3 ご挨拶
デザイナーが帰ったあと、リリーはビエントに昼食に招かれた。ダイニングに入ると、国王様と王妃様がいた。リリーは急いで丁寧にお辞儀をする。
「ご挨拶もせずにお邪魔しています」
「今回のダンジョンへの攻防では、リリー嬢が大活躍をしたと聞いている。お疲れだったね。ようやく落ち着いて、ビエントの花嫁修業ができるな」
「もう我が家同然。今は時の人のリリー嬢ですから、すぐに式をあげてもいいのですよ。私たちを父や母と思って、これから仲良くしていきましょう」
「どうぞ、よりしくお願いします」
リリーは深く頭を下げた。
時の人とはなんぞや?
「シオン」
テーブルの奥には金髪でビエントとは違う青い瞳をした男性が座っていた。
「弟のシオンだ。パーティーで会ったな」
「はい。どうぞよろしくお願いします」
「よろしく」
あれ?なんだか最初に出会った時と印象が違うわ。
「こら、きちんと挨拶なさい」
王妃様が呆れた声を出す。
シオンは立ち上がると、今度は深く頭を下げて「よろしくお願いします」と言い直した。
アトミスお姉様の婚約者の方よね。
リリーも丁寧に頭を下げた。
「こんなチビが姉かよ」
ああ、私がシオン様より年下だから気に入らないのね。でも、年齢の事を言われても、どうにもならないわ。
「国の英雄が、嫁に来てくれて良かったね。兄上」
「私は国の英雄ではありませんわ」
「リリー、気にしなくていい。さあ、こちらにおいで」
「はい」
国王様と王妃様の前の席に並んで座って、リリーは緊張して借りてきた猫のように、おとなしく出された料理を食べた。
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