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Das Testament  テスタメント  作者: Siberius
Das Testament Mayu
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深淵の太母エキドナ

「くっ、さすがザドキエルか……」

ブラッツォが憎しみのまなざしを向けてくる。

「ブラッツォ……ここまでだ。エキドナの復活など俺が許すと思うか? マユは返してもらうぞ」

「フフフフフ……フハハハハハハ!」

「何がおかしい?」

「フハハハハハハ! ザドキエル、エキドナ様は復活する! そして、地上を闇の世界に変えるのだ! 闇が支配する時代の到来だ! 闇よ、とこしえにあれ!」

そう言うと、ブラッツォは短剣を取り出し、自分の胸を突いた。

「なっ!?」

「ククク、安心しろ。何も自殺したいわけではないのだよ。この私はエキドナ様のところに還るだけだ。この私の魔力でエキドナ様を復活させる! エキドナ様! この私の仇を!」

ブラッツォは闇となり、マユを包み込んで闇に吸収された。

ザドキエルはマユを見た。

「くっ!? これは……本当にエキドナが復活しようとしている!」

「ああああああああ!?」

「マユ!」

マユが叫び声を上げる。

マユを覆っていた闇が形を取り始める。

それはラミア……それは一匹の巨大なラミア。

エキドナ神殿に封印されていた存在――深淵の太母エキドナであった。

「クハハハハハハ! 我は今よみがえった! ブラッツォよ、大義であった! フフフ……依り代も私と相性が良い。さて、そこのおまえ。おまえは何者だ? 見たところ天使のようだが?」

エキドナがザドキエルを睥睨へいげいする。

「俺はザドキエル! 漆黒の大天使ザドキエルだ!」

ザドキエルは大剣を構えた。

「ほほう……そなたがザドキエルか……我が復活した余興である! 我と戦え!」

「言われなくてもそのつもりだ!」

ザドキエルはエキドナと対峙した。

空気が、大気が、魔力が震える。

それらが震動する。

それはまるでエキドナに恐怖しているかのようだった。

エキドナは口から白い光線をはき出した。

すさまじい威力の奔流がザドキエルに迫る。

もちろん、ザドキエルはガードなどしない。

ザドキエルは飛翔して、白い光線の外に出た。

ザドキエルは空を飛びつつ、マユを見る。

おそらくマユはエキドナの核になっている。

そのマユを助け出せば、エキドナは体を失って崩壊していくだろう。

それがザドキエルの読みだった。

ザドキエルは飛びつつ、エキドナの首を狙って斬りつけた。

エキドナの首を斬り落とすつもりだ。

「まったくカトンボめが……忌々しい!」

白い光芒がエキドナの手から放たれた。

ザドキエルは回避のすべもなく撃墜された。

ザドキエルはくるくると回転し、地面に落下した。

「オーホッホッホッホ! これで終わりじゃ!」

エキドナはザドキエルに向かって白い光線をはいた。

すさまじい白い奔流がザドキエルを呑みこもうとする。

「させるか!」

「させないわよ!」

「!?」

そこにサリエルとミリエルが現れた。

「くっ、サリエル、ミリエル……」

ザドキエルは力なく立ち上がる。

ザドキエルは手に大剣を持つ。

白い、魔力の光線は二人によって上にそらされた。

「サリエル、ミリエル……俺はマユを助けたい。力を貸してくれ!」

「フッ、もちろんだ」

「ここまで来たら、ハッピーエンドしかないでしょ? アニキ、やるわよ!」

「おまえたち! ありがとう! おまえたちはエキドナをかく乱してくれ! その隙に俺がエキドナを攻撃して囚われたマユを助け出す!」

「わかった!」

「わかったわ!」

「ホホホ! カトンボが群れても同じこと……この私の前に絶望しなさい!」

エキドナは黒い魔法陣を展開させた。

その中から黒い犬の顔が次々と飛び出てきた。

犬の顔は蛇のように長い首を持ち、ザドキエルたちに襲いかかる。

「ホホホホホ! さあ、死になさい!」

「ザドキエル! 犬の頭は俺たちで潰す! その隙にマユを助け出せ!」

「あたしたちに任せておいて! アニキ、ヒロインは主人公が救出するものでしょ!」

ミリエルがウインクしてくる。

サリエルとミリエルが斬りこんだ。

犬の頭は二人を殺すべく襲い掛かってくる。

サリエルは氷の剣で犬の頭を斬りつけた。

ミリエルは聖炎剣で犬の頭を次々と潰した。

エキドナの関心は二人に引き付けられる。

ザドキエルはそれを確認すると、マユに向かって一直線に飛び立った。

「はあああああ! 黒光剣!」

ザドキエルの光が闇を払いのける。

「ギイヤアアアアアアアア!?」

エキドナがのけぞって大絶叫を上げる。

「来い、マユ!」

ザドキエルがエキドナの胸の中心にいたマユに手を差し伸べた。

マユの手がザドキエルの手をつかむ。

まるで黒い液体から救い出されるようにマユはエキドナの体の外に出た。

「ディック! ディック!」

マユが泣いて抱きついてくる。

「安心しろ。もう怖い思いはしない」

「ううう……うわーん!」

マユは泣き出してしまった。

ザドキエルはマユを地上に下ろした。

「マユ、俺にはやらねばならないことがある。しばらくのあいだ離れてくれ」

「うん……」

ザドキエルはエキドナを見た。

エキドナは人の姿にまで縮小していた。

サリエルはエキドナを斬りつけ、ミリエルは聖なる炎でエキドナを砕く。

それでもエキドナは再生できるようで致命的一撃は与えられない。

「さあ、エキドナ! これでとどめだ!」

ザドキエルは上空に大きくジャンプすると、くるりと回転し、空中を滑空した。

そして黒曜石の大剣を構える。

それは突きの構え。

大剣の刃から漆黒の光が輝く。

ザドキエルはエキドナの胸に駆る核をめがけて、漆黒の光の突き――『漆黒光突』を繰り出した。

これで決める!

ザドキエルの最強技がエキドナに襲いかかる。

漆黒の光の刃が空中から突撃した。

一気にエキドナに突き刺そうとする。

エキドナはもはや回避不能になった時それに気づいた。

「なっ!? 小僧!?」

エキドナの赤い目が見開かれる。

「これで、終わりだ!!」

ザドキエルの大剣が、エキドナの胸のあいだを貫いた。

「ギギャアアアアアアアアアアア!!」

エキドナが地を揺れ動かすほどの叫びをとどろかせる。

エキドナの目はもはや焦点が定まらず、虚空を見ていた。

「ま、まさか……この、この、この私が……!? ああああああああああ!?」

エキドナは白い光を放出し、爆発した。

それが深淵の太母エキドナの最期だった。


一つの転移魔法陣が教会に現れた。

それは回転すると、ザドキエル、サリエル、ミリエル、マユの四人を地上へと戻した。

「帰ってこれたのね。よかった……本当に良かった……わーん!」

マユはザドキエルに抱きついた。

「怖い思いをさせたな……だが、もう大丈夫だ。俺たちは地上に帰ってきた」

ザドキエルがマユの背中をさする。

「ありがとう、ディック!」

マユは背伸びをすると、ザドキエルのほおにキスをした。

「おやおや……」

「フフッ……これは特別だからね!」

マユはほおを赤らめた。

「ザドキエル様! それにみなさん! 魔界からもどられたのですね!」

そこにカリナ牧師がやって来た。

「ああ、カリナ。厳しい戦いだったが、ブラッツォもエキドナも死んだ。これで奴らの野望もついえた。闇の脅威は去った。これでこの町はしばらく平和になるだろう」

ザドキエルは戦う。

それは信徒を守るための戦い。

彼がいる限り、梅園市の平和は守られるだろう。

これは天使と悪魔の戦いを描いた物語である。

Das Ende

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