表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オタクな俺とギャルな君  作者: 西園寺
1/1

ギャルとの交流譚

  新しい教室、新学期が始まりまだ一ヶ月も経っておらず、微かに床を磨いたワックスの匂いが残っている

 静かな教室の中に、クラスで一際うるさい2人の男子が入ってきた.


 「いやマジで、俺ってイケメンでしょ〜」

 金髪をワックスで立ち上げたいかにも軽薄そうな細身の男が笑いながらそう発言する. 


 「いやいやどう考えてもお前はイケメンじゃない、イケメンっていうのは俺のことを言うんだって」

 金髪の男に対して反論するのは茶髪ツイストパーマ高身長の男.正真正銘誰がどう見てもイケメンであり

 加えてサッカー部所属.そのルックスからファンクラブまである始末. クソツツ

 

 この2人が話しながらグラウンド側の1番後ろの席左右に座る


 その反対側の窓側1番後ろの席に座っている地味だが目立っている男がいた.


 「クソクソマジでうるせえんだよ.お前らの声で、マジカルラブリー君の心にズッキュンドッキュンバッキュン

主人公あいなタンのキャラソンがよく聴こえねえだろうが」


 男は誰にも聞こえない声量で呟いた.

 

 「は〜やっぱあいなタンの声は心に直接響くな〜」

 俺の汚れきった心を浄化してくれるよ、やっぱあいなタンのキャラソンは朝に聴くに限るな〜

 コーヒーよりも目が冴えるぜ.

  

 などとこの男は朝から1人でニヤニヤしているため、周りからは怪訝な目で見られている

 

 そんなことをしているためこの男高校2年にもなって三馬鹿などと言われている


 この男、いやこの佐伯 沖里はそんな周りの目など気にしない、何故ならそう極度のオタクであり馬鹿だからである.

 

 「そういえば七瀬様の情報チェックしとかないと」 

 七瀬とは沖里のお気に入りアニメ、マジカルラブリーズッキュンドッキュンバッキュン主人公あいなタンの声優

 のことである.

 しかし今の声優さんはバンバン顔出ししているのに七瀬様は顔出ししていないなんて珍しいな

 だけどそのミステリアスさが魅力の一つなんだよな.などとほざいていると一つ前の席に男が座った

 

 その男は沖里に対して対して挨拶をする


 「うい、おはようさん」

 沖里は興奮したままその男の顔を見た 

 すると一気に冷めた顔で返事をする

 

 「うい」

 たった二文字だけ返す

 すると目の前の男は少し不満そうに

 「ういじゃなくて、おはようって返してくれよ」と言った

この男は三屋 康太 三馬鹿の1人である

 「なんで朝から野郎と話さなきゃならんのよ、友達でもあるまいに」

 「そんなこと言って、本当は俺のこと友達と思っているくせに」

 「あのな、俺は康太のことを友達と思ってないからな」

 「じゃあなんだよ」

 沖里は少し悩んだ様子で絞り出す

 「近隣の人?」

 康太はひとしきり笑い

 「なんだよそれ、相変わらず沖里は面白いな」

 俺は康太のことを友達と思ってないが、康太は俺のことを友達と思ってくれているらしい、認識の違いだな

 だが悪い奴ではない.一年の時から妙にウマが合う.

 「そういえば聞いたか?また朱莉のやつ告られたらしいぜ」

 康太から俺もよく知る名前がででくる

  灰島 朱莉   

 この2年4組のカーストトップ中のトップ.ピラミッドの頂点に立つ女である.その座に付く灰島には俺のような 

カースト最下位の人間は目も合わせられず、もし目が合えば畏怖し1週間は恐怖に苛まれるという

 

 「へ〜俺には関係ないからどうでもいいけどな」

 「お前は朱莉のこと怖がりすぎな、話せばいいやつだよ」 

 康太は笑いながら言う

 「お前は灰島とは中学一緒だったからそんなこと言えるんだよ、俺みたいなオタクには話すなんて恐れ多いわ」

  俺は否定する.だが美人ではあると思う.金髪セミロングで胸もそこそこある.それにいい匂いもする

 べ、別に嗅ぎたくて嗅いだわけじゃない、廊下ですれ違った時ふわりといい匂いがしたから印象に残っているだけだ

 なんで女子ってみんな良い匂いするんだろうか、これは俺の七不思議の一つでもある.流石にきもいか

 などと話していると前の扉がガラリと開き筋肉質の男ゆっくりと近づいてきた


 「うい〜す」

 この男は原田 務 最後の三馬鹿である.務とも1年からの付き合いである

 「ういよ」 

 俺は軽く返事をする.

 「おはよう」 

 続いて康太も返事をする

 「2人ともあいかわらずしけたツラしてやがんな」

 務が喧嘩を売ってきた

 「は?お前こそその筋肉熱苦しいんだよ、筋トレばっかしてるから成績悪いんだよ」

 売られた喧嘩は買わねばなるまい

 「俺にはこの筋肉さえあれば、成績などどうでもいい、沖里こそアニメばっか観て成績悪いだろうがよ」

 「俺は良いんだよ、俺は七瀬様と結婚して養ってもらうかな」

 「お前七瀬さんのこと好きなのに養ってもらう側かい」

 「良いんだよ、疲れた七瀬様を癒してあげるのが俺の仕事だからな」

 沖里は胸を張って答えた

 「ま~たはじまったよ、沖里の妄想が」 

 務は呆れたように言い放つ

 「沖里ははこれがいいんだよ」

 康太は楽しそうに笑いながら会話に混ざる

  

 そうこうしているとチャイムが鳴った.

 各々自分の席に座り1分がたった頃

先生がだるそうに教室に入り教壇の前に立つ


 「頭痛いわ、すごいガンガンする」

 

 あの人二日酔いだな.クラス全員が心の中で呟いた

 先生は頭に手を置きながら点呼をする


 「佐伯 沖里〜」 

 俺の番が回ってきた

 「うす」

 「沖里〜返事ぐらいちゃんとしろ〜返事は大きく背筋を伸ばしてハイだ」

 先生に注意を受けてしまったので今度は大きく

 「ハイ」

 と大きな声で返事をする

 すると即座に

 「うるさい二日酔いなんだから静かに返事をしろ」

 と注意を受けた

 クラス中は笑いに包まれた、俺が三馬鹿なんて呼ばれているのも半分以上この人のせいだなどとしているうちに

灰島 朱莉の番になった

 「灰島 朱莉〜」

 数秒経ったが返事がない

 「灰島 朱莉〜いないのか〜」

 と先生が2度目名前を読んだ瞬間、廊下からドタバタと走る音が聞こえてきた

 足音が教室の前で鳴り止み勢いよくドアが開いた

 


 

 

.  

 

 

 


 

  

 


 


 

 

   

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ