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浦島太郎のリスタート、のんびり浦島さんの現代暮らし。  作者: カジキカジキ


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飲み過ぎ注意

 私と教授は、いつもの飲み屋に来ていた。


 カウンター席の向かいの棚には、ずらりと並んだモルトウイスキー。大将が好みのお酒を仕入れていたら、いつの間にか何処ぞのバーの様なバックバーが出来上がっていたそうだ。大将の格好は、ねじり鉢巻に法被姿。今は焼き鳥を焼いている、私の頼んだ豚バラまだかな。


 「ねえ教授。結局、浦島太郎さんて誰なんでしょうかね?」


 あの生配信を公開してからずっと考えていた事をふと、教授に聞いてみた。


「ふん? 浦島太郎氏か? そうだな、痴れ者か記憶喪失か、悪ふざけを楽しんでいるだけなのか……私としては、本当に千四百年前の飛鳥時代からタイムマシンで来たと言われても、信じる気でいるけれどね」


 教授は大好きなウイスキーを、チビっと口にして鼻から抜けるアルコールとピート臭を楽しむ。ちなみに今日のウイスキーは『Ardbeg』

 

「やっぱりそう思いますよね! てかそう思わせる何かが浦島太郎さんにはありますよね!」


 興奮して前のめりになり、グラスのお酒が少し溢れてしまった。私のお酒は、壱岐の麦焼酎『壱岐ゴールド』です。


 浦島太郎さんが最初に目撃されたのは、横浜港の山下公園でした。海の上を亀に乗ってやって来た所をスマホに撮られて、SNSや動画サイトに上がっているのを私も見ましたよ。


 あの姿や、会話した時の雰囲気。現代の文字は読めず。試しにスマホを使って、奈良国立博物館のデジタルコレクションで日本書紀の最も古いやつを見せたら。そらもう目をキラキラさせて読み始めたのです。


 そらね、私らも趣味で万葉集を楽しんでいますから原書は見た事ありますよ。勿論デジタルコレクションで、あと国立博物館などで展示がある時には見に行ったりね。で、ある程度は読めます。読めますが! まるで、現代語版に訳された内容を完全に記憶していて読んでいるかの様に読めるかと言うと……。


 それに、読んでいる流れが違う。原書はフリガナなんてないし、万葉仮名も使われておりスラスラと読むには我々には難しい原書の書物を、ああも気持ちよく読めるだなんて!


 浦島太郎氏が生まれた年代と、書物になった日本書紀や万葉集は時代が合わない。と言った話は、教授が配信の中で語った、竜宮城の時間経過のズレ問題で解決する。


 と言うか。浦島太郎氏は、既にこの世界では火事や戦争などで消滅した。当時の原書を読んだ事のある唯一の人物かも知れないのである。


「とにかくね教授!? 浦島太郎氏は我々でしっかり守っていきましょう。今は、私のポケットマネーで安ホテル住まいをして貰っていますが、出来れば今すぐにでも立派な住まいへ引っ越して頂きたい。それこそ平安京! 京都御所でも住んで貰いましょうよ! 浦島太郎氏だったら、その資格ありますよ!」


「ワン麻呂……それは良いアイデアだ! 千四百を生きる生き証人! 当時の貴重なご意見を聴かせて頂ける重要な人物だからな。それこそ、東大や京都大学、奈良大学の教授仲間に声を掛けても良いかもな!」


「いいですねー」


「早速声を掛けてみよう」


「「わはははははは!」」


◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆


 ジュー ジュー!!


 パチパチッ!


 あの二人。いつも飲んだら、ああして盛り上がっているけれど、まだ一口しか口にしていないんだよな。それで良くあんなに酔えるもんだね。感心しちゃうね。


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