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Das Testament  テスタメント  作者: Siberius
Das Testament Shion
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幽閉と解放

ディックの洋館にて。

ミリエル、詩音、サリエルがいた。

ここはディックの執務室である。

しかし、ディックは戻ってこなかった。

「ディック、遅いわね」

「まだ帰ってこないのはアニキだけよ」

「いつものザドキエルならもうとっくの昔に帰ってきているはずだ」

「ディックの身に何か起きたのかしら?」

と詩音。

「あっ、思い出したわ!」

「何を思い出したんだ?」

「メロディアンは亜空間を操る悪魔なのよ。もしかしたら、アニキはメロディアンの亜空間に幽閉されたのかもしれないわ」

「亜空間か……いったん閉じ込められたら、厄介だぞ。しかも、それを解除できるのはメロディアンしかいない」

「それだけじゃないでしょ、ミリエルさん、サリエルさん? またメロディアンのところに行かなくちゃいけないってことでしょ?」

「理解が早いな。そのとおりだ、詩音」

「うっそ~! またあのメロディアンのところに行くの!? あたしはもうごめんよ!」

「でも、それしか方法がないんでしょう? なら、私が行くわ」

「詩音、おまえを助けるためにザドキエルは捕まったんだぞ? そのおまえがまたメロディアンのもとに戻ってどうする? 正気か?」

「私は正気よ」

三人のあいだに沈黙が訪れた。

「危険なのはわかっているつもりよ。だから私も連れて行って!」

「…………」

サリエルはしばらく黙っていた。

「わかったわ。詩音ちゃん、いっしょに行きましょう! 女は度胸よ!」

「やれやれ、まったくだ。途中で戦いになる恐れもあるというのに……」

「じゃあ、決まりね。あたしたちはもう一度メロディアンに会いに行く。ね、サリエル?」

「まずは情報収集だ。メロディアンがどこにいるのかそれを調べる必要あがる」


夜、ディスコの前にて。

三人の男たちが立っていた。

彼らはガードマンであり、ディスコを訪れる客の身分を確認していた。

その彼らが信じられないものを見た。

彼らに前に「誰か」が現れた。

「おい、冗談だろ?」

「天使か!?」

「天使がいったい何の用だ?」

「俺はメロディアンに話がある。ここを通してもらおう」

サリエルが言った。

「ふざけんな!」

「どうしても行きたいっていうのなら……」

男たちは互いの顔を見て下品な笑みを浮かべた。

「俺たちのしかばねを通っていきな」

「そうしよう」

サリエルは一人目の男に抜刀した。

「ぐあ!?」

さらにサリエルは二人目の男に斬りつけた。

「ぐおっ!?」

そしてサリエルは三人目の男に刀を突き刺した。

「ぎゃあ!?」

サリエルは男から刀を抜き取った。

刀を振るって血を払う。

「さっすが、サリエル! お見事ね。一瞬にして三人の男たちを斬り捨てちゃうなんて」

そこにミリエルと詩音が現れた。

「ここにメロディアンがいるのね」

詩音が言った。

「ここから先また戦闘になる可能性がある。ミリエル、準備をしておけ。そして、詩音、足を引っ張るなよ?」

「ラジャー!」

「わかっているわ」


意外なほど再度のメロディアンとの会談はあっさり実現した。

案内の女がサリエルたちとメロディアンのあいだを取り持った。

「あれだけのことがあって、こうしてまた再会できるとは思わなかった。運命を感じるな」

メロディアンが言った。

場所はディスコの中で、ソファーに座っての会談だった。

会談が実現したため、サリエルとミリエルは武装を解除している。

「俺たちはザドキエルを返してもらいに来た」

サリエルが淡々と告げた。

「ああ、ザドキエルか。確かに私が預かっているとも。クフフフ」

メロディアンはいかにも自分の手中に獲物が跳び込んできたと言わんばかりの様子だった。

メロディアンはサリエルたちの来訪を喜んでいた。

その笑みが詩音たちには気に障った。

「アニキを返してくれない?」

「私はザドキエルを持っている。取引をしたいのなら、そちらも魅力的なものを提示しないとな?」

「魅力的なものだと?」

「それはそちらが考えることだ。ザドキエルと引き換えになりそうなものを持ってこい。そうすればおまえたちのザドキエルを返してやるぞ」

「それなら、こういう取引はどう?」

詩音がメロディアンの頭に銀の霊弓を突き付けた。

メロディアンの額に矢が当たる。

「ディックを返すか、わたしたち、みんな死ぬか?」

「詩音ちゃん!」

「……本当にそんなことができると思っているのか、小娘?」

メロディアンの隣にいたペルセフォネが言う。

「彼女は本気よ! だって彼を信じているから!」

「……宗教的人間とは精神的狂信者のことらしいな……」

メロディアンは大きくため息を出した。


ディックは夜の駅にいた。

駅の中は誰もいなかった。

またいつまでたっても朝にならず、夜のままだった。

ディックはイスに座って、夜空の星々を眺めた。

ディックはプラットフォームのイスにもたれかかる。

「まったく俺らしくない。まんまと閉じ込められるとはね。しかもここは誰もいやしない。唯一共感できるのは夜空の星くらいだ。もっともあれも作りものだが……それにしてもどうやって脱出したらいいものかね……ん?」

突然、亜空間に変動が生じた。

空間がぐらつき出した。

「何だ?」

亜空間は消滅した。

「亜空間が消えてく……」

亜空間が消えた後、ディックは夜の公園にいた。

「ディック!」

「アニキ!」

「ザドキエル!」

そこに、詩音、ミリエル、サリエルがいた。

「よう、おまえたち。おまえたちが俺を助けてくれたのか? おかげで死ぬほど退屈な空間から解放されたよ。ありがとう」

「ディックが素直に『ありがとう』なんて言うなんて。珍しいわね」

「アニキらしくないわ」

「同感だ」

「おまえたち、俺を何だと思っているんだ、まったく」

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