プロローグ③
光を目指して歩いていた勇人は見えない壁にぶつかり進めずにいた。
「は?どうなってんのこれ
あの女ホントに使えねぇな。
全然転生してねぇじゃん。」
勇人は自分の思い通りにならないと腹が立って周りのものや人にぶつかる短気で理不尽な性格なので自分が進みたいのに進まないことに無性に腹が立ってしょうがなくなっていた。
しかし、勇人はその場で寝転がり転生した後の自分の行動について考えることでイラつきを抑えることにした。
「まずは周りの雑魚を倒してレベルを上げて行くか。 一応この世界の人間の平均レベルは聞いといたからそこを基準としてそのレベルの人間5人と戦って勝てるぐらいまで上げてやる。
それが終わったらカモになりそうな人間を探して壊すまで遊んでやろう。それから‥‥」
勇人は考えることに没頭しいつの間にか眠気が強くなっていたため少し仮眠を取ることにした。
一時間後‥
目を擦りまだ寝ぼけている状態で勇人は目を覚ました。
「あーよく寝たー
あれ?まだ夜なのかー?」
勇人は寝ぼけたまま立ち上がり薄く光っている方へ進む。
しかし、そこは壁があり通れないため勇人が顔面に衝撃を受けるのは当然である。
ただ,これにより勇人の意識は覚醒し自分が眠くて寝たことや壁があって進めないことをしっかりと思い出した。
勇人は壁にぶつかったこととまだ先に進めないことにまた怒りを覚えた。
しかし、この時勇人が周りの状況に意識を向けられる状態であったならば、周りの変化に敏感であったならば、もしくは冷静になり音が聞こえていたならば未来は彼の思い描いたものになっていただろう。
だが、彼の運命はもうすでに決まってしまった。
彼の後ろから骨の軋む音を立てて迫ってくるモンスターの存在に勇人が気づいたのはモンスターに殺される直前だったのだから‥‥
時を同じくして神界では‥
「あーあ。だから説明をよく聞いてから転生準備に入って欲しかったんですよ。
魔物に転生する際は、邪悪なエネルギーのせいで女神といえども無抵抗に意識を乗っ取れないので、魔物の魂を女神の力で押さえつけている間に破壊する作業が必要なんですよー。
まあ、しょうがないですね。もう輪廻の輪には入れませんのでお疲れ様でした。」
そう言うと女神は意識を魔物から戻し休息を取ることにした。
勇人の魂が破壊されたことでその魔物,スケルトンに彼の持っていた知識は吸収され、そのせいでスケルトンに意思と知性が宿り、新たなスキルを持つ異端な魔物になったことに誰も気が付かなかったのだった。
クズだった勇人は最後は自分の不注意でその生は幕を閉じました。
ちなみに勇人はクズでしたが、彼の意識を吸収したからといってクズにはなりません。