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悪役令嬢になるのも面倒なので冒険に出かけます(仮)  作者: 綾月百花
5   ダンジョンへの攻撃
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8   第二回ダンジョンへの攻撃


 二度目のダンジョン攻略。運搬は無事に終わり、洞窟の中に入っていく。

 前回倒した洞窟の中を覗くと、中には魔物はいなかった。一つずつ確認したが、一度倒した大きな魔物は魔物のボスだったのだろう、洞窟の中はまだ幾つもある。前回の続きで洞窟に素早く入ると、入り口が閉じられた。

 大きな魔物が雄叫びをあげて、いつも倒しているサイズの魔物が生まれてくる。

 素早く雑魚を倒すと、また雄叫びを上げて雑魚を生み出す。

「雑魚を全部殺さず、ボスを倒してみてくれ」

 団長が声を上げた。

 雑魚を一体残して、そのままボスに攻撃する。

 火魔術と水魔術がぶつかり爆発が起きた。戦士が何人かその威力で倒れた。

「ここは火魔術と風魔術と土魔術だ」

 団長が叫んだ。

 水魔術の者が倒れた戦士を連れて後ろに下がると、光の魔術師が治療を始める。

 属性同志の相性が悪いと、事故になる。

 程なくして、ボスは弾けるように消えた。その後に金貨とアクセサリーが落ちた。髪飾りが残されていたので、リリーはアトミスの分と二つ取って、洞窟の中から出る。

 団長が「水属性は雑魚を頼む」と指示を出した。

 アトミスは治癒を行い、リリーの隣に戻ってきた。

「お疲れ様です。これはお姉様の分ですわ」

「ありがとう」

 アトミスは小さなポーチに入れた。リリーは髪に飾っている。

 次の洞窟では爆発事故は起きずに、牛のような大きな魔物が倒れた。

 金貨が落とされ、皆、まずは金貨に殺到する。その間に、アクセサリーを拾う。

 リリーも小さなポシェットを持ってきている。子供の頃に使っていたバックだ。斜めがけでちょうどいい。ロットは属性があるようで、触れられる物と触れられない物があるようだ。

 扉が締まる前に、出て行く。

 アハトもワポルもフィジも杖を持っていた。

 それぞれ形や色が違う。

「リリーも杖を拾ってみろよ。魔力がかなりアップするぜ」

「そうなの?」

 楽器のような形のような武器が落ちていた。

 アトミスが触れると、アトミスは拾えた。

 リリーはどの杖も合わなかった。代わりに小さな王冠のような物を拾った。

 銀色のそれは、リリーによく似合ったが、それよりも魔力が強かった。残ったアクセサリーを拾い、頭に付けた。リリーは飛んで洞窟の中から出ていく。

 魔法の力を試してみたい。次々に洞窟を回って、ボスを倒していく。アトミスが拾った武器は音が出て、回りの攻撃力を上げることができた。光の魔術師は出る度に、競って拾うようになった。

 お昼時間は、ダンジョンの中で、包まれたパンを食べた。持たされた水筒には紅茶が入れられている。何もないよりマシだが、男性の戦士にはひもじいだろう。

「さあ、午後からも片付けていくぞ」

 団長が声を上げると、「おう!」と揃った声が上がる。

 順調に回っているが、リリーはまだ毒蜘蛛が出て来てないことが気がかりだった。

 毒蜘蛛は毒をまき散らす。リリーはポケットの中のポーションを握りしめた。

 洞窟の最奥に辿り着いた。

 中を覗くと、やはり毒蜘蛛だった。

「こいつは毒をまき散らす。気をつけるように」

 団長が声を上げた。

 リリーはアトミスと中に入った。すぐに対戦が始まる。雄叫びを上げると、毒蜘蛛が大量に生まれてくる。ずっと見ていただけのリリーも戦わなくてはいけないほど、皆が毒で麻痺を起こしている。怪我人を端に移動させ、アトミスも光の魔法で毒素を抜いている。

 リリーは飛びながら、ボスに連続魔法を続けて出していく。毒を浴びないように、高い位置から、「ラウガン、ライトニング・ウインド、ウインドウシュートス」を毒蜘蛛の目をめがけて攻撃魔法を続けていると、たまたま雄叫びを上げようとした魔物の口の中に魔法が的中し、毒蜘蛛は割れるように弾けて散った。

 リリーは下へ降りた。

 毒蜘蛛がいた場所に、金貨と宝箱が出た。

 リリーは目の前に突き出た杖に触れた。ラストアタックだったからなのか、美しい杖が出た。その杖を掴んで、中心に飛んで行く。アクセサリーを拾い、杖に触れてみる。どの杖も今度は合うようだ。ラストアタックをした物の属性に変わるのだろうか?誰も拾わないので、リリーは杖を幾つか拾って、アクセサリーも拾った。

 金貨はリリーはいらない。生活に困っていないので、皆はいつもより大量に出た金貨に夢中だ。以前出た腕輪と同じ物が出ていた。リリーは腕輪を取り、腕に着けた。体力が増してくる。アトミスもアクササリーを拾い、新しく出た武器を拾っている。宝箱の中には、美しいロットが入っていたようだ。けれど、誰も持ち上げることができない。

「リリー、持ってみろよ」

 アハトが声を上げた。

「・・・・・・ええ」

 リリーが持つと、簡単に持ち上げることができた。

「おー」と歓声が上がる。

「みんな拾ったか?」

「はい」

「では撤収だ。そろそろ夕方だ」

「はい」

 リリーは杖とロットを持ったまま人を運ぶための乗り物の場所に移動して、手に持っているロットや杖をどうしようかと悩んだ。

「リリー持ってやるよ」

 アハトはリリーより大きな鞄を持っていた。

「お願いします」

 リリーしか持てなかった杖やロットはアハトが腰に縛り付けた。

「では、行きますわ」

 50名は素早く、乗り物に乗り込むと、リリーは慎重に飛び立っていく。

 飛んでしまえば、寄宿舎の前までは遠くはない。

 すぐに降りて、リリーはまた山へと戻っていく。

 残りの52人を載せて、リリーは飛び立つ。

 ゆっくり着陸して、リリーはやっとホッとした。

 力尽きたように座りこむと、皆がお疲れと言いながら、リリーの髪を撫でていく。

「リリー大丈夫?」

「ええ、疲れと責任の解放でしょうか、ホッとしたら一気に力が抜けて・・・・・・」

「リリー嬢、もう少し頑張ったから、ご褒美のチョコレートにアイスクリームをつけてあげよう」

「団長、私を餌付けしないでください。でも、チョコレートもアイスクリームもください」

 リリーは立ち上がると、「どこに片付けますか?」と聞いた。

 洞窟は最奥まで倒して、他に魔物の姿は見えなかった。

「倉庫の横に並べて置いてくれるか?」

「アトミスお姉様は先に戻っていてください」

「そうするわ」

 リリーは乗り物を移動させていく。

 一つずつ動かすだけなら簡単だ。

「重ねますか?並べますか?」

「並べてくれ」

「わかりました」

 綺麗に二つを並べると、夕暮れの時間になっていた。

「これで魔物が出なければ、今回のダンジョン攻略は成功だろう」

 ふらふらなリリーを連れて、団長は寄宿舎の中に入っていく。

「30分後に集合だ」とマイクで全館放送をかけた。

「リリー嬢、歩けるか?」

「大丈夫ですわ」

 リリーはふらふらと部屋に戻った。


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