表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢になるのも面倒なので冒険に出かけます(仮)  作者: 綾月百花
3   魔物の森
28/121

10   14歳のお誕生日(1)


 狩りから帰ってきたら、そのまま手を洗い食堂に行く。

「今日も疲れたわね」

「疲れて、くたくたですわ」

 リリーはここに来て、ずいぶん月日が経ったように思える。日にちの感覚はなくなり、食べて寝て、戦い、食べて、寝て、戦い・・・・・・という生活をただ続けている。

 金貨もずいぶん貯まってきた。

「リリー・ホワイト・アコラサードさん」

「・・・はい」

 リリーが返事をすると、大きな丸いケーキが目の前に出された。

 はて、なんだっけ?

「お誕生日おめでとうございます」

 食堂のシェフが集まり拍手をしてくれた。

「・・・・・・あら、誕生日でしたか?ありがとうございます」

 大きなケーキを受け取り、リリーは食堂の皆にも拍手をされた。時々、こういったイベントを目にしたことはあったが、自分の誕生日をすっかり忘れていたリリーは、今、自分が14歳になったことを知った。

「ケーキは丸ごと食べられますか?」

「とても食べきれないので、5つに切ってください。パーティーメンバーと食べます」

「わかりました。席にお持ちしますね」

「お願いします」

 シェフは一旦ケーキを受け取り、厨房の中へと入っていった。

「リリー、誕生日だったのか?」

「忘れていましたわ」

「ここにいると日にちの感覚がなくなるからな」

「そうね。プレゼントを用意できなくて残念だわ」

 アトミスがリリーの手に触れる。

 食事を取るのに行列ができてしまった。

 アトミスは料理をお皿に載せていく。リリーはまだアトミスの真似をして食べ物を選んでいる。唯一自分で選んでいるのはオレンジジュースだ。リリーはオレンジジュースが好きだ。おかわりにもらいに行くほど。

 食事を食べているとシェフがケーキを持ってきてくれた。

 ロウソクを14本立てられ火を灯される。リリーはロウソクを微風の魔術で消した。

「分けましょうか?」

「お願いします」

 シェフが5つのお皿にケーキを分けてくれた。

「どうぞ、みなさんも召し上がってくださいな」

「いいのか?」

「アハトの時は、丸ごと食べたよな」

「ワボルもフィジも丸ごと食べたぞ」

「リリーの心遣いですわ。皆さんでいただきましょう」

 アトミスがお皿を分けてくれた。

「リリーお誕生日おめでとう」

「ありがとう」

 皆が祝ってくれた。

 両親にも手紙を書かなくては・・・・・・。

 ビエント様はもう私のことは忘れてしまったかしら?

 ・・・・・・笛をずっと吹いてはいない。

 こんな危険な場所に、好きな人を呼び出す訳にはいかないから、吹きたくても我慢をしている・・・・・・。

「アハト、申し訳ないのですが、1週間ほどお休みをいただきたいの。家族がどうしても帰って来いと連日電話が入っているの」

「遠慮せずに行ってこいよ」

「何か家族にあったのかもしれないだろう」

「俺たちの事は気にするな」

「リリー一人で平気ですか?」

「アハト達もいますから、ごゆっくりしてきてくださいな」

「食事を食べたら、自宅に戻りますわ」

「どうのように戻るのですか?」

「馬車かしら?」

「私が空を飛んで森の外まで送りましょうか?」

「リリーの睡眠時間が減ってしまうわ」

「どんなところか見てみたいのよ」

「それならお願いするわ」

 リリーは微笑んだ。

 人を運んだ事はないが、鞄と同じようにすれば上手くいくだろう。


読んでくださりありがとうございます。

オマケです♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ