをさせて頂きたいのですが。お時間取って頂けないでしょうか?』


『何?』『誰?』『何々?』『私を置いて浦島氏と何を話そうと言うの!?』


 突然、変なメッセージが入り込んできた。ワン麻呂チャンネルは限定では無いので誰でも見る事が出来る。が、今日のこのタイミングは告知期間が短く、ヘビーリスナー位しか入っていない。誰だろうか?


「儂と話がしたいのか?」


『浦島氏! 相手しちゃダメよ!』『ノー!』


『初めまして浦島太郎様。私は、今は名乗れませんが、決して浦島様に不利益になる話しをするつもりはありません。是非、私共と会って話しを聞いて頂きたいのです』


「何の話しじゃ?」


『詳しくは申せませんが、ドクダミ……とだけ』


『ドクダミ?』『ドクダミ……』


「どなたか存じませんが、勝手に話しを進めないで頂きたい。此処は我々の趣味の場で、営業の場では無いのですから」


『失礼致しました……では、ワン麻呂様の事務所宛のメールアドレスに連絡を入れさせて頂きますので、後ほどご確認下さい。では、良いお返事をお待ちしております』


 そう言って、そのメッセージの主はログアウトしてしまった。

 

◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆


 私が、今日のワン麻呂チャンネルを視聴していると、突然変なメッセージが入り込んできた。直ぐに手元のスマホを操作して電話を掛ける。


「もしもし! 今すぐこの書き込みのIPを辿って持ち主を特定して!」


 何なのこの書き込みは! 何が内密に話しをしたいよ! ふざけんじゃないわよ!


 こないだのあの女だって、おじさんて女たらしなの? 色々と考え事をしているうちに、メッセージの主がログアウトしてしまった。


「こうしちゃいられないわ」


 私は、服を着替えながらフロントへ繋がる電話の受話器を上げる。


「もしもしフロント? 私だけど、いつものハイヤーを至急呼んでちょうだい!」


 そして、スマホだけ持って一階へと降りて行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ