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ヤンデレ彼女×サイコパス彼氏≒異世界最強カップル  作者: 釧路太郎
最強になりたい魔導士編
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最強になりたい魔導士 第二話

 何も出来ずに負けてしまったヒカリはまっすぐに家に変えることは出来ないと言い張って、私はこれからどうすればいいのだろうと途方に暮れていた。誰もいない公園のベンチに二人で座って何を話すでもなくただただ無言の時間だけが流れていた。私は無言の時間はずっとまー君の事を考えていたのだけれど、ヒカリは負けたことを思い出しているのか隣に私がいることもお構いなしに号泣し始めた。私はうるさいなと思いながらも、泣いているヒカリを見ていることしかしなかった。

 勝手に泣いて勝手に泣き止んだヒカリは満足したのか、私の手を握るとニコッと笑って私に話しかけてきた。


「えっと、名前はまだ聞いてなかったと思うんだけど、私の事を助けてくれてありがとうね。助けてくれたお礼がしたいんだけど、これから時間あったりするかな?」

「時間はあるけど、お礼って気にしなくてもいいんだよ。私がどうこうしたわけでもないし、あなたが勝手に助かっただけだしね。あ、私の名前はみさきだよ」

「みさきちゃんね。私はヒカリだよ。じゃあさ、私のうちに来て何かご馳走するよ。みさきちゃんはどんな食べ物が好きなのかな?」

「好きな食べ物か、ハンバーグとかは好きかも」

「ハンバーグってなんだ?」

「この世界ではハンバーグって言わないのかな。なんて説明すればいいんだろう、ちょっとわからないかも」

「ん。もしかして、みさきちゃんって別の世界から来た人なの?」

「そうだよ。私はこことは違う世界からやってきたんだ。だから、ヒカリが得意な奴で良いと思うけど、ヒカリは何が得意なの?」

「私はあんまり料理得意じゃないんだけど、デザート系だったらそれなりに作っているよ。そう言えば、お母さんが異世界から来た人がいたら家に連れてきなさいって言ってたんだった。みさきちゃんは私の家でお母さんが帰ってくるまで待っててくれるかな?」

「私は待つのは平気だけど、ヒカリのお母さんはどれくらいで帰ってくるのかな?」

「みさきちゃんが一緒に待ってくれるのは嬉しいな。おばあちゃんもいるからご飯は期待しててくれて大丈夫だよ。私のおばあちゃんはお料理も得意だからね。料理以上に魔法が得意なんだけど、魔法も料理も古臭いのばっかりなんだよね。みさきちゃんはどんな魔法が得意だったりするのかな?」

「私はね、魔法は使えないんだ。私のいたところでは魔法を使える人なんて一人もいなかったし、ここの世界みたいに魔法を使うのが当たり前って感覚も無かったからね」

「え、でも私とテンスの間に入って魔法を防いでくれたんじゃなかったっけ?」

「二人の間に割り込みはしたけど、少しくらいの魔法なら耐えられるかなって思ったんだよね。意外と普通に耐えられたのはびっくりしたけど、同じ状況になっても次は助けないかもね」

「弱い私が言うのもなんだけど、そういう時は見て見ぬふりをするのが一番だよ。相手に気付かれないうちにさっといなくなるのがコツかもね。私はそんなこと出来なかったから今もいじめられてたりするしね」

「魔法の事は全然わからないんだけど、そんな風に逃げても罪悪感とかは無いのかな?」

「そうだね、何回でも生き返れるとしたら助けにはいかないかもしれないね。何度でも生き返ることが出来るよって言われたらみんな助けに行くと思うよ」

「私はまー君がそう言う目に遭ってない限り、助けに言ったりはしないかもしれないな。ヒカリを助けたのだってたまたまそういう気分だっただけだし、毎回助けてもらえるとは思わないでね」

「もう、そんなに念入りに確認しなくても大丈夫だよ。それと、まー君って誰?」

「まー君は私の彼氏だよ。強くてカッコよくて頼りになるんだよ。この世界のどこかにいると思うんだけど、私はまー君を探す手がかりが欲しいんだよね」

「恋人と離れ離れになるのって辛そうだよね。私は恋人がいた事ないんだけど、そう言う話とか聞くと切なくなっちゃうよ。よかったらなんだけど、みさきちゃんの恋バナ聞かせてもらってもいいかな?」

「それは構わないけど、長くなるかもしれないよ」

「大丈夫、長くなっても日を分ければ問題ないからね。おばあちゃんもそう言う話が好きだと思うし、みんなでお話を聞かせてね」


 何とか連盟の会長だか代表をやっている方家らしく、とても立派で頑丈そうな造りになっていた。魔物だけではなく人間も簡単には通れないんだろうなと思うような仕掛けがいたるところに設置されており、私も呼ばれでもしない限り近付くことは無いだろうと思った。

 そんな感じで色々と見ていると、私の前を歩いていたヒカリが嬉しそうに仕掛けを一つ一つ説明してくれていた。こんなに簡単に情報を漏らしても大丈夫なのかと思っていたのだが、ヒカリの母親の絶対的な魔力が原動力になっているそうなので問題ないらしい。私には場所がわからないわなを仕掛けられるより、何もしないで笑顔で見守られている方が怖かったりするのだった。


 仕掛けの間をすり抜けて家までたどり着いたのだが、私が普通に想像していた建物よりも立派で大きな建物がそびえていた。

 普通の玄関なのだろうが、どうみても大きな城門にしか見えないのだが、ヒカリは普通にその扉を開けると、私を中へと招待してくれたのだった。


「ただいま。今日はお母さんに会わせたい人を連れてきたよ。って、言ってみても今の時間は誰もいないんだった」

「あらあら、今日はずいぶんと遅かったのね。ヒカリちゃんがどこかで寄り道してたんじゃないかって心配していたのよ。一つ確認なんだけど、その隣にいる子が私に会わせたいって言ってた人でいいのかな?」

「そうなんだよ。今日も私がテンスたちに絡まれていたんだけど、それを助けてくれたのがこのみさきちゃんなんだよ。魔法は使えないらしいんだけど、私を守ってくれたのは間違いないからね」

「へえ、あなたは魔法を使えないのね。魔法を全く使うことも出来ないんだ。それって、自分でどう思っているのかな?」

「ちょっとお母さん、いきなりそんな事を聞くのって失礼だと思うよ。魔法を使えなくても強い人だっているんだからね。お母さんはみさきちゃんの事が気になっているみたいだけど、おばあちゃんもみさきちゃんの事が気になっているみたいなの。私を助けてくれた恩人なんだからそんなにジロジロ見ないで欲しいんだけど。何か変なところでもあるの?」

「私はその腕輪が気になるわ」

「ワシも気になってはいるけれど、若い子の流行かもしれないんでうかつに聞きだすことも出来ないのだよね。フェリスはそう言う話を聞いたことは無かったのかな?」

「私は流行とかあまり詳しくないのはおばあちゃんも知っているでしょ。私は同年代の友達もいなかったからね」

「ワシらみたいな感覚派の人間がヒカリに魔法の修行をするのではなく、彼女のように魔法を使えない人間が教えるのもいいんじゃないかな。ワシらは戦うことは出来ても教えるのは苦手みたいだしな」

「確かにね、私は昔から一人で黙々とこなしていただけだから教えられることも無いんだよね。君から直接ヒカリちゃんを指導してもらえないかな?」

「私は教えられることなんて何もないですよ。それに、私は魔法を使えないんですからね」

「どうだろうね。結果的には失敗になってしまうかもしれないけれど、意外と感覚的なアドバイスで覚醒するかもしれないよ。ヒカリちゃんは魔法の才能があると思うし、それのきっかけを探している段階なんだから、君みたいな魔法を使えない人の方がそのきっかけを与えることが出来るかもしれないんだよね。それに、君がヒカリちゃんの修行を手伝ってくれるというのなら、当面の生活の保障はするんだけどね」


 私は偶然魔法を使ったことは何度かあったのだけれど、今みたいな状況で丸投げされそうになったのは意外だった。そんな事をするくらいにヒカリの能力は今までの方法では覚醒しないという事なのだろうか。でも、私は魔法について何も知らないんだよね。まー君だったら上手に教えることも出来るだろうけど、きっとこの子もまー君に会ったら惚れちゃうんだろうね。

 その日は修行らしい修業はしなかったのだけれど、一緒にご飯を食べて一緒にお風呂に入って一緒のベッドで寝ることになった。


 お風呂に入る前から思っていたんだけど、ヒカリは甘くていい匂いがするんだな。

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