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Das Testament  テスタメント  作者: Siberius
Das Testament Shion
23/60

アゴスティーノ

「まったくバカな奴らだぜ、なあ、おい」

マフィアのアジトは黒い屋敷だった。

アジトの一室にミリエルとアゴスティーノはいた。

「あたしたちがバカだって言いたいの?」

ミリエルはむっとして答えた。

ミリエルの手は手錠で拘束されていた。

ミリエルは床に座っていた。

「だって、そうだろう? 正義感だか何だか知らないが、マフィアの取引に首を突っ込んだんだ。ビビッてうろたえないほうが、よっぽどバカだぜ。あんたはなかなか気が強いな」

アゴスティーノは机にもたれかかった。

「姉ちゃんよ、その気の強さはどっから出てくるんだい?」

「これがあたしの本性ほんせいなのよ。ほっといて!」

「俺たちはな、ただのマフィアじゃないんだ」

「なにそれ。普通じゃないから特別だって言いたいの?」

「……」

アゴスティーノは銃を取り出すと、ミリエルに向けた。

「こいつが怖かねえか、姉ちゃんよ?」

「別に。ただ鉛弾を撃ちだすだけでしょ?」

「撃ってやろうか? 痛いぜ?」

「あたしは脅しには屈しないわよ?」

「あんたには人質として役に立ってもらうぜ。それまでは……」

ドカアアアアン! 

突如、屋敷の中から音が響いた。

こんな音は今まで聞いたことがない。

「なんだあ!? 何が起こった!?」

アゴスティーノは狼狽した。

異音は続けざまに起きた。

ズカアアア!

バキイ!

ドオオオン!

それを聞いたミリエルはニヤリと笑った。

それはディックとよく似ていた。

正体不明の異音はしばらくすると止んだ。

静寂が支配する。

アゴスティーノは驚きの顔を浮かべた。

いったい何が起きたのか、全く測りかねたからだ。

アゴスティーノにはこの静けさは不気味に感じられた。

アゴスティーノは扉を見つめた。

体に震えが走る。

しばらくすると扉が開いた。

「初めまして。俺がディック・ディッキンソンだ」

「おまえ、どうしてここが分かった!? アジトの場所は教えてなかったはずだぞ!? それに俺の仲間がいたはずだ!? なんで普通に入ってきているんだよ!?」

「事後説明しなければけないな。おまえの手下どもは全滅させた、この俺がな」

ディックは手に黒ワシのレイピアを持っていた。

ディックはそれを軽く振ってみせた。

「ふざけんな! そんな武器で、俺の仲間たちがやられるわけないだろ!?」

「だが、事実は事実だ。何なら見てみるか、手下の様子を?」

ディックは部屋の中に足を踏み入れた。

「!? 来るな! 来るんじゃねえ!」

アゴスティーノは拳銃をディックに向けた。

「そんなもので、どうするつもりだ?」

ディックは余裕の表情を見せる。

「俺はてめえを撃つ! マジだ!」

ディックはニヤリと笑った。

ディックは警告を無視した。

パアアン! 

一瞬何が起きたのか測りかねた。

銃弾は発射された。

しかし、ディックには当たらなかった。

「てめえ、いったい何をした!?」

「剣で弾をはじいた。簡単なことだ」

「そんなバカな!?」

「それができるから、今こうしてここに立っているんだが……」

「くそ!?」

アゴスティーノは銃弾をディックに向けて連発してきた。

ディックはあざやかに銃弾を打ち払った。

「あ、ああ、あああ……」

アゴスティーノは体から脱力していくのを感じた。

「さて、妹を返してもらいますかね、アゴスティーノ?」

アゴスティーノは拳銃をミリエルに向けた。

「来るんじゃねえ! 近寄るな! それ以上近づいたら、こいつを撃つ!」

「はい、それまで~」

「!? なっ!?」

ミリエルは白い投剣をアゴスティーノののど元に当てていた。

「てめえ!? なんで!? 手錠はどうしたあ!?」

「壊しちゃった、えへっ!」

「なんだとお!?」

ミリエルの手には壊れた手錠がぶら下がっていた。

「なんだ!? 何なんだ、おまえらは!? 悪魔かよ!?」

「悪魔あ?」

ディックは気を抜けたような返事をした。

ミリエルはウフフと笑っていた。

「まあ、いいか。ほら、これでチェックメイトだ」

「ぐはあ!?」

ディックはアゴスティーノに一撃を与えた。

もちろん殺してはいない。

「アニキ、意外と来るのが早かったわね」

「当たり前だ。俺は仕事は速く処理する男だからな」

「アゴスティーノがやられたようだな」

奥の部屋から白い服を着た紳士が現れた。

「おまえが黒幕か」

「あんた、何者?」

「フッ、もうすでに合っている」

男の姿はゼラキエルに変わった。

「ゼラキエル! おまえだったのか!」

紫の衣のゼラキエル。

「あなた、何が目的だったの?」

「フッ、愚問だ。私の目的はただ一つ。大悪魔バールゼブルを復活させることだ。そのためにこのマフィアどもを利用して、ダークフォースを集めていた」

「ここで決着をつけるか?」

ディックはレイピアを構えた。

「フフフ、理想的とは言えないがダークフォースの収集もこれで良しとしよう。さらばだ」

ゼラキエルの足元に魔法陣が生じた。

魔法陣はゼラキエルの姿を消し去った。

後にはディックとミリエルが残された。

「また、逃がしちまったな。やれやれだ」

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