7 ビエント
実家に帰ります リリー
と、書かれた置き手紙を見て、ビエントは一体なにがいけなかったのだろうと、頭を抱えた。
今まで魔物退治をしてきたリリーを休ませるつもりで、ゆっくりさせてくれと侍女に話したのだが・・・・・・。
「お嬢様は、あまりお話をされなくて、わたしどもも何を話していいのかわからず、孤独にさせてしまったのかもしれません」と侍女は頭を下げた。
朝食の時は「行ってらっしゃい」と別れた彼女にいったいなにが起きたのだ?
ビエントはリリーを好きだが、リリーの事をあまり知らない。
今の彼女なら、実家までは30分もかからない時間で帰れるだろう。
ずっと両親に会わずにいたのなら、ただ会いたくなったのだろうか?
まさかの、家出か?
結婚が嫌になったのか?
リリーは今、アストラべー王国では時の人だ。
白銀の魔術師と呼ばれている。
魔術を使い、重い乗り物を魔術で持ち上げ、100人以上も運ぶことができる。
ダンジョンの最終ボス戦でラストアタックを決めてボスを倒した美しい魔術師。いろんな呼び名をつけられている。
休暇の時も、人命を助け、何事もなく飛び立っていった慈愛の魔術師と新聞でも書かれていた。
アストラべー王国でリリーの名を知らない者はいないほどの有名人だ。
魔力はビエントの魔力より上だろう。
リリーを見つけたのは、ビエントだが、魔力を磨いたのは自分自身の努力だ。
騎士団長が、彼女は倒れる寸前まで練習を怠らないと呆れ半分で褒めていた。
北の森に出る魔物狩りにも、是非、彼女の力を貸していただきたいと騎士団一同から要請が来ているほどだ。
「どうしたらいいのだ?」
まだ14歳のリリーには伸び代がある。このまま王宮に閉じ込めておくには、勿体ない存在だとわかっているが、リリーを安全な場所に置きたいと思う気持ちは嘘ではない。
ただ実家に帰っているだけだろうか?
リリーの家は伯爵家だ。
あのドレスをみてもわかるほど、溺愛されていたのだろう。高価なドレスだった。今回選んだドレスは白いドレスよりも劣っているだろうか?
青にはいい思い出はないのと言っていた彼女の意見を聞いて、白いドレスにした方が良かったのだろうか?
思い当たるのは、ドレスの事ばかりだ。
ビエントは依頼していた洋服屋に出向いて、デザイナーに相談した。
「リリーが持ち込んだドレス以上の物を贈りたい。デザインを替えてもらえるか?レースをふんだんに使いもっと高価な物に」
「色はどうなさいますか?」
「青にはいい思い出がないと言っていた。別の色だとどんな色が似合うと思うか?」
「ピンクは如何でしょうか?白いレースと合わせると、可愛らしくなります」
実際に布にレースを重ねて見せてくれる。
「水色の洋服を着ていらっしゃったので、嫌いではないのでしょう。水色も美しくなります」
「あの洋服は、着る物がなく、伯爵令嬢のお下がりを貰っていたのだ。自分で選んだ物は何もない」
「そうすると、普段着の色もわかりませんね」
「ああ」
「もう一度お目にかかることはできますか?」
「突然、実家に帰ってしまったのだ」
「まあ・・・・・・」
デザイナーは頭を抱えるビエントを見て、どうしたものかと。頭を抱えた。
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