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悪役令嬢になるのも面倒なので冒険に出かけます(仮)  作者: 綾月百花
1   婚約者
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6   図々しいのよ


 出口に向かって行ったら、背後からまたドレスを踏まれ、今度は床に手を突いた。

「アルミュール様を悪く言わないでください」

 ミーネがリリーの頭からワインをかけてきた。

 白銀の髪がワイン色に染まる。青いドレスもワインをかけられ、変色していく。

「何をする気よ」

「お返しをしただけです」

「あなたは私に行った無礼な数々に対して、反省していないのね」

「してないわ。ファーストダンスに私を選んでくださったのは、アルミュール様です」

「もはや敬称もつけないのね?一子相伝の秘奥義の継承者?」

「リリーさんはアルと呼んでいらしたわ」

「無関係の十把一絡げの下位貴族令嬢と違って、正式な王家の婚約者だとは言わなかったかしら、この鳥頭の貴族モドキ?」

「二人ともいい加減にやめなさい」

 兄が止めに入るが、ミーネは未だにリリーのドレスを踏んだままだ。

「いい加減、ドレスの裾から足を退けなさい」

 リリーのドレスの裾はボロボロになっている。

「こんなことをして、不敬罪にあたるわよ。あなたは子爵の娘でしょ?訴えるわよ」

 その場に駆けつけた国王と王妃がリリーのドレスを見て、ため息をつく。

「さあ、足を退けなさい」

「嫌です」

「本当に不敬罪にあたるのだぞ。もはや子爵の名も命もいらぬと見える。このまま処刑台まで引きづられたいのか、名も知らぬ小娘よ?」

「ごめんなさい」

 国王に言われて、ようやくミーネは足を退けた。

「リリー嬢、ドレスは弁償しよう」

「いりません。このドレスは気に入っていなかったので。私は白いドレスが欲しかったの。お母様とお兄様が青いドレスがいいとおっしゃったから仕方なく、これにしたのですわ」

「わかったわ。白いドレスを作りましょう。リリーもう家に帰りましょう」

母が、リリーの濡れた髪をハンカチで拭ってくれるが、小さなシルクのハンカチで拭えるはずがない。

「タオルを二枚持ってきてくれ」

 国王が声を上げると、従者が二枚以上のタオルを持ってやってきた。

 母と兄がタオルを受け取って髪とドレスを拭ってくれる。

「リリー嬢、今日はすまなかった」

「いいえ。もう金輪際。こちらには参りませんので」

「リリー。いい加減にしなさい」

 父もリリーを宥めに入った。

「殿下とは婚約破棄してください」

 リリーは叫んだ。


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