2 アトミスの婚約(2)
ドレスカバーにドレスを入れて、久しぶりに旅行鞄を取り出し、中に入れた。帰りは化粧品やいろんな生活必需品を買ってくるつもりだ。
空を飛ぶとあっという間に往復できる。
「やはり早いわね」
「靴が小さくなってないか心配なんです」
「履いてみたら、どうかしら?」
「ここでいいですか?」
「どうぞ、試してご覧なさい」
リリーは鞄を開けると、靴の箱を取り出し、新品のような靴を履いてみる。
「ちょっと窮屈ですけど、履けないことはないです」
「ドレスは白でしたね。私の靴があります。鞄を持って、私の部屋にいらして」
アトミスの部屋は、水色のグラデーションの壁紙だった。所々に、白い雲が描かれている。まるで空の上にいるようだ。
「素敵なお部屋ですね」
「私、空色が好きなの。なんだか雲の上のお部屋のように見えるでしょう?」
「ええ。とてもお洒落ですわ」
「今日は水色のドレスを着ますのよ」
「お姉様ならどんな色でも似合いそうですわ」
「アルシェ、ゴスペル。リリーは私の大切なお友達ですの。今日のパーティーにお誘いしました。リリーの靴が少し窮屈なの、合う物を探してくださる?」
「畏まりました。靴をお借りしますね」
「お願いします」
「リリードレスを着ましょう」
「はい」
ワンピースを脱いで、久しぶりにドレスを着た。長めなドレスだったので、身長が伸びても着られた。
「やはり素敵なドレスね」
「お姉様もとてもお似合いです」
「リリーお嬢様。こちらの靴は如何でしょう?」
すっと足に靴を入れられ、履き心地はぴったりだ。
「ちょうどいいです」
「色合いも白なのでドレスにも合うでしょう」
「お借りします」
「リリー、私にはその靴は、もう履けないわ。どうぞお持ちくださいな」
「お姉様に洋服や靴をいただいてばかりだわ」
「私がお嫁に行ったら、着られない洋服はバザーに出されるわ。もらっておきなさい」
「ありがとうございます」
「そのサイズの靴ともう少し大きめな靴を何足か出しておいてくださいますか」
「畏まりました」
アトミスの胸にも笛のようなネックレスがつけられている。
「お姉様も笛のネックレスをつけていらっしゃるのね」
「婚約者からいただいたのよ。この国では、婚約者がいる者は、このネックレスをはめるしきたりですのよ」
「お嬢様、お支度いたしますね」
「お願いします」
「リリーお嬢様は、少しお待ちください」
「私はこのままでも・・・・・・」
「いいから、待っていなさいね」
「はい、お姉様」
リリーは座って、アトミスがだんだん美しくなっていくところを、じっと見ていた。
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