4 勲章(2)
・・・・・・騎士団に参加してくださった戦士達には、長年にわたって、任務を行っていただき感謝する。国境地帯のダンジョンの攻略のお陰で、国境は無事に通れるようになった。また北の森の魔物の森では、危険な人食いコウモリが戦士の皆さんの命を脅かしたと聞いている。魔物退治の最中に亡くなった方には、心からの冥福をお祈りする。北のダンジョンに参加された戦士の皆さんは、以前より過酷な討伐お疲れ様でした。一人の死者を出しましたが、無事に終えることができたことを感謝する・・・・・・
・・・・・・騎士団の皆さんには、勲章のメダルを。魔法学校の生徒諸君にはタイピンを贈ります・・・・・・
一人ずつ名前を呼ばれて、メダルを受け取る。アトミスとリリーはドレスを着ている。リリーはドレスの上からマントと冠を被っている。まだ寒い季節だが、マントが防寒の役目を果たしている。
リリーはできたての青いドレスを着ている。晴天の空に青いドレスはよく合っている。アトミスも青いドレスを着ていた。
久しぶりに会って、アトミスが結婚するのだと聞いた。
もうしばらくしたら、招待状を送る予定だったと教えてくれた。
アハト達はドレス姿で現れたお嬢様達を見て、「住む世界が違う」と呟いたが、ドレスが似合うとアトミスとリリーのドレスを見て、作りの違うドレスに首を傾けていた。
「レースを使ったドレスは高級品なのよ」と、アトミスに教わって、触れようとしていたアハトは慌てて、手を引っ込めた。
「俺たちは山から住宅地に下りようと思っているんだ。引っ越しが大変だけど。金貨で家を建てたんだ。仕事は俺とワポルは鉄鋼業で。フィジは農家をするんだ。フィジは農家の地帯を購入して、家を建てたんだ」
「引っ越しのお手伝いをしましょうか?」
「お姫様に頼めるわけがないだろう?」
「私たちは苦楽を共に過ごした仲間ですわよ」
リリーは胸を張って答える。ドレスにマントと冠を被ったお姫様は、まだお転婆のようだ。
「いいの?本当に頼めるのか?」
「いいですわよ。いつがよろしくって?」
「リリーの都合がいい日でいい」
「家は完成しているのかしら?」
「もう、後は引っ越しをするだけになっている」
「アトミスの結婚式もあるから、明日でもいいかしら?今日はこのまま送るわ」
「すごく助かる」
アハトが名前を呼ばれて、パーティーメンバーが国王の前に並んだ。
「感謝する」
「ありがとうございます」
代表でアハトが答える。
リリーは冠を取った。国王陛下の側近がメダルをかけてくれる。メダルを二つ下げられた。
頭を下げて、後ろに下がる。
騎士団員はパーティーごとにメダルをもらった。
魔法学校の生徒は代表にタイピンを贈られた。
式は2時間ほどで終わり、立食パーティーが始まった。
リリーはビエントに仲間を山まで送って、明日は引っ越しを手伝ってきてもいいかと許可を取る。
「いいよ。寒くないようにコートを着て行きなさい」
「ええ、わかったわ」
「リリー、青いドレスを着られるようになったのか?」
「アトミスが助けてくれた時、アトミスが青いドレスを着ていたの。だから大丈夫かと思えたのですわ」
「そうか」
「ビエント様は食べないのですか?」
「こっそり早めに食べてきた。リリーは仲間と食べておいで」
「はぁい」
リリーは魅力的な笑みを浮かべると、お淑やかに歩き、アトミスの横に立った。いつの間にかアトミスより背が高い。
「小さかったのに、大きく育った」
ビエントは美しく育ったリリーの姿をじっと見つめていた。
「ビエント様が、いいとおっしゃったから、大丈夫よ。夕食までに戻らなくてはいけないけれど・・・・・・」
「王妃様にお願いして、父ちゃん達に怒られそうだけど」
「まだ王妃ではないわ」
「いいか、俺たちは仲間だ」
「そうですわ」
アハトたちは豪勢に食べている
リリーとアトミスはドレスを汚さないように、サンドイッチを食べて、ジュースをもらう。