次回 一人ぼっちの戦い編
「今回は我々が想定していたほどには嫉妬心が貯まりませんでしたね。次はもっとうまく行くといいのですが、前田正樹にはもう少しプレッシャーを与えた方がいいのではないでしょうか?」
「どうだろうね。彼はプレッシャーを感じにくいと思うし、それだったら佐藤みさきの方を追い込んだ方がいいのではないかな」
「お言葉ですが、佐藤みさきは我々が思っているよりも嫉妬深い存在となっておりますよ。ですが、その嫉妬は一瞬のうちに恋心へと変化してしまうようでして、こちらとしても扱いにくいんですよね」
「そうだろうね。彼も彼女も勝手にやってきた妹もその連れも、私が思っていたものとは違う結末を迎えてしまったからね。さて、これからどうするのがいいと思うかな?」
「そうですね。私が思うに、彼らを苦手な状況に置いてみるのはどうでしょう?」
「先ほど見ていたものも得意な陣営とは言えなかったと思うのだが、何か良い考えがあるのかな?」
「はい、佐藤みさきを魔法だけが全ての世界に送ってみようかと思っています。彼女は一切魔法を使うことが出来ないので、何も出来ずにただ時を過ごすことになるでしょう」
「前田正樹も近い場所の転移することになると思うのだが、それはいったいどうするつもりだ?」
「それならご安心を。前田正樹は魔法を使えない結界の中に転移させる手筈が整っております。彼が自ら開発した結界のシステムを流用させてもらったのですが、自らが開発した魔法によって力を失うことになるとは思っていないと思いますよ」
「それは愉快だ。自分の作り出した結界で自らの首を絞めることになるとは傑作だな。だが、自分で開発した結界だったらそれを解除する方法もわかるのではないか?」
「その点はご安心ください。結界のシステムを変更いたしまして、魔法は一切効果が無いかわりにある程度の物理的衝撃を与えないと壊れないようになっております」
「どの程度の衝撃までは耐えられるというのだ?」
「そうですね。例えばですが、月と同程度の質量の物体が直撃したら壊れるかもしれません。この設計でしたら、佐藤みさきの力をもってしても破壊することは不可能でしょう」
「そうかそうか。念のため、それ以上の衝撃にも耐えられるように強化しておくのだ」