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里神楽と雁取り翁

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

持ってけドロボー!!

という訳で、小さい子に沢山食わせねばという気持ちになりました。


ふらりと街を彷徨っていると、祭囃子の音色が鳥居を潜って聞こえてきた。ピーヒャララ、ピーヒャララ。夏祭りでしか聞きえない季節外れの音に導かれて、私は神域へと足を踏み入れる。

冷たい混凝土の地面を踏み締めて、音の在り処を探ると、何時もは閉ざされた神楽殿が開かれて、面を付けた男性が舞を披露していた。ひょっとこの面だった。軽快に手足を動かして、くるりくるりと小さな舞台の周りを歩き回る。演目を見ても見知らぬもの。故に、この芸事の内容を知るには及ばず。

それでも興味が惹かれた事は嘘では無い。私は見晴らしの良い場所を陣取ると、そのままぼんやりと御神楽を観察する。すると真隣から声が聞こえてきた。

「これを見たのは初めて?」

「はい。まぁ」

綺麗な青年だった。肌は透き通る程で、目は紺碧と言うに相応しい色。うねりのない長髪を一つで纏めている。まだ寒いのか、暖かそうなコートを肩から被っている。全体の均等が取れているせいか、スタイルが抜群に良い。

あまりジロジロ見るのも失礼かと思い、御神楽に目を向けると、ひょっとこは退場し、代わりに福福顔の翁がゆっくりとした足取りで小槌を振るっている。

「最後にはお菓子が撒かれるよ。花咲の翁の如く」

あぁ……如月特有の。如月って何かとお菓子がばら撒かれる気がするのは、私の気の所為であろうか。節分しかり。菓子撒きしかり。

そんな事を考えていると、大黒天様が籠に入ったお菓子を高く掲げ、『近う寄れ』と仰る様に手招きなされた。握られていたのは縦長のスナック菓子。皆大好き美味しい棒。それを青年が言った通り、花咲かの翁の如く撒いていく。現場が湧く。老若男女問わず、年甲斐もなく手を伸ばし、燥ぐ。童心に返ったように。

「良いですね、とても。老若男女問わず年甲斐もなく楽しんで。でも決して人の物は奪わず」

こういう事があると、体の大きな大人と言うのは、子どもの元に落ちたお菓子であっても奪いに掛かるものだが、今の祭りは平和だった。皆が皆足元に落ちたお菓子に専念している。

楽しそうで何より。たまにはこう言う地域密着型の催事があっても良いと思う。

「君は取らないのかい?」

「私は……いいです。寧ろ周りに居る小さい子が取るべきです」

頑張れ!! 前に落ちたぞ!! 君の取り分だぞ!! よしよし。

私に子供はいないけれど、居ないからこそ此処で与えなくては。小さい子は私達大人よりもより多くの養分を必要とする。後は老いて死ぬだけの私よりも、もっと沢山食わせなければ。それに。

「あまりガツガツと欲を貪るものではありませんよ。年甲斐もなく楽しむ分には良いのかも知れませんが、周りに睨みを効かせてまで奪うのは見苦しい。神の御前ならばなおの事」

子供の分の菓子まで横取りする見苦しい人間を、此処の御祭神はどう思われるのか。そう思うと、必然的に見る側に回ってしまう。御利益は欲しい。けれども欲に塗れていたら、それさえもきっと気が付かない。

「いい子だね。……そんな君にはきっと良いことがあるよ」

それだけを言うと、青年はもう用は無いと言うように、その場を後にした。鞄の中に小倉の羊羹がひっそりと入っている事に気が付いたのは、この社を出た後の事だった。もしかしたら、神はその場にいらしたのかも知れない。人に擬態して、共に宴を見て。

花咲爺さんの似た話に雁取り爺という話があるそうで。

神社で撒くと言えば、落雁でしょ〜。

という事でこのタイトル。


声を掛けてきた青年は三緒様が人に擬態した姿かと。

白髪、浅葱の目だと浮いてしまうので。

謙虚な姿を見て、正当に評価して頂いたら嬉しいと思います。

それはそれとして、この主人公、プライド高いなぁと思います。


人生で初めて真っ当に御神楽を見ました。

内容分からん〜。

でも楽しかったです。

お菓子のばら撒きは幾つになっても楽しいものです。

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