第23話 宗教モドキ
ホテルへ向かうバスの中
ぼー、と私は外を見ていたら。
「ん?」
なんか、第六感?というか何かが引っ掛かった。
「直樹、アル」
「お?」
「む?」
「あと任せた」
そう言って私は車窓に足を掛け、飛んだ。
駆逐艦の馬力で、半ば飛行するように飛んでいく。バスの音はもう聞こえない。
「えーと、そこか」
関節で衝撃を吸収し着地する。
不思議な少女の横に。
「…えーと」
話しかけようとして、固まる、此処まで直感に引かれるまま来ただけであるからだ。
「なれないよ」
「へ?」
そんなこんな困っていたら少女の方から話しかけてきた。…なれない?
「なれない…何に?」
とそこで少女、長い薄紫な髪の毛の少女が振り返る。
少女は、何故か、泣いていた。
…
「ナギ、あなたはアメリカに認められた、でも、あなたはアメリカ人にはなれない」
「…そう」
「愚かなのは私たち、本来ナギは名実ともにアメリカ人、でも、だけど、私たちはそれを認めない」
「でももし、再び極東の亡霊がここを襲い、ナギがそれを退ければ…ナギ、あなたは…
「起きるのじゃよ」
「…む」
バスの中、どうやら寝てしまい夢を見ていたみたいだ。
「ふはは、ナギちゃん、ねむねむか?ホテルまでおぶってやろうか?」
「任せた」
「ちょ、まて、冗談!冗談だよ!」
「違うの?」
「な、ナギ、お、落ち着け、そのちょっと悲しそうな美少女顔はい、いろいろとマズイいマズい!」
なんか直樹が顔を真っ赤にしてわめいているが放置でいいだろう。
…しかし、先ほど見た夢…本当にただの夢か?それにしては現実感がありすぎたような…
…
「ねえ直樹」
「うお、今後はいきなり真面目な雰囲気に?」
「…愛国心って何だと思う」
「…は??」
「…」
「あ、えーと、その国を愛すること?なんじゃないか?」
「その国とは、なに?」
「えーと、人々が生活していくために造られたシステム、みたいな?」
「うん、私もそう思う」
「お、おう」
「ほーら、なぎ、直人おりるよぞ!」
「あ、うん」
「お、おうすぐに!」
そのままホテルのエントランスに入る。
「手続きは私がしておくのじゃ、貴様らはそこらへんでやすんでいろ!」
「アルは慣れている感じね」
「おう」
「…」
「…」
「ナギ、さっきの話は…結局何がいいたかったんだ?
「愛国、私の主観だと国というシステムを信仰する集団、人か作った不完全なシステムなんてものを」
「それは…少し論理の飛躍があるじゃねか」
「うん、だから私の主観、愛国心とは国家という不完全なシステムを信仰する、つまり」
「…はぁ、つまりなんだ?」
「宗教モドキ、それが私の考える愛国心なるものの正体」
「…」
「…」
「と、言うわけで直樹」
「…なんだ?」
「さっさと準備して戦艦見に行こうぜ戦艦!」
「ふぉわ!?さっきの辛気臭い話はどこ行ったんだよ???」
「さあ?主砲斉射の反動でどっかいったんでしょ!それより戦艦戦艦リアル戦艦!!!」




