お地蔵さん
あれはいつだったか……
私がまだ未成年だった頃、ひなびた国道に面したところにお地蔵さん小屋があった。
場所はその頃住んでいた家のちかく。
お参りするというよりは、通りがかったら軽くあいさつして、手を合わせる感じだった。
お地蔵さんの足もとには、いつも何かしらお供え物が置かれてあった。
日によっては、友だちと寄ったこともあった。
調べたら地蔵は【仏】さんの別の姿らしいので、なるほどそうなんだぁ、と妙に納得していた。
ある日の駄菓子屋さんの帰り、【雨】に降られてしまった。
ここからの記憶はあやふやなのだけれど、なぜか、狭い国道を渡ってお地蔵さんのいる小屋でしばらく佇んでしまった……。
今振り返っても何でそうしたのか分からない。
ただ、そこに居たかったのだろうと思う。
やがて雨は止み、私は家へ帰った。
その翌日には、私は記憶していないが、
田舎ののどかな畑ばかりの風景の上に【青空】が広がっていたはずだ。