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悪役令嬢になるのも面倒なので冒険に出かけます(仮)  作者: 綾月百花
6   王宮での暮らし
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1   お土産


 リリーは上空で笛を吹いた。長く、何度も。しばらくすると、ビエントが飛んで来た。

「リリーお帰り」

「ビエント様、私はどこに帰ったらいいのでしょう?」

「もちろん、私の元だ」

 アトミスが下から見ている。アトミスに手を振って、ビエントと一緒に飛んで行く。

「すごい荷物だね」

「ええ、ラストアタックを取れたのよ。私しか使えない杖とロットがあるの」

「リリー、すごく心配していたんだよ。ダンジョンに突入すると決まって」

「私は主に、人を運ぶことしかしてなかったわ。最後のボス戦だけは人数が足りなくて、攻撃したけれど」

「それなのに、ラストアタックを取ったのかい?」

「ええ。偶然ですわ。とてもわくわくするようなダンジョンへの攻撃でしたわ」

「リリーの魔術は飛び抜けて素晴らしいと聞いていたよ」

「大袈裟ですわ」

 二人で空を飛びながら、ビエントの部屋の窓から王宮に入った。

「そうだ。リリーの部屋ができたんだ。こっちへおいで」

 リリーはまだ飛んでいる。

「その荷物は相当重いのかな?」

「はい。重いです」

「持ってあげたいけど」

「いいえ、魔法で軽くしているの」

「さあ、この部屋だ」

 大きく扉を開かれて、リリーは足を降ろした。

「まあ、とても可愛いお部屋です」

 薄いピンクの壁紙に同色の色で花が描かれている。カーテンは白く銀の色が織り込まれているのか、輝いて見える。

 天井は白くシャンデリアが下がっている。ベッドにソファー。ソファーの前にはお洒落なテーブルが置かれ、白色のドレッサーもお洒落だ。ナチュナルなフロアーに、ソファーとベッドの回りだけ、毛足の長い、マットが敷かれている。飾り棚と机が置かれている。

「お風呂もクローゼットもついているよ」

 リリーはそっと荷物を降ろす。背負ってきた杖も床に置く。

「素敵な部屋をありがとうございます」

「気に入ってくれたのかな?」

「はい。素敵なお部屋をありがとうございます」

 ビエントは嬉しそうにしている。互いにずっと会いたかった相手に会えて、リリーも嬉しい。

「ビエント様にお土産があるの。気に入っていただけるか、ドキドキしているのですけど、鞄を開けてもいいですか?」

「ああ、いいとも」

 リリーは旅行鞄を開けて、チョコレートの箱を取り出した。

 蓋を開けて、ネックレスを出した。

「お揃いですの。如何ですか?」

「魔力が上がった気がするが」

「ええ、ボスを倒して出てきた品を拾ったのですが、拾った中で一番魔力が高いような気がします」

 リリーはブレスレットを出して、ビエントの両腕にはめた。

「これもお揃いですの」

「これは体がずいぶん楽になるな」

「体力ですわ」

 リリーもお揃いの物をはめる。

「もう一つお土産がありますの」

 今度はシーツでくるんできた、杖とロットを広げていく。2本の自分専用を避けて、他を見せる。

「どれがお気に召しますかしら?お手に取ってみてください」

 ビエントは一つずつ持って、質感と相性を見ていく。

「この杖と、短い杖が、魔力が上がるな」

「それをビエント様に」

 残りの杖とロットをシーツでくるむと、横によけた。

「よけた、二つは私しか触れられません」

 リリーは特別な二つを見せた。

 ビエントが触れようとしても、触れることができない。

「これは、すごい物だな。美しいし威厳がある」

「はい。まぐれ当たりですが、いい物を手に入れました」

 リリーは嬉しそうに杖を撫でる。その横顔は、出会った頃より大人びていた。


読んでくださりありがとうございます。

オマケです♪

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