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悪役令嬢になるのも面倒なので冒険に出かけます(仮)  作者: 綾月百花
1   婚約者
8/121

7   婚約破棄


「相手は礼儀がまるでなっていない無知蒙昧なゴブリン子爵令嬢だ。いい加減に相手になるな」

「お父様は、娘がこんなに侮辱的なことをされても、娘を庇ってはくださらないのね」

「そうではない。今は堪えよ。国王陛下の面前だ」

 父は声を潜めて、リリーに告げる。

「お父様も嫌いよ」

「リリー」

 濡れたリリーの髪を父が抱くが、リリーは嫌がって、父から離れる。

「リリー嬢、本当にすまないことを息子がした」

「さあ、アルミュール、リリーさんに謝って」

「リリーごめんなのだ」

「もう殿下の顔も見たくありませんわ、せいぜいそちらの子爵令嬢と仲好くされたらよろしいのですわ」

「リリーとは毎回ダンスをしているから、たまには他の女の子達と踊りたいんだぞ」

 リリーは婚約者としては到底信じられないことを口にした、不実な王子の顔を見た。

 少しも悪いことをしたと思ってはいない。

「国王陛下、王妃陛下、今のアルミュール殿下の言葉をお聞きになられましたか?殿下は、王家が定めた私を婚約者だと認識できていません。尚且つ、婚約の意味さえも理解されてはおられぬご様子。兄と同じ歳だというのに。もう我慢できません。きちんと婚約破棄してください」

「……すまない。そんなに嫌なら、一度白紙にしよう」

「ありがとうございます、国王陛下。心の底から感謝いたします」

 第一王子のアルミュールは、身体はともかくも、心の成長が遅く知恵が回らない。

 皆は一応口にしないが、見かけだけ立派になったとはいえ、中身はまだ幼子と変わらず成長の兆しさえ一切見えない。

 年下のリリーでさえも、アルミュール王子を見ていると、いまだオムツの取れない年下の弟がいるような気がしていたのだ。

「ハイハイ~、それなら、私がアルミュールの婚約者に立候補いたします~♪」

 空気を読めないミーネが声をあげてきた。

「好きにしたらいいわ」

 リリーは、国王と王妃に丁寧にお辞儀をすると出口向かって歩いて行く。

「婚約の話は、すべて白紙だ」

 国王が鳥頭のミーネに言った。

 貴族としては最底辺近くにいる子爵令嬢相手に、政略結婚でも考えているのだろうか?解せぬ。


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