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悪役令嬢になるのも面倒なので冒険に出かけます(仮)  作者: 綾月百花
11   ままごとのような時間
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6   鉱山


 四日仕事に出て、三日休みを取りリリーの家に戻っているビエントは、いつものチョコレート店で期間限定のチョコレートの詰め合わせを買い、空を飛んでリリーの元に帰ってきた。


「お帰りなさい」

「ただいま」


 通い夫になっている。二人の左手薬指にはお揃いの指輪をはめて、お揃いの笛のネックレスをはめている。

 リリーを愛しげに抱きしめて、リリーの体の具合を案じる。


「体はどうだい?」

「お医者様は、もう大丈夫だと言って下さいました。肺の音も正常に戻ったと言われました」

「それは良かった」


 ビエントはスーツのポケットからいつもより大きめなチョコレートの箱を取り出してリリーに渡す。


「ありがとう」

「期間限定の品らしい。新商品も入っていると言っていた」

「まあ。嬉しいですわ」


 使用人がビエントの荷物を部屋へ運び、他の使用人がお茶を淹れに行く。


「こちらのお部屋にいらして」


 家族が集まる応接室に入って、リリーはビエントの横に座る。


「顔色も良くなった。このまま春になったら、王宮に戻るか?」

「でも、王妃様が反対されているのに、戻って大丈夫かしら?」

「国王は応援してくれている」

「そうなのですか?」

「一度挨拶に来たいと言っていた」

「国王様がうちにいらっしゃるの?」

「ああ、そうだ」


 使用人が紅茶を並べて、部屋を出て行った。

 ビエントがリリーの手からチョコレートの詰め合わせを取ると、リボンを解き、宝箱のようなチョコレートの箱を広げた。


「まあ、とても綺麗ですわ」

「新しいチョコレートは教えなくても、どれだか分かるだろう」

「ええ、分かるわ」

「さあ、お食べ」

「いただきます」


 新作のチョコレートを口に入れた時、ビエントは、リリーを抱きしめた。


「どうなさったの?」

「リリーの予想は当たっていた。ダンジョンを掘り進めたら金が見つかった。立派な鉱山だ。

「まあ、すごいわ」

「リリーのお陰で、鉱山が二つも見つかった。ありがとう」

「私は想像で話しただけだわ」

「リリーの勘は優れている。我が国の宝だ」


 リリーは微笑んだ。


「大袈裟ですわ」

「大袈裟なものか。山間部から住人が降りてきて、街に人が住みだした。いいことずくめだ」

「ビエント様の努力のたまものですわ」


 街の進展の話をしながら、二人は仲良くチョコレートを食べた。


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