12 よろしいのですか?
翌朝、リリーは遅めの朝食を摂ると、「戻ります」と、アトミスに言った。
「私も戻るわ」
アトミスは旅支度をしていた。
「待っていても、デートはしていただけないし、毎日が退屈ですもの。リリーと寝るとよく眠れるし・・・・・・」
「ご両親が心配なさいますよ」
「反対はされたけれど、昨日、人助けをしているところを見て、行ってこいとお父様が言ってくださいました」
アトミスは新聞を見せてくれた。
昨日助けた男性の記事が載っていた。
「リリーの事も書いてありましたよ」
「まあ」
リリーは文字を読み、頬を染める。
「靴と着替えを忘れないでね」
「はい。鞄に詰めました」
「さあ、私も行けますわよ。お父様達にご挨拶してきます。少しお待ちになって」
「はい」
リリーをダイニングに連れて行き、アトミスは出て行った。コックから美味しそうなクッキーやケーキをもらった。
「日持ちのする物を用意しました。どうぞ召し上がってください」
「ありがとうございます」
「またいらしてください」
「またお邪魔します」
リリーは丁寧にお辞儀をした。
アトミスは両親に囲まれて歩いてくる。
「リリーさん、実家だと思っていつでもおいで」
「ありがとうございます。お邪魔しました」
リリーは頭を下げる。
外に出て、「お姉様、準備はよろしいですか?」と聞いた。
「よろしくってよ」
アトミスはリリーと手を繋いだ。
リリーはアトミスをまず浮かべてそのまま浮き上がっていく。
「行ってきます」
「気をつけるんだよ」
「はい」
「リリーさんもね」
「はい。では行きますわ」
リリーはアトミスと空高く上がると、ゆっくり魔物の森へと戻っていった。
「リリーがいると、いつでも帰られるわね」
「帰りたくなったら、おっしゃってください」
「お願いするわ」
トンと地面に足が付いた。
「やっぱり早いわね」
「ゆっくり飛んでも近いですね」
久しぶりに寄宿舎の中に入り、事務所に帰宅を知らせた。
アハトが来て「もう帰ってきたのかよ」と口をとがらす。
「お土産を買ってきたのよ」
「リリー、本当に?」
「部屋に戻ったら届けるわ」
「めちゃ嬉しい。部屋で待ってるぜ」
アハトは部屋に戻っていった。
アハト達のベッドは三段ベッドになっていた。積み木を積むように、二段ベッドの一番下に横に一つベッドが差し込まれている。ベッドの端はもう壁になっているし、3段目のベッドの上は天井まで近くて、うっかり起き上がったら、頭をぶつけそうだ。
狭い。リリーの部屋の半分くらいだ。
「お土産です。気に入らなくても食べてね」
渡したのは、チョコレートの詰め合わせだ。ブランド品で高級品だ。
「いいのか、このブランド高いって有名だぞ」
「こんな高級品食べるのは初めてだ」
「あとで返せって言うなよ」
「言いませんわ」
三人は喜んで、お土産を受け取った。
「では、また。夜の狩りで・・・・・・」
リリーは部屋に戻ると、旅行鞄と新しい大きな鞄を開けて、片付けを始めた。
「お姉様、戻って良かったのですか?」
「花嫁修業って言われても、一度していますし、待つのは性に合わないようですわ。また浮気をされているのかとか考えて、鬱になりますわ」
リリーは微笑んだ。
「私は嬉しいですけれど・・・・・・」
「今日からも、リリーは私のベッドで眠るのよ。どうしてかしら、リリーと眠ると熟睡できるのよ」
「子供は体温が高いと言われていますから、暖かいのかもしれませんね」
綺麗にしてもらったドレスをかけて、新しいワンピースをかけて、ちょうどいい大きさの靴を並べる。古いポシェットは思い出が詰まっているので、捨てられない。小物入れにして、クローゼットにかけた。自分用に買ってきたチョコレートの詰め合わせを引き出しの上に載せた。
「お姉様、新しいブーツをもらってきます」
「制服も新しいものにしてもらいなさいな。お休み中に身長が伸びたと思うわ」
「そうですか?」
「ワンピースを大きいサイズに変えましたわ」
「気付きませんでした」
制服とブーツと靴下を持つと、事務所に駆けていく。
読んでくださりありがとうございます。
オマケです
次回から5章に入ります。お楽しみに♪




